第29話 話しかけてる

「作文が書けない……」頭を抱える私の両肩に、母がそっと手を置く。「考え過ぎだよ」「でも……」「でも、をいくつ繋げても未来は見つからないよ。例えばさ、カギカッコから作文を書き始めたら?」「カギカッコ?」「そう、困ったら原稿用紙に何か話してごらん」その言葉を思い出し、今も書いている。

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