第18話 出会いは止められない
寒暖差がなくなりかけ、薄ピンク色の桜の花びらが風に吹かれ舞い散る季節。
多くの人が新しい出会い、新しいことに挑戦し全てが真新しい感じる。
そしてそれは俺たちも例外ではない。
「まずは入学おめでとう。これで君たちも正式に
星蘭学園、ここ最近設立した新設校。
勉強のみを重要視せず、芸術、運動、音楽、ゲームなと様々な分野に対することを学べ、また学園周辺が再開発され巷では青春の街と呼ばれる場所となっている。
「改めて自己紹介をしよう。私の名前は
綺麗な茶髪を持つスタイリッシュな体型のクール系美人。
流石は原作に出てくるキャラ。
この世の者とは思えない美形だ。
現実として生きてるから思うが何故モデルとかにならなかったのか疑問だ。
「さっそくで悪いが、まずはクラス委員長を決めなくてはならない。男女一人ずつだ。それとこれも言うがうちのクラス委員長は他校と比べてそれなりに忙しいし責任がかかる。例えば、委員長は体育祭、文化祭の運営その他イベントの進行や計画など忙しい。それなりに時間が取られる。ただそれだけじゃなく勿論様々な特典や権限なども与えられる。それらも考慮して決めたまえ」
説明を聞く限り言葉通り忙しく責任がある立場だ。
「九十九先生、その特典ってなんですか?」
麗音が手を挙げ九十九先生に質問をする。
「天ヶ咲、悪いがそれは言えない」
それに加え特典と言われてもどんなものか分からなとくれば躊躇もする。
既にクラス内では誰か手を挙げろと言う雰囲気になっている。
「私がやります!」
「いいのか東雲?」
「はい!」
「そうか、なら女子は東雲に頼もう。いいか?」
九十九先生はそう言ってクラス全体に確認する。
みんな無言で頷く。
「それでは女子の委員長は東雲で決定だ」
そう言ってクラス全体から拍手が起こる。
「それで、男子からはいないのか?」
俺を含めた男勢は答えない。
日本の男子高校生はこういうのにシャイだ。
と言っても俺は実夢の手伝いの為に時間を使いたいからやりたくない。
「九十九先生、これって推薦でもありですか?」
「別に構わんぞ天ヶ咲」
「それなら私は皇君を推薦します」
「はぁ!?」
なぜか急に麗音が俺を推薦してきた。
「そういえばいたな。学生の域を超えたアホが」
九十九先生がにんまりと笑みを浮かべ思い出したかのように言う。
それと初対面の生徒のことをまるで問題児のように言うのはどういうことだよ!
「それじゃあ、男子の委員長は皇で決まりだな」
「はぁ!?ちょっと俺の意思は!」
「それじゃみんな拍手」
パチパチとクラス全体が拍手をする。
それと同時にチャイムが鳴った。
「これで今日は終わりだ。12時までには帰るように」
九十九先生はさっさと教室からでていった。
***
「おい、麗音、どういうことだ」
俺は速攻で麗音を問い詰める。
「俺に時間がないことはお前も知ってるだろ。それとも迅さんからの指示か?」
「いえ、これは私個人の判断です」
「どういうことだ?」
「これを」
麗音は自分のスマホを俺に見せてきた。
「蓮君から拓海様とお嬢様が委員長に決まったと教えてもらいましたので。鷲様もここは委員長としてお二人の動向を直接見るのが得策だと判断しました」
う~~ん…確かに麗音の言うことも一理ある。
だが九十九先生の言う通りならかなりの時間を委員長として取られる可能性もありが……
「お前の考えは分かった。それにしてもいつから蓮と連絡先交換してたんだ?」
「第一回のときです」
あの会議の時にってことは5年前からか。
蓮と麗音が連絡を取っている素振りをまったく見せないから全然気付かなかった。
「一つ確認するがうちのことについては何も言ってないよな?」
一応蓮も俺の仕事の確認なんかをしてもらってる。
もし麗音に教えてたなんてなったら情報漏洩として処理しなくちゃならなくなる。
「ご安心をこれはあくまで個人的なものですからそんなことはしていません」
「それならいい」
「それと鷲様もやたらあの子が気になる様子でしたので」
「気づいていたか」
麗音にあの子というのは東雲のことだ。
「そうだ。東雲は!?」
鷲は急に思い出したかのように周りを見渡すが東雲の姿はなかった。
やばい、麗音に理由を聞くことに気を取られて忘れていた!
「東雲さんなら先ほど九十九先生に頼まれて明日配るプリントを取りに職員室に行きましたよ」
「……!?そうか、それじゃ俺も用事があるから行くわ!じゃあな!!」
「鷲様!?」
俺は急いで教室を出て蓮に電話をする。
頼む…間に合ってくれ!
麗音のことに気を取られ度忘れしてしまっていた。
「蓮か!」
『はい』
「今どこにいる!それと拓海と実夢はそこにいるか!」
『え、は、はい。いま一階の渡り廊下に実夢様とおります。拓海様は先生に頼まれ先に職員室の方へ、あ、ちょうど今拓海様が見えましたが……知らない女子生徒と話してますね……』
遅かったか!
「蓮!とりあえず今は隣にいる実夢を止めろ!俺もすぐにそこに行く!」
『え、それはどういう…』
蓮が実夢の方を向くと暗い目で二人を見つめていた。
これには蓮も危険だと解った。
『かしこまりました!』
俺は蓮との電話を切り急いで現場に向かう。
強制力……?強制力なのか!
本来のシナリオから明確に変わってる部分もあるのになぜこういうことは無理矢理にでも起こるんだ!!
原作なら主人公とメインヒロインは同じクラスで共に委員長として出会うことになる。
なのにそのヒロインと主人公が別々のクラスときた!
正直言って安心してたよ!すでにこの物語は別シナリオになってるって!
でもそれなら無理矢理強制イベント発生ってことかよ!
「はぁ…はぁ…はぁ…」
俺が一階の渡り廊下に着くとそこには実夢を拳を握りしめ、そんな実夢に触れぬよう落ち着かせようとする蓮。
その奥には拓海と東雲…いや日和がいた。
「マジで嘘だって言ってくれよ……」
***
とうとう出てきましたねメインヒロイン!
それとこの原作を書いた人はもと乙女ゲー作家という設定です。
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