仏壇の中から

今から何十年も昔のこと

おばあちゃんが亡くなる直前に

仏壇の前で手を合わせたあと

涙を流したことがあった。


孫が出来た私は同じ仏壇で、孫をよろしくと手を合わせた。

すると、仏壇から白く傷だらけの手が出てきた。

両頬を包まれて、

“めんげぇ、めんげぇなぁ”と懐かしいおばあちゃんの声が聞こえ涙が溢れた。


涙を流したのはそういうことなのね

おばあちゃん。

私もその時がきたということね、

おばあちゃん。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る