第二章⑦
ハードカバー本を手みやげに教室へ戻った俺の背中をシャーペンの先がつついた。
「どう、サイト出来た?」
ハルヒが難しい顔をして机にかじりついていた。破ったノートに何やらせっせとペン先を走らせている。俺は出来るだけクラスの注目を浴びないようなさりげなさを
「出来たには出来たが、見に来た奴が
「今はまだそれでもいいのよ。メールアドレスさえあればオッケー」
じゃあ
「それはダメ。メールが
何をどうすれば登録したばかりのアドレスにメールが殺到するんだ?
「
そしてまたいやぁな感じの笑い。不気味だ。
「放課後になったら
永遠に極秘にしておいて欲しい。
次の六時間目、ハルヒの姿は教室になかった。おとなしく帰っていてくれればいいのだが、まずあり得まい。悪事の前段階。
その放課後である。自分のやってることに疑念を覚えつつ、つい部室へと足を向けてしまうのは
「ちわー」
やっぱりいる長門有希と、両手を
人のことは言えないが、よっぽどヒマなのか、この二人は。
俺が入っていくと朝比奈さんはあからさまにホッとした表情になって
つーか、あなた、あんな目にあいながらよく今日も来ましたね。
「涼宮さんは?」
「さあ、六限にはすでにいませんでしたけどね。またどこかで機材を
「あたし、また昨日みたいなことしないといけないんでしょうか……」
額に縦線を
「
「ありがとう」
ペコリと頭を下げるはにかんだ
「お願いします」
「お願いされましょう」
「やっほー」
とか言いながらハルヒ登場。両手に
「ちょっと手間取っちゃって、ごめんごめん」
ハルヒは紙袋を
「今度は何をする気なんだ、涼宮。言っとくが押し込み
「何言ってんの? そんなことするわけないじゃないの」
では机に
「
紙袋の一つからハルヒの取り出したのは、何やら手書き文字が印刷されたA4の
「わがSOS団の名を知らしめようと思って作ったチラシ。印刷室に
ハルヒは俺たちにチラシを配った。授業をサボってそんなことをしてたのか。よく見つからなかったもんだ。別段見たくもなかったが俺はとりあえず受け取ったそれに目を通す。
『SOS団結団に
わがSOS団はこの世の不思議を広く
この団の存在意義がだんだん
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