エピローグ
その後のことを少しだけ語ろう。
ハルヒはその昼にはあっさり髪をほどいて元のストレートヘアに
古泉とはトイレ行った帰りの休み時間に廊下で出会った。
「あなたには感謝すべきなんでしょうね」
「世界は何も変わらず、涼宮さんもここにいる。僕のアルバイトもしばらく終わりそうにありません。いやいや、本当にあなたはよくやってくれましたよ。皮肉じゃありませんよ? まあ、この世界が昨日の晩に出来たばかりという可能性も否定できないわけですが。とにかく、あなたと涼宮さんにまた会えて、光栄です」
長い付き合いになるかもしれませんね、と言いつつ、古泉は俺に手を
「また、放課後に」
昼休みに顔を出した文芸部部室では、長門がいつもの情景で本を読んでいた。
「あなたと涼宮ハルヒは二時間三十分、この世界から消えていた」
第一声がそれである。そしてそれだけだった。素知らぬ顔で文字を
「貸してくれた本な、今読んでるんだ。あと一週間もしたら返せると思う」
「そう」
視線を合わさないのはいつものことだ。
「教えてくれ。お前みたいな
「けっこう」
「なあ、また朝倉みたいなのに俺は
「だいじょうぶ」
この時だけ長門は顔を上げ、俺を見つめた。
「あたしがさせない」
図書館の話はしないことにした。
放課後の部室にいた朝比奈さんは
「よかった、また会えて……」
俺の胸に顔を
「もう二度と……(ぐしゅ)こっちに、も、(ぐしゅ)戻ってこないかと、思、」
背中に手を回そうとした俺の動きを感じたのか、朝比奈さんは両手を俺の胸に当てて突っ
「だめ、だめです。こんなとこ涼宮さんに見られたら、また同じ穴の
「意味
涙を
「今日はメイド服は着ないんですか」
「お
その時思いついた。俺は自分の心臓の上を指さして、
「そう言えば朝比奈さん、胸のここんとこに星形のホクロがありますよね」
「どっ! どうして知ってるんですか! あたしも今まで星の形なんて気付かなかったのにっ! いいいいいつ見たんですか!」
首まで赤くして朝比奈さんは幼児のように両手で俺をぽかすか
もっと未来のあなたが教えてくれました、正直に言ったほうがいいのだろうか。
「なにやってんの、あんたら?」
戸口のハルヒが
「みくるちゃん、メイド服もそろそろ飽きたでしょう。さあ、
古流武術の達人さながら、
「いっ、きゃ、なっ、やっ、やめ、」
悲鳴を上げる朝比奈さんの制服を
「暴れないの。
「せめてドアは閉じてぇ!」
ものすごく見物していたかったが、俺は失礼して部室を辞し、
朝比奈さんには悪いが、扉を開ける時が実に楽しみだ。
ああ、長門なら最初から最後までテーブルで本読んでた。
さて長らく
一方で、ハルヒ指揮のもと、市内の「不思議
三人が何かの気をきかせたつもりでいるのか、それとも本当に急用が出来たのかは解らないが、それぞれ常人ばなれしている三人のことだから、また俺たちの知らないところで
俺は
時計から目を上げると、すぐに遠くから歩いてくる見覚えのある私服姿が目に入った。よもや三十分前に来たのに俺がもう待っていると思わなかったのか、ぎくりとしたように立ち止まり、また
その際に俺は色々なことを話してやりたいと思う。SOS団の今後の活動方針について、朝比奈さんへのコスプレ衣装の希望、クラスでは俺以外の
しかしまあ、結局のところ。
最初に話すことは決まっているのだ。
そう、まず──。
宇宙人と未来人と
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