13話 不本意な邂逅
さて、これからどうしようか。
リズから逃亡したは良いものの、あの辺りは近寄らない方が良いな。万が一にも会わないように、他の所でゆっくりしよう。
「お、図書館か……」
あまり来たことがない場所だ。気分転換も兼ねて寄ってみた。
図書館の中は、俺のイメージ通りだった。至る所に本が陳列しており、とても物静かだ。
普段は本とか読まないし、たまには良いかもしれないな。
「……ふむ」
『大英雄 ライヴァン』
ライヴァンの一生を綴られた本だ。これは中々に面白い。たまに小難しい話もあるが、大部分がワクワクするような冒険であるからスラスラと読めて楽しい。
「………ふぅ」
読み終えた本を閉じて、軽く息を吐く。集中して読んだせいか、少しだけ疲れたな。
時計を見ると、いつのまにか1時間が経過していた。
次はどんな本を読もうか。いや、その前にこの本を元の場所に戻してからだな。
「ん?」
長い黒髪を軽く縛った少女爪先たちで本棚に手を伸ばしている。
取りたいのだろうか?
「……あと、ちょっと」
「これですか?」
少女が目的であろう本を取って渡す。そこで後ろ姿しか見えなかった少女の顔が見えた。
「あ……ありがとうございます」
たじろぎながらも受け取ったそいつは予想もしていなかった人物。
月の雫のメンバーであるカーラだった。服装や髪型も違う上に後ろ姿しか見えなかったので全然気がつかなかったのだ。
今日は、不幸の日かもしれない。
「……そ、それじゃ」
「あ………」
気まずい空気が流れ始めそうな気がしたので俺はそのまま回れ右をして図書館を出た。
「くそ、あそこも近寄らない方が良いな」
別に逃げる必要なんてなかったが、なんか気まずい。
「あー、なんか疲れたな」
少し横になって休みたいな。宿に戻っても良いけど、スピナーがいそうで怖いんだよなぁ。せめてもう少し時間を置いてから戻りたい。
「なら、あそこ行くかぁ」
それから15分、誰も通らない細い坂道を歩くと、緑の芝生が敷き詰められた丘が見えてきた。俺は丘にたどり着くと、早速横になる。
「よっこいしょ」
この丘から見える景色は最高だ。街の景色も堪能できる上に、夕焼けは綺麗に見えるし、夜になると街の光に邪魔されないから星がしっかりと見える。
そして、何より素晴らしいのはここには人が来ないことだ。俺の秘密スポットである。
「あー、いい風だぁ」
心地よい風に眠気がやってくる。次第に瞼が重くなっていき、意識がまどろんでーー
「……え?」
「あ?」
頭の方から間抜けな声が聞こえた。せっかく眠れそうだったのによぉ! ボッコボコにしてやろうか!!
憤慨しながら、首を動かすと金髪の獣人がいた。
「………」
猫の獣人であるステラだ。俺は首を戻して目を閉じる。
俺は何も見なかった。見なかったことにするので帰ってください。
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