第3話 揚げなすとかぼちゃと白菜

なあなあ、と黒ねこが

今日も窓の外から俺を呼ぶ。

つい笑って

雑巾を用意した。


カラカラ

サッシを引くと

黒いからだがにゅるっと滑り込んだ。


朝から油の匂いが立ち込める部屋に

黒ねこは

しっぽを立てて流し台に向かった。


家主の俺が後を追う。


「待ってよ、なあさん」


なあなあ

鳴くから。


なあさんは

止まって首だけ振り返った。


「油がはねるよ」


なすとかぼちゃを揚げ焼きにしているフライパン

隣のコンロに

白菜を煮ているアルミ鍋。


「なあさんは、なすとかぼちゃを入れない方がいいのかな」

「かぼちゃはください」


いつもより少し時間が掛かったみそしるの鍋を

こたつに運んだ。

そのあと両手でごはんを掲げて運ぶ。


「おれのだ」


なあさんの前に置いた

足つきのフードボウルは

白色で

少し傾いている。


平たい皿のごはんの上に

油紙で休ませてから

かぼちゃを乗せた。


俺の分は木のお椀に

たっぷり揚げなすと揚げかぼちゃ

油っぽくても

全然大丈夫。


くたくたの白菜が

これからなすとかぼちゃをくるむのだ。


「おみそしるかけます」

「よろしくおねがいします」


ごはんの前で待つなあさんは

とてもお行儀がいいです。






……なすとかぼちゃを同時に揚げると、大抵かぼちゃが生で、最近先に電子レンジ加熱することを覚えました。(雪緒)



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