依頼

✕✕北町通りの交差点で

赤信号の通せんぼを食らった女が

耳に当てたスマホに向かって怒鳴っている。


「だから、分かる?こんなのあり得ないよね。

 私だけ不幸で、なんの仕事もしてない

 あいつがさ、私より幸せそうにしてんの。

 私ばかみたい!

 そう、そう!私悪くないよね!?

 どう考えてもあいつが悪いよね!?

 そ、だからさ、またいつもの口座に

 振り込んどくから

 あいつのこと呪ってね、先生。」


令和6年7月某日の出来事である。

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