第五章
週明け、そろそろ
教室で
どすりと
「あたしも
「自分でやれ」
ハルヒは二日前に駅前で別れたときとまったく変化のない
「あのさ、涼宮。お前『しあわせの青い鳥』って話知ってるか?」
「それが何?」
「いや、まあ何でもないんだけどな」
「じゃあ
ハルヒは
この日の授業中、
部室で長門が読書する姿は今やデフォルトの風景であり、もはやこの部屋と切り
だから俺は、一足先に部室に来ていた古泉一樹にこのように言った。
「お前も俺に涼宮のことで何か話があるんじゃないのか?」
この場には三人しかいない。ハルヒは今週が
「おや、お前も、と言うからにはすでにお二方からアプローチを受けているようですね」
古泉は、昨日図書館から借り出した本に顔を
「場所を変えましょう。涼宮さんに出くわすとマズイですから」
古泉が俺を
「どこまでご存じですか?」
「涼宮がただ者ではないってことくらいか」
「それなら話は簡単です。その通りなのでね」
これは何かの
「まずお前の正体から聞こうか」
宇宙人と未来人には心当たりがあるから、
「実は
「先に言わないで欲しいな」
古泉は紙コップをゆるゆると振って
「ちょっと
俺は
「本当はこんな急に転校してくるつもりはなかったんですが、
ハルヒを珍しい
俺の
「どうか気を悪くしないで下さい。我々も必死なんですよ。涼宮さんに危害を加えたりはしませんし、むしろ我々は彼女を危機から守ろうとしているんですから」
「我々ってことは、お前の
「いっぱいってことはないですが、それなりには。僕は
『機関』と来たか。
「実体は不明です。構成員が何人いるのかも。トップにいる人たちがすべてを
「……それで、その『機関』なる秘密結社は何をする団体なんだ」
古泉はぬるくなったコーヒーで
「あなたの想像通りですよ。『機関』は三年前の
だしぬけに俺は谷口の顔を思い出した。ハルヒとは中学からずっと同じクラスであるとか言っていた。まさか、あいつも古泉と同種類の人間なのか?
「さあ、それはどうでしょう」
古泉はするりとしらばっくれ、
「しかしまあ、それなりの人員が涼宮さんの周りにいることは保証してもいいですよ」
どうしてみんなそんなにハルヒが好きなんだ。エキセントリックで
「今から三年前に何があったのかは解りません。僕に解るのは、三年前のあの日、
その時から今までずっとお前の頭はおかしくなり続けなんじゃないか。
「ええ、その可能性もなくはない。しかし我々はもっと
「あなたは、世界がいつから存在していると思いますか?」
えらくマクロな話に飛んだな。
「
「そういうことになってますね。ですが我々は一つの可能性として、世界が三年前から始まったという仮説を捨てきれないのですよ」
俺は古泉の顔を見返した。正気の
「そんなわけがないだろ。俺は三年前より以前の
「もし、あなたを
「…………」
「例えば、仮想現実空間を考えてみて下さい。あなたが脳に電極を
「……それはそれでいいことにしておこう。世界が三年前か五分前に始まったってのもまあいい。そこから何をどう
「『機関』のお
「世界を自らの意思で創ったり
……おい、ハルヒ。お前とうとう神様にまでされちまったぞ。どうすんだ。
「ですから『機関』の者は
「ハルヒに
「もちろん涼宮さんは自分がそのような存在であることには無自覚です。彼女はまだ本来の能力に気付いていない。我々は出来れば
ここでやっと古泉は元の笑みを取り
「言うならば彼女は未完成の神ですよ。自在に世界を
「どうして解る?」
「あなたは
宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。
最初に出会った教室の自己
「彼女はまだ自覚的に神のごとき力を発揮出来はしない。無意識のうちに
俺だけ
「そうではありません。それどころか、あなたが一番の
ほっとしていいのか、悲しむべきなのか。
「解りませんね。ひょっとしたらあなたが世界の命運を
「ハルヒが神様だと言うのならな」と俺は提案した。「あいつを
「そのように主張する
あっさり古泉はうなずいた。
「ですが、軽々しく手を出すべきではないという意見で大勢は
「……いったいどうすりゃいいんだよ」
「それも解りません」
「もし、もしもだな、ハルヒがポックリ
「さて、同時に世界も
紙コップのコーヒーはすっかり冷たくなっていた。飲む気が
「超能力者とか言ったな」
「ええ、我々はまた
「だったら何か力を使って見せてくれよ。そうしたらお前の言うことを信用してやる。例えばこのコーヒーを元の熱さに戻すとか」
古泉は楽しそうに笑った。
「すみません無理です。そういう解りやすい能力とはちょっと違うんです。それに普段の僕には何の力もありません。力を使えるのはいくつかの条件が重なって初めて出来ることなんです。お見せする機会もあるでしょう」
長々と話したりしてすみませんでした、今日はもう帰ります、と言って、古泉はにこやかにテーブルを
俺は軽快に去りゆく古泉の背中が見えなくなるまで見送って、ふと思いついて紙コップを手に取った。
言うまでもないかもしれないが。
当然、中身は冷たいままだった。
部室に戻ると朝比奈さんが下着姿で立っていた。
「……」
朝比奈さんはフリフリのエプロンドレスを手に持って、ドアノブを握ったまま
「失礼しました」
声を出される前に俺は
しまったな、ノックすべきだった。いや待て、
「すみません」
「いえ……」
ドアを開けてくれた朝比奈さんの頭二つぶんくらい低いところにある
「わたしこそ、いつも
全然けっこうです。
どうやらハルヒの注文を
やっぱり
このまま朝比奈さんと見つめ合っていたら、さっきの映像やら何やらが脳内でこんがらがって究極的にダメになりそうだったので、俺は理性を総動員してリビドーを
視線を感じて目を上げると長門有希が
HTMLエディタを起動してホームページファイルを呼び出す。いつまでも代わり映えしないSOS団サイトをどうにかしようと思ったのだが、何をどう発展させればいいのか見当もつかない。いつも
「ども」
さっき古泉にコーヒーを
朝比奈さんはさらに長門にもお茶を配って、その
結局その日、ハルヒは部室に姿を現さなかった。
「昨日はどうして来なかったんだよ。反省会をするんじゃなかったのか?」
例によって例のごとし。朝のホームルーム前に後ろの席に話しかける俺である。
机に
「うるさいわね。反省会なら一人でしてたわよ」
「見落としがあったんじゃないかと思って」
犯行現場に何度も足を運ぶ習性のあるのは
「暑いし
衣替えは六月からだ。あと一週間ほど五月は残っている。
「涼宮、前にも言ったかもしれないけどさ、見つけることも出来ない
ガバッと起きあがって
「高校生らしい遊びって何よ」
声にも
「だから、いい男でも見つけて市内の散策ならそいつとやれよ。デートにもなって一石二鳥だろうが」
あの日の朝比奈さんとの語らいを思い出しながら俺はそう提案する。
「それにお前なら男には不自由しないぞ。その
「ふんだ。男なんかどうでもいいわ。
机を
「あたしだってねー、たまーにだけどそんな気分になったりするわよ。そりゃ健康な若い女なんだし
ほんと言うとまだ出来てもいないんだがな。
「何か適当なお遊びサークルにすればいい。そうすりゃ人も集まるぞ」
「いやよ」
一言で
「そんなのつまんないからSOS団を作ったのに。
こんなに参っているハルヒを見るのも初めてだが、弱気になっている顔は割合可愛かった。笑わなくても普通の顔をしているだけで、こいつはけっこう
その後、午前の授業中のほとんどを、ハルヒは
だがこの時、
実はハルヒに話しかけながら、俺は一つの
そこには、
『放課後誰もいなくなったら、一年五組の教室に来て』
と、明らかな女の字で書いてあった。
どう
そんなことを考えながら俺はワケもなく校内を練り歩いた。ハルヒは体調不十分を理由に早々に帰宅しちまった。好都合と言えば好都合だ。
俺はいったん部室に行くことにした。あまり早く五組に
一人うなずきながら歩いている間に部室の前までたどり着いた。ノックを忘れない。
「はーい、どうぞ」
朝比奈さんの返答を確認して俺はドアを開ける。朝比奈さんのメイド姿はいつ何回見ても
「
お茶を
「帰りました。何だか
「そんなの、しませんよー」
長門が読書に情熱を
「古泉は来てないんですか?」
「古泉くんね、さっきちょっと顔を見せたんだけど、アルバイトがあるからって帰っちゃった」
何のバイトなんだかな。ま、この様子ではここにいる二人が手紙の主ではなさそうだ。
時計は五時半あたりを指している。教室に残っている生徒など一人としていまい。
谷口だって
「遅いよ」
朝倉涼子が俺に笑いかけていた。
清潔そうなまっすぐの
教室の
「入ったら?」
引き戸に手をかけた状態で止まっていた俺は、その動きに誘われるように朝倉に近寄る。
「お前か……」
「そ。意外でしょ」
くったくなく笑う朝倉。その右半身が夕日に
「何の用だ?」
わざとぶっきらぼうに
「用があることは確かなんだけどね。ちょっと訊きたいことがあるの」
俺の真正面に朝倉の白い顔があった。
「人間はさあ、よく『やらなくて
「よく言うかどうかは知らないが、言葉通りの意味だろうよ」
「じゃあさあ、たとえ話なんだけど、現状を
「なんだそりゃ、日本の経済の話か?」
俺の質問返しを朝倉は変わらない笑顔で無視した。
「とりあえず何でもいいから変えてみようと思うんじゃない? どうせ今のままでは何も変わらないんだし」
「まあ、そういうこともあるかもしれん」
「でしょう?」
手を後ろで組んで、朝倉は
「でもね、上の方にいる人は頭が固くて、急な変化にはついていけないの。でも現場はそうもしてられない。手をつかねていたらどんどん良くないことになりそうだから。だったらもう現場の独断で
何を言おうとしているんだ? ドッキリか? 俺は
「何も変化しない観察対象に、あたしはもう
キョロキョロするのに気を取られて、俺はあやうく朝倉の言うことを聞き
「あなたを殺して涼宮ハルヒの出方を見る」
俺が最初の
なぜか朝倉は追ってこない。
……いや、待て。この
「
こういうときには
「マジ危ないって! それが本物じゃなかったとしてもビビるって。だから、よせ!」
もうまったくワケが解らない。解る
「冗談だと思う?」
朝倉はあくまで晴れやかに問いかける。それを見ているとまるで本気には見えない。笑顔でナイフを向けてくる女子高生がいたら、それはとても
「ふーん」
朝倉はナイフの背で
「死ぬのっていや? 殺されたくない? わたしには有機生命体の死の
俺はそろそろと立ち上がる。冗談、シャレだよな、これ。本気だったらシャレですまされんが。だいたい信じられるわけがないだろ。別に
だが、もしあのナイフが本物だったなら、とっさに
「意味が
「うん、それ無理」
「だって、あたしは本当にあなたに死んで欲しいのだもの」
ナイフを
?????
ドアがない。窓もない。
ありえない。
「
背後から近づいてくる声。
「この空間は、あたしの情報
「ねえ、あきらめてよ。結果はどうせ同じことになるんだしさあ」
「……何者なんだ、お前は」
何回見ても壁は壁でしかない。立て付けの悪かった引き戸も
俺はじりじりと机の間をぬって朝倉から少しでも
おっかけっこは長くは続かず、俺はたちまちのうちに教室の
こうなったら。
「無駄。言ったでしょう。今のこの教室はすべてあたしの意のままに動くって」
待て待て待て待て。
何だこれは。何なんだこれは。冗談でもシャレでも俺か朝倉の頭が変になったわけでもないとしたら、いったいこれは何だ。
あなたを殺して涼宮ハルヒの出方を見る。
またハルヒか。人気者だな、ハルヒ。
「最初からこうしておけばよかった」
その言葉で俺は
足が床から生える木にでもなったみたいに
「あなたが死ねば、必ず涼宮ハルヒは何らかのアクションを起こす。多分、大きな情報
知らねえよ。
「じゃあ死んで」
朝倉がナイフを構える気配。どこを
空気が動いた。ナイフが俺に降ってくる。
その時。
顔を上げた俺は見た。何を?
俺の首筋に今にも
「一つ一つのプログラムが甘い」
長門は平素と変わらない無感動な声で、
「天井部分の空間
「
対する朝倉も平然たるものだった。
「この人間が殺されたら、
「あなたはわたしのバックアップのはず」
長門は
「独断専行は許可されていない。わたしに従うべき」
「いやだと言ったら?」
「情報結合を解除する」
「やってみる? ここでは、わたしのほうが有利よ。この教室はわたしの情報制御空間」
「情報結合の解除を
言うが早いか、長門の握ったナイフの刃が
「!」
ナイフを放して朝倉はいきなり五メートルくらい後ろにジャンプした。それを見て俺は、
ああ、この二人本当に人間じゃないみたいだな、とか
一気に
空間がぐにゃりと
ただその空間そのものが
「離れないで」
長門は朝倉の
「うわっ!」
俺の頭を見えない何かがかすめて黒板を粉々に
長門がチラリと上を見上げる。その
「この空間ではわたしには勝てないわ」
まったくの
長門は俺の頭をまたいで立っていた。
「SELECTシリアルコードFROMデータベースWHEREコードデータORDER BY攻性情報
教室の中はもうまともな空間ではなくなっていた。何もかもが
「あなたの機能停止のほうが早いわ」
ヒュン、と風切り音。
長門のかかとが俺を思い切り
「なにす」
る、と言いかけた俺の鼻先を見えない槍が通過、床がめくれ返る。
「そいつを守りながら、いつまで持つかしら。じゃあ、こんなのはどう?」
次の瞬間、俺の前に立ちはだかった長門の
「…………」
つまり、朝倉は俺と長門に向かって同時に多方向から攻撃を加え、そのうちのいくつかを結晶化して無効にしたものの、迎撃しきれなかった槍が俺を襲い、俺を守るために長門は自分の身体を使用した、ということだったのだが、この時の俺にはそんなこと知るよしもなかった。
長門の顔から
「長門!」
「あなたは動かないでいい」
胸から腹にかけてビッシリと突き
「へいき」
いや、ちっとも平気には見えねえって。
長門は
「それだけダメージを受けたら他の情報に
揺らぐ空間の向こうに、朝倉の姿が見え隠れする。笑っている。両手が静かに上がり──俺の
「死になさい」
朝倉の腕が、さらに伸び、
右の
長門の身体から
「終わった」
ポツリと言って、長門は触手を
「終わったって、何のこと?」
朝倉は勝ちを確信したかのような口調。
「あなたの三年あまりの人生が?」
「ちがう」
これだけの重傷を負いながら長門は何もなかったように言った。
「情報連結解除、開始」
いきなりだ。
教室のすべてのものが
「そんな……」
「あなたはとても
長門の体中に刺さった
「だからこの空間にプログラムを割り込ませるのに今までかかった。でももう終わり」
「……
同じく結晶化していく両腕を
「あーあ、残念。しょせんわたしはバックアップだったかあ。
朝倉は俺を見てクラスメイトの顔に
「わたしの負け。よかったね、延命出来て。でも気を付けてね。統合思念体は、この通り、一枚岩じゃない。相反する意識をいくつも持ってるの。ま、これは人間も同じだけど。いつかまた、わたしみたいな急進派が来るかもしれない。それか、長門さんの
朝倉の胸から足はすでに光る結晶に
「それまで、涼宮さんとお幸せに。じゃあね」
音もなく朝倉は小さな砂場となった。
さらさら流れ落ちる細かいガラスのような結晶が降る中、朝倉涼子という女子生徒はこの学校から存在ごと
とすん、と軽い音がして、俺はそっちへ首をねじ曲げ、長門が
「おい! 長門、しっかりしろ、今救急車を、」
「いい」
目を見開いて天井を見上げながら長門は、
「肉体の損傷はたいしたことない。正常化しないといけないのは、まずこの空間」
砂の
「不純物を取り除いて、教室を再構成する」
見る間に一年五組が見慣れた一年五組へと、元通りに、そうだな、まるでビデオの逆回しだな、いつもの教室に戻っていく。
白い砂から黒板が、
壁だったところに
俺はまだ
「本当にだいじょうぶなのか?」
確かにどこにもケガがあるように見えない。あれだけ
「処理能力を情報の操作と改変に回したから、このインターフェースの再生は後回し。今やってる」
「手を貸そうか」
俺の
「あ」
わずかに
「
「……してないほうが
「眼鏡属性って何?」
「何でもない。ただの
「そう」
こんなどうでもいい会話をしている場合ではなかったのである。後々俺は、とことん
「ういーす」
ガサツに戸を開けて
「わっすれーもの、忘れ物ー」
自作の歌を歌いながらやって来たそいつは、よりにもよって谷口だった。
まさか谷口もこんな時間に教室に誰かがいるとは思わなかっただろう。俺たちがいるのに気づいてギクリと立ち止まり、しかるのちに口をアホみたいにパカンと開けた。
この時、俺はまさに長門を
「すまん」
聞いたこともない
「
俺は盛大なため息をついた。
「どうすっかなー」
「まかせて」
俺の手にもたれ
「情報操作は得意。朝倉涼子は転校したことにする」
そっちかよ!
などとツッコンでいる場合ではない。
これじゃ、長門が本格的に宇宙人か何かの関係者であることを納得せざるを得ないではないか。
おまけに、このままでは俺はこのイカレタ
はっきり言や、困る。
何かしらの問題に直面して困っている奴に横から半笑いで適当なアドバイスをするような、そんな役割を俺は望んでいたのだ。こんな俺自身がクラスメイトに命を
オレンジ色に染められた教室で、俺はしばし
これは……いったいどうしたものだろう? 俺は何を思えばいいんだ?
翌日、クラスに朝倉涼子の姿はなかった。
当たり前と言えば当たり前のことなのだが、それを当たり前だと思っているのはどうやら俺だけであり、岡部担任が、
「あー、朝倉くんだがー、お父さんの仕事の都合で、急なことだと先生も思う、転校することになった。いや、先生も今朝聞いて
と、あまりにも
ごん、と俺の背中を
「キョン。これは事件だわ」
すっかり元気を取り
どうする? 本当のことを言うか?
実は朝倉は情報統合思念体なる正体不明の存在に作られた長門の仲間で、なんか知らんが仲間割れして、その理由が俺を殺すか殺さないかで、なぜ俺かと言うとハルヒの情報がどうのこうので、あげくの果てに長門によって砂に変えられてしまいました、とさ。
言えるわけねえ。つーか俺が言いたくない。あれはすべて俺の
「
「だから
「そんなベタな理由は認めらんない」
「認めるも認めないも、転校の理由で一番ポピュラーなのはそれだろうよ」
「でもおかしいでしょ。いくら何でも昨日の今日よ。転勤の辞令から
「
「あるわけないわよ、そんなの。これは調査の必要ありね」
仕事の都合というのは言い訳で本当は
「SOS団として、学校の不思議を座視するわけにはいかないわ」
やめてくれ。
昨日の事件は俺に
そして俺はこの世界が非現実のシロモノだとは、どうしても思うことが出来ないでいるのだ。
まったく、人生の転機が訪れるには、十五年と数ヶ月は少々早すぎの気がしやしないか?
なんで俺は高一にして、世界の在り方などという
そうでなくとも、俺はまたまた
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