第27話 見舞いに差し入れ
病室の母を訪ねた。「この本読んでごらん。初の芥川賞&直木賞W受賞作」母はその本を笑顔で受け取った。翌日「とっても面白いねえ」と言った。次の週、同じ本を帯を外して渡した。「あまり話題の本じゃないけど」翌日、母は笑顔で言う。「とっても面白いねえ」「お母さん、ありがとう」自分を信じよう。記憶のない母は賞に惑わされない。
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