第10話 カラス
ほーら、やっぱりまた同じ事。
また他の誰かが餌目掛けて飛びついている。
騙されてるとも知らずに。
もっと頭使わないと。
馬鹿な奴らだ・・・。
俺はそんな奴らを尻目にちょいっと本物の餌を食べさせてもらう。
そしてすぐに飽きて何事もなかったように姿をくらます。
このスリルがたまらない。
そうやって少しずつ中を探らせてもらう。
騙された奴らはまたも政府の餌食となり見る影もなくなる。
俺には罠など関係ない。
そんなの見抜くのは容易い容易い。
さあ、次はだれが餌を拾いに来るのか?
その時はまた軽くお邪魔するとしよう。
これが俺にはたまらないくらい楽しみだ・・・。
だって俺にとってはどちらも餌と同じ・・・。
食っても食われても高みの見物。
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俺は
黒い服が好き
グロい話が好き
黒い・・・ものは何でも
ついでに視界も病気でモノクロ。
だから俺の名は「カラス」
自分でつけた最高の名前。
普段は一人でいるが、そこに餌があればすぐに飛びつく。
そして食い散らかしてすぐ退散。
今日も誰かが首取られ、
動かないただの肉片となる。
そいつらも皆、・・・結局は餌に飛びついた奴ら。
全員、肉の塊になる事なんかに躊躇いもない・・・。
だから、その後に残るのはただの薄汚れたなれの果て。
懲りずに又、色んな奴らの足音が近付いてくる。
そして新たに獲物に食らいつく。
その隙を見て俺もふらっと・・・。
お陰で、段々とその本物の餌に近付く事が出来ている。
寄る度に、カラスのように食い散らかしてパッといなくなる。
だが他の奴らと違うのは、まだ俺は首を狩られるつもりはない・・。
むしろ奴らの首を狩るだけだ。
そうさ、本当に食いたいのは政府の奴らの首だけだから。
視界はいつもモノクロ___生まれた時から色なんてない。
世の中に付いていた全ての色もその悪い奴らのせいで
どんどんと綺麗な色を失い汚されていく。
手遅れなのか?
今の世界は既に本物の色の無い世界へと変貌を遂げたのか?
誰がこんな風にしたのかって?
やはり国のおバカなお偉いさん?
だからこそ俺が新しい色を塗るとしよう。
そこに真っ赤な色をたっぷりと。
_______
徒党を組むのが好きじゃない。
群れるよりも他の奴らが群れてる場所で獲物を攫うのが好きなだけ。
俺は自分の思うように生き、誰からの指図も受ける気はない。
寧ろ、他の誰かの力を利用するのは大好物。
今の時代群れるほど目に付く。
そう、群れを見つけてはそこに飛び込みいきなりその場を荒らす事も
なんのその。
世界一の気まぐれ者でやりたい放題。
それが出来るだけの能力を生まれた時から俺は持っている。
糞みたいな人間の作り出した「AI」に負けている奴らは本当に残念無念。
所詮人間の「創造」したモノでしかないのさ。
そんなのに操られているようじゃ仕方ない。
でも、一つだけ他の奴らと同じ事を挙げるとすれば・・・。
「政府壊滅」
最後は俺が政府を破壊し「カラス王国」でも創ろうか。
その為に他の奴らの力は最大限使わせてもらう。
また今日も餌のある所を探し回るだけ・・・・。
さあ、現れよ、俺の影武者たち・・・。
俺が現れる前に少しは目の前の道を掃除しておけよ・・・。
楽しい散歩だ・・・。
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