田丸城の亡霊
異端者
プロローグ
「クソッ! なんで伸びないんだ!?」
俺はPC画面から動画投稿サイトの再生数を見てそう言った。
俺の投稿した動画はほんのわずかな数しか再生されていない。夏場、有名な心霊スポットにわざわざ深夜に遠出して行ってきたにも関わらず、だ。
本来なら、もっと伸びるはずだった。楽して稼いで、それで豪遊して――。
こんなことなら、仕事を辞めるべきではなかったのかもしれない……。楽して稼いでいる人間が居ると知って、自分もそうなれると思って辞めてしまった。もっとも、今更戻れる筈がない。
ふと、コメントの一つが目に入った。
「この心霊スポットの動画は見飽きた。もっと目新しい物を――」
コイツら、人の苦労も知らずに……ふつふつと怒りが湧き上がってくるのを感じる。有名な場所というのは誰もが行っているから、そうそう新しい心霊スポット動画などない。
待てよ? 新しい心霊スポット? ……あるじゃないか!
俺は閃いて思わず立ち上がった。
無いのなら、そう仕立て上げてしまえばいい! どうせネットなんて嘘だらけだ! 俺一人が正直でいる必要などない!
俺はその「設定」を練りながら、出掛ける準備を始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます