6話 これどうしよう
さて、とりあえず片付いたのは良いもののこの死体をどうするべきか。
「……売るか?」
いや、駄目だな。中堅ランクの冒険者が討伐できるようなモンスターじゃない。かと言ってこのまま放置するのもなし。
やばい毒持ってるから。
「……焼くか」
そうだな、それが良い。なんか世紀末のバイク乗り回しているヒャッハーも汚物は消毒だー!って言ってたしな。
燃やしてしまおう。
「何してるの?」
「うおっ!?」
後ろから声をかけられて思わず体が跳ねてしまう。気がつけばまたあのパーティが戻ってきていた。
「いや、こいつ燃やそうかなーって。ていうかなんで戻ってきたの? 俺、街へ戻ってくれって言わなかった?」
「貴方が言ったのは、街へ戻ってくれたらありがたいだった。戻ってくれとは言われてない」
「あぁ、そう」
まぁ、どっちでも良いや。とりあえず、こいつ燃やしてさっさと、とんずらしよう。手に魔力を込めると、リズが指を差す。
「それ、ギルドに報告しないの? ネームドだよ?」
「え、いや。ちょっと俺が報告するのはアレなんで」
「……犯罪者?」
「いや、違うから。俺ちゃんとした冒険者だから! こんな変な格好は正体を知られたくないの!! 目立ちたくないの!! 俺は平和に生きたいの!!」
何て失礼な事言うんだこのロリ巨乳は。まったく、エルフというのはデリカシーが無くていかんな!
「……ねぇ、本当に私たちの体が目的じゃないの?」
「だから違うって言ってるだろ!! お前は俺がそんな性欲だけで動いてるような人間に見えんのかよ」
見よ、この曇りなき眼を! って言おうとしたけど、今の俺は変な仮面つけてるからそりゃ怪しいわな。どっからどう見ても不審者だ。
「助けてくれたお礼に……私の体、好きにしても良いって言っても?」
「え……」
「私だけだけど、なんでもしてあげる」
そう言いながら何故か体を預けてきた。豊満な胸の柔らかさと良い匂いのせいで立ちくらみしそうになる。
「ちょ!?」
「リズ! 何してるんですか!?」
「早く離れないと危ないから!!」
が、3人の声で我に帰ってこれた。
そうだそうだ! 少女がそんな事言ったら駄目だ! 俺が本気にしたらどうするんだ! まったくこいつは。
今といい、さっきといい。ちょっと説教をする必要があるな。
俺はリズを剥がして仮面越しに目を見る。
「リズさんよ。もし、俺がぐへへとか言って襲いかかったらどうするつもりだ?」
「……されるが、まま」
「うん、違うねぇ。そこはちゃんと抵抗しようね?」
「貴方は強いから、抵抗しても意味ない」
「そっかぁ。ならそういうことは気軽に言わないようにしよっか? そんな自分の体を安売りするようなことは絶対にしたら駄目だから。いや、ほんとマジで。俺も本気にしちゃうかもしれないから」
「……分かった」
分かってくれたようで何よりだ。つーか男嫌いなのになんでそんなことするんだよ。意味わかんねぇよ?
もしかして、俺に惚れた?
「えっと、ちなみに聞くけど。そんなこと言い出したのって俺がお前を助けて好きにーー」
「全然違う」
「………」
いや、まぁ、うん。分かってたよ? こいつらが男嫌いなのも分かってたし。別にちょっとふざけて言ってみただけだし。
ワンチャン惚れたんじゃないのか? とかそんなこと期待とかしてなかったし。
「とりあえず、そういうことは気軽に言わないように」
「……分かった」
リズはそのままパーティの皆さんのところへ戻った。今日の俺ってクエストも達成できずに、アイテム失った上に恥だけかいたってこと?
なにそれ。最悪じゃん。
あ、やばい。なんか泣きそうになってきた。
「あの、その……」
またもや、涙を流しそうになると、アリスがおそるおそる話しかけてきた。
「えっと。その、貴重なアイテムを使ってくれてありがとう」
「あ、はい。どういたしまして」
「それで、恩を仇で返すのもアレだから。何かお礼とかしようと思ってるんだけど、どうかな?」
「お礼?」
「う、うん」
お礼、お礼ねぇ。アリスに顔を向けると、体が小さく跳ねた。
小さく震えながら顔を真っ赤にして目の端に涙を浮かべている。
今のこいつは王子様の雰囲気とはかけ離れている。
まるで、怖いものと向き合った少女のようだ。
それで、何を考えてるのか理解できた。
もう、やめてくれよ。なんでお前ら俺がそんなことを要求すると思ってんだよ。
逆に俺が涙を流してしまう。
「え、なんで泣いて」
「なんかもう、悲しくて泣けてきた」
「え、あ、そう」
「とりあえず、お礼とかは大丈夫だから。俺、もう帰るわ」
そのまま帰ろうとした瞬間、俺は一つのことを思いついた。
「やっぱ。一つ思いついたわ」
「な、なに?」
俺は自分で倒した狂蒼龍に指を差して、
「これ、お前らが討伐したことにしてくれ」
「え?」
こいつらが討伐したことになれば、たぶん丸く収まるはずだ。謎の白仮面が突然現れてやりました! なんてこと言われるよりは遥かに信憑性がある。
「本当に良いの? ネームドを倒したとなれば、一生遊んで暮らせるだけのお金が手に入るかもしれないんだよ?」
「確かに金は欲しいけど。それ以上に俺はのんびりと平和な生活が送れる方が大事だからな」
3人は微妙な顔をしている。リズだけは相変わらず眠そうな顔してるけど。
「じゃ、そういうことなんで、あとはよろしく!」
俺は爽やかに回れ右をしてダッシュで街へ帰った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます