私達、魔法少女

天星このみ

はじまり

キーンコーンカーンコーン………

帰りのチャイムが鳴る。

「海夢ちゃ!一緒にかーえろ!」

「うん」


いつものように親友が話しかけてくれる。

いつも一緒に帰ってくれるりるちゃんだ。

今日は体調不良だけど、まぁいいか。

「ねーりるちゃ...」

「ん!?海夢ちゃ、顔色悪いしフラフラしてるよ!大丈夫?」

「あ、大丈夫大丈夫....」

「本当に?もうゾンビみたいな色してるけど...!?」

「え!?うそ!?」

「ごめんごめん冗談♪」

「もーやめてよ〜」

「あ、今日踏切の近くで別れちゃう!ごめん!」

「大丈夫大丈夫!」

「ここの道をちょっと行ったとこ!一緒に帰れなくてさみしーな〜」

「そうだね」

「じゃあさ、明日一緒にショッピングモール行こ!休みだし暇でしょ?」

「やったー♪いこいこ!」

「でも、今日はゆっくり休んでね!明日体調不良だと行けないからね!あとでLINEするよ。」

「うん。ありがとー!帰りに薬局寄ろうかな〜」

「薬無いの!?」

「うん....うん?」

今日はいつもより比べ物にならないほど綺麗な夕焼けが見えた。

私が死ぬ前にもう一度見てみたいな。

「綺麗だね〜」

「ほんと、綺麗だな〜」

「じゃ、私こっちだから!海夢ちゃさよならー!また明日!」

「うん。また明日!」

まだ手を振ってくれている。

手を振り返し、踏切の方に歩いて行ったときだった。

踏切を渡った時、横から急に電車が来た。

私は勢いよく飛ばされ、体を強く打った。

多分血がどばどば出てるかもしれない。

まじか....私はもう死ぬのか....夕焼け、綺麗だったな...

もし私が学校を休んでいたら

我慢せずに学校を早退していたら

もっと電車に気をつけていたら

もうちょっと雑談していたら....

私はこんなことにならなかったのかもしれない。

ごめんりるちゃん、私、死んじゃう。

一緒にお買い物したかったな。

さよなら。



........ん?

ここは....?病院?私、生きてた?

「やあ」

ん?

奥の方から、全身真っ白のワンピースに、二つに分けて髪が結んである少女が出てきた。ナースか?いや、違うな....

「きみ、磯山海夢ちゃんですよね?」

「え?あ、はい..」

「ところでここは..」

「ここはどこなのかは海夢ちゃんには教えられない。でも、一つだけ。言わなきゃいけない事があります。」

「何?」

「海夢ちゃんは死にました。」

「え、じゃあ私は....?」

「今は魂状態です。」

ここはどこ?死んだ?魂状態?全身真っ白の少女?ああ、もう意味わからなすぎて頭が混乱する。

「だいぶ混乱しているようですね。」

そりゃ、この状態なら誰だって混乱するわ。だいぶ。

「もう一回言おう。海夢ちゃんは死にました。」

「え..いやだ..信じられない。じゃあ、るりちゃん

は...」

るりちゃは、この学校に来るまで、友達がいなかった。

いや、いた。一人だけ。でも、その子が病死してしまい、不登校になってしまったため、新しい友達を作るためにこの学校に転入してきた。

そんなるりちゃんと最初に仲良くなったのは私。

るりちゃはこれからどうすれば..?また悲しい思いをさせてしまう....

「海夢ちゃんは優しいんですね、死んでも友達を思い続けるなんて。」

「なんでわかるの?」

「内緒です」

「でも優しいことは最初からわかっています。」

「そんな海夢ちゃんに、3つの選択肢をあげます。」

「はい。」

「1、死んだまま」

「2、自分だけ魔法少女になり、生き返る。」

「3、仲良しグループを作っているようなので、仲良しグループのみんなと魔法少女になり、生き返る。」

「さぁ、どれにする?」

「私は_」

「私はみんなと魔法少女になります。」

「わかった。じゃあ、条件を与えよう。」

なんだろう....

「やっぱりみんな揃ってからにします!」

「おいいいいいいい!!!!」

期待してたのに。

「でも、どうやって呼ぶんですか?」

「何も知らない人は私の力でもここへ来れないので、みんな一回だけ、今日死にます。」

「そしてここに呼び出します。」

「残酷な呼び出し方だね、バレないの?」

「運次第ですね」

「ふふ..」

少女はニコッと笑いながら言った。

「このことは誰にも言ってはいけませんよ。」

「わかった」

「では、今日の零時、遭いましょう」

「零時は大人の時間だよ?」

「魔法少女は別なのです。」

「また遭いましょう」

「話を逸らしましたね」

「また」

どんどん意識が遠くなる。

あ....体がふわふわ....



する。




.....ちゃ!海夢ちゃ!!海夢ちゃ!!!!

.....ここは、病院?今度こそ....

彩華ちゃん、凛華ちゃん、忍ちゃん!!!!!!!!!!

そして......りるちゃん!!!!!!!

「みんな来てくれたの!?」

「来ないわけないじゃん!」

「そうそう!彩華の言う通り!!!!!!」

「当たり前じゃん!!!!!」

「大丈夫?心配したよ!」

「みんな...ありがとう!」

「でも、なんでみんなが.....?」

「忍が言うには、先生がたまたまみてたらしい!」

「先生は来れないらしいけど。生徒の見舞いぐらい来てやったらいいのに。

「え!?そうなの!?先生こないん!?てか、そう言う情報は私にも伝えてよー彩華〜」

「まぁまぁ、教えてくれてありがと!凛華ちゃ!」

「どもども〜」

「あれ、さっき傷あったのに無くなってる!!」

「え!?無くなってる!?」

「ほんとだ〜」

みんなが騒ぎ出す。

一体私はどのくらいの怪我をしたのだろう。

気になる。

いや、やっぱ見たくない。これ絶対グロいやつだ。

「ねーねー海夢〜忍、海夢のケガの写真撮ってたんだけど、見る?」

「いや、いい」

「そっか〜」

「いや普通見たいと思わないでしょ。」

「あはは...ごめんごめん」

「じゃ、私たちもう帰る〜下の階で親待ってるから〜」

「さよなら海夢ちゃ〜」

「さいなら〜」

みんな手を振りながら病室を出ていく。

ふと気がつけばもう、夜になっていた。








私は晩御飯を終え、スマホを触っていた。

今日来てくれた友達へ、お礼のLINEを送っていた。

もう11時だ。

私はメッセージを打ち終えるとスマホを充電器に挿し、布団の中に潜った。

私はそのまま12時までぼーっとしていた。


12時になった。

またふわふわするような感覚で、眠りについた。

また異空間に来た。

今度はみんな集まっている。

忍、凛華、彩華、りるの4人だ。

皆、戸惑っている。

「では、忍ちゃん凛華ちゃん彩華ちゃんりるちゃんには私から説明します。」

「あなたたちは今から、魔法少女になります。」

「え..?魔法少女?」

「何それ....私達、死なないよね..?」

「忍ちゃ、それは無いと思う。死ぬのは漫画の世界だけだよ。」

「本当に?」

「『あくまで私の意見』だからね。」

「さて、そろそろ目的を話してあげましょう。」

ゴクリ....

「私の目的は_」

「事故に遭い、1度死んでしまった海夢ちゃん、いえ、死んでしまったあなた達を生き返らせること、そして、」

「そして?」

「あと3年後に降ってくる隕石をどうにかしてぶち壊すことです。」

「_________は?」

部屋が凍りつく。

やべー変な空気になった...

「私達、死んだの!?」

「いやそれより、なんで隕石食い止めるのが目的なの!?普通ラスボス倒すとかでしょ!?!?」

「普通に囚われてはいけません」

「いやそうだけど....魔物とかいないの?」

「この星は平和です、逆に平和すぎてつまりません。」

「何言ってるんだこいつ....」

「ていうか、『この星は』ってことは、外の世界は平和じゃ無いの?」

「そういうことです。」

「あーなるほど。」

「ボス的なものを倒す感じ?」

「はい。」

「じゃあなんでこれは目的じゃないの!?」

「ゲームでいうサブミッション的なやつです。」

「サブミッションにすな。」

凛華がツッコミを入れる。

「草。」

「草超えて森。」

「森超えて森林。」

「意味わからん。」

「とりまどうやって変身するのか教えてちょ。」

「ちょ?」

「なんでもない。話を続けろ。」

「森林」

「わかったから。」

「了解、話を続ける。」

「乗るな。」

またまた凛華がツッコミを入れる。

「えーっと、変身!って叫ぶだけで変身できます。」

「ゑ?」

「つまんな。」

「一通りの話は終わったので、今日は帰っていいです。」

「死んでるんじゃなかったのか。」

またまたまた凛華がツッコミを入れる。

「もう生き返りました。」

「なんそれ!!」

「お笑い芸人思い出すわ。」

「さよなら。」

「強制的に帰らされた..」

「さよなら〜」

「あと今日のことは誰にも言わないでくださいね〜」

「がってん承知のすけ」

「なんすぉれ」

「マジなんそれ」

「わー家が見える〜」

「ただいまぁああああああああああ」

「いえまだやん」

「もういい」







「そして私たちは正式に魔法少女になった。」

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