ファンタジー

『十二国記』 (講談社X文庫―ホワイトハート)【★★★】

『風の万里 黎明の空〈上〉・〈下〉』

私は、今まで読んだ十二国記シリーズの中で、この作品が一番好きです。

まだ全ての話を読んだわけではないし(※これを読み終わった時点では)、他の作品も好きだけれども、これは格別。


自分は至らない王だと悩む陽子。

自分の所為ではないと叫ぶ祥瓊。

自分だけが可哀想だと嘆く鈴。


三人の少女が自らの弱い部分を探し、成長していくストーリー。

こういう話、大好きです。


そんな三人が様々な経由で出会う筋書きもすごいけど……

読んでいるこっちがハラハラさせられる三人が、旅の中でそれぞれの答えを見付けていく。


知らなかった、何もしてない。それこそが罪だったと気付く祥瓊。

そして、どれだけ自分と自分の父王が人々に憎まれていたのかを知る。

世界どころか、自分の国のことさえ何も知らない事を恥じるようになる。


悲しい気持ちは皆、同じ。不幸な自分にただ浸っているだけだと気付く鈴。

本当に苦しければ、人間というものは、そこから必死に抜け出そうとするものなのだ。

我慢しているだけでなく、自分から行動を起こさなければならないのだと思うようになる。


民の暮らしを目の当たりにし、そのひどさを知る陽子。

民の為に何もしてあげる事が出来ない自分の不甲斐なさに苦悶する。

本当の敵は誰で、本当の味方が誰であったかを気付く。

自らが王である事を隠していたからこそ、信頼のおける心強い味方も見付けられた。


最初は情けなかった陽子だが、カッコイイの何のって!

こうゆう女の子って大好きだなぁ。

剣を振りかざして、民を助けるのも。

使令を使って敵を減らし、その事を素知らぬフリをするのも。

そしてそして、何よりも麒麟に乗って現れたシーンには鳥肌が立ちました。

初勅も納得のいく素晴らしさ!!

信頼出来る味方も出来て、きっと陽子は立派な女王になるよ!


それにしても、使令っていいですよねぇ~。

カッコイイし、便利だし(ぇ)。

私も欲しい!

他にも気に入ったキャラは多々といるけれども、このPCじゃ漢字が出てこないので割愛します。。


全作の内容で覚えてない事とかが多かったので、またそのうち『月の影 影の海』を読んでみようかと思いました。


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『丕緒の鳥』

十二国記の民の話。

どこの国の何の時代で王は誰か、という情報が明確に記されていないのは、他の国・他の時代でも似たようなもの……という意志が感じられる。

それでもシリーズの話を全部覚えてる人ならば、大体どの国のどの王様の話か、察しがつくのではないだろうか。

私は思わず読み返してしまいたくなった。

やはり面白い。

小さな事象にスポットをあてて、ここまで緻密なリアリティを描くことがすごい。

タイトルの意味にも納得。

つまりこれは、民の話なのだ。

続き…出ないかなぁ。出るといいなぁ。

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