第14話 テンプレハンターD

 俺は三十二歳無職ニート。親兄弟からも疎まれる一族の厄介者。

 そんな俺が久しぶりに意を決して散髪に行こうと家の外に出たら、脱法ドラッグでラリったヤンキーが運転する、いかついフェイスのミニバンにはねられ(略)


 目覚めると、ブロンド巨乳娘が俺の口に豊満な乳房を押し付け、乳首を強引に俺の口に入れてきやがった。なに、これ? おれは声を出そうとしたが、なんと言葉がわからない。俺、もしかして赤ん坊? となれば乳首(略)


 マジかよ、16歳の乙女がおれの股間を? まさに、赤ん坊冥利と(略)


 あー赤ん坊楽しい。あれ? 誰か来たよ。

「おい、赤ん坊」

 あ、言葉わかる。日本語じゃね?

「目を瞑れ」

 え? なんで? 声出したいけど「きゃ、きゃ、んばー」しか出ねぇ。

「いいから目を閉じろ」

 まいいや、閉じよう。


「テンプレ殲滅」

 その声がしたと同時に、ベビーベッドに巨大な斧が振り下ろされた。飛び散る肉片と内臓。血は天井にまで届き、赤く染めた。




 なんとも無残なことに、名もなき三十二歳無職ニートは、転生直後に胴体を斧で切り刻まれ、死亡した。

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