第23話 厳しい現実
「
「え? いや……身内じゃないけど……でも彼女たちは困っていたのよ!」
「フン……自己満足の正義感か。やっぱりあんたはお姫様だよ。世間知らずのね」
ジャスティーナに冷然とそう言われ、プリシラは胸に怒りがこみ上げる。
「あ、あなたは知らないでしょうけれど……彼女たちは体に障害を負っているわ。それなのに
アリアドの
それでも彼女は冷たく言い放った。
「かわいそうだから助けたいってことかい? ならやめておきな」
「ど、どうしてよ? アタシとエミルのことは助けて、彼女たちを助けないのは道理が通らないわ!」
「道理が通らないのはあんたのほうだ。
ジャスティーナの冷然とした言葉にプリシラは
あの困っている人たちを解放したら、自分の方が犯罪者になってしまうとジャスティーナは言うのだ。
「だ、だけどアイツらは共和国で
「ここが共和国ならね。でも残念ながらここは公国だ。公国の規則に従うしかない。確かに私らはあんたらを助けたが、あんたらは正規に仕入れられた
プリシラとエミルが
ジャスティーナらがプリシラたちを救い出したことは違法には当たらないのだ。
「正規な仕入れ……」
「そうだ。
プリシラは悔しくて思わず
同じ馬車に乗せられていた彼女たちの絶望し切った表情が今も
「それにね……そうやって五体満足でない者たちを解放したとして、その後はどうする? どこへでも行って好きに生きろとでも言うのかい?」
「それは……」
「そりゃあんたみたいに若くて元気で金にも困っていないなら、どこで何をやったって生きていけるだろうさ。でも、そういう者たちは仮に、一時の自由を手に入れたとしても、また別の者に付け入られて
「そ、そんな……」
厳しい現実を突きつけられ、プリシラは絶句した。
世の中が甘くないことは母から教わって知っているつもりだった。
だが
あの同じ馬車に乗っていた者たちがその体の不自由さゆえに他では食い
(アタシは……独りよがりだった)
プリシラは
私たちはあなたとは違う。
彼女らの1人がそう言った。
その言葉が胸に突き刺さったまま忘れることが出来ない。
彼女がどんな思いであの言葉を口にしたのかと思うと、プリシラは胸が苦しくなるのを抑えられなかった。
そしてあの
そんなプリシラにジャスティーナは言う。
「世の中にはどうにもならないことのほうが多いんだ。そうして気に病んでばかりいても損するだけさ。しょせん人は自分の人生を必死に生きること以外、大したことは出来ないんだからね。自分を救うために刃を
そう言うとジャスティーナは腰帯から抜いた短剣を
プリシラはそれ以上、何も言い返すことが出来ずに、刃が
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