24話 意図せぬ笑い者


 地下を出た後も全員で探索をした。

 だが、絵の他には特に目新しい物はなかった。

 これで遺跡の調査は終了。


 あとは馬車でゆっくりしておけば、万事オーケーだ。


 馬車に乗り込むと、すぐに横になった。


「へへへ、今日はもうゆっくりするぜぇ」


「もうだらけんのかよ」


「別に良いだろぉ? もうあとは帰るだけなんだし」


「ってか、空いてる部分使うなよ。俺の座るところがないだろ」


「スピナーなら、大丈夫。お前は足腰が強いから多少揺れようが長時間突っ立ってても平気だろ?」


「……そうか」


 スピナーが無言で立ち上がった。

 同時に背中の弓を取り出し、矢を取り出した。至近距離で弓を引き絞る。

 その矢尻が捉えていたのは俺の眉間だった。



「おいおいおい! 待て待て待て! おまっ、マジでそれはシャレにならないぞ!?」


「じゃあ早くどいてくれ」


「くっ、仕方ない。ならほんの少しだけ分けてやる。お前の小さな体ならこれでもーー」


 充分だろ。そう言おうとしたが、矢が顔の真横を通ったので言い切れなかった。こいつ、マジで撃ってきやがった。


 ゆ、許せんぞ!


「へ、へへ。スピナーさんどうぞお掛けなさってくだせぇ。あっしはほんの少しのスペースさえ、くれたら良いんで」


 

 手揉みでごまをすりながらほとんどの居住地を明け渡した。あんな顔されてたら文句なんか言えないです。


「いや、そんなにいらねーから。座れる分だけで良い」


「そうですかい? なら、ここは使わせてもらいやすぜ」


「てか、その口調と顔やめとけ。三下っぽいから」


「へーい。…………………いま、顔もって言った?」



 聞き間違いじゃないよな? さっきその顔やめとけって言ったよな?

 顔は普通にしてたんだが? なんだ、こいつ。俺の顔は三下っぽいって言いたいのか? 


「ふふ………」


 俺たちのやり取りを見たアリスが口元を抑えている。俺たちの視線に気付いたのか、一度咳払いをすると、いつものイケメンフェイスに戻った。

 が、よく見ると口元がまだニヤついている。


「お前のせいで笑われてんじゃねーか。俺のクールなイメージが崩れただろ。どうしてくれんだ」


「大丈夫だ。お前がクールだった瞬間は1秒たりともない」


「1秒くらいはあるだろ!」



 思わず大きな声が出た。流石に1秒くらいはあったはずだ。心の中で憤慨していると、今度は2人の笑い声。

 アリスとステラが笑っていた。


「ご、ごめん……2人のやり取りが面白くて」


「2人はいつも、そんな感じなの?」



 いつもこんな感じなのだろうか? スピナーと顔を見合わせると、なぜか呆れたような顔をしている。


「えー、スピナー曰くこんな感じらしいです」


「そ、そうなん、だ」


「まぁ、スピナー。あんまり気にすんなよ!」


 親指を立てて、良い笑顔で励ましてやる。大丈夫だ、お前には昨日あいつらと過ごした夜がある。いくら笑われてもその顔が許してくれるさ!


「笑われてんのはお前だよ」


「え、マジで?」


 2人が再び吹き出した。


「ほら、あの4人の反応が証拠だ」


「いや、お二人様ずっと真顔なんですが?」


 なんならカーラはすごい蔑んだ目で見てくるんですが?


「あれは……うん。そうだな。訂正する。あの2人が証拠だ」


「嘘、だろ」



 俺は、クールじゃなかったってことか? 衝撃の新事実に項垂れていると、再び笑われた。

 悲しすぎる。

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