第44話 失った記憶ともう一つ

「私のこと、どれくらい好き?」


すると彼はいきなりこんな話を始めた。


「昔々、あるところにクマさんとリスさんがいました」


私は睨みつける。


「大人の女を捕まえて馬鹿にしてるの?」


彼は微笑んだ。


「大切な娘だからね」


私は泣いた。


「よしよし」


病室でわめいた。


夫の記憶喪失はいつ治るの?

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