第255話 反撃
「お主、アランだな? 影どもめ、結局しくじっておったのか。まあよい、今となっては影も剣も余の強さにはついてこれぬ。お前も必要ない」
ユリアンは纏っているどす黒いオーラをさらに濃くする。
その右手に徐々に黒いオーラが集まって大きくなっていった。
「アラン、あれはまずくないか……。全てを吹き飛ばす気だぞ。あんなもの放たれれば我らの背後にある城下町すら塵も残さず壊滅する」
ハロルドたちは冷や汗を流しながらアランを見る。
ユリアンから撒き散らされるドス黒いオーラは触れるだけでも生命力を削られそうだ。
「あんた自分の統治する国ごと滅ぼすつもりなの?」
まずいな、のんびり寝てたら知らない間に死んでたまであるぞこれ。
冷や汗が出てくる。
そんなこといつぶりだろうか。
「ふっ、愚かな民衆どもは余の偉大さを理解できておらぬようだからな、目に見える形で示してやればどんなに愚鈍でも理解できよう。余こそが神より選ばれし支配者ということがな!」
それを聞いたヤルートがたまらず言い返す。
「バカな、民あっての国、民あっての王なのだぞ! 瓦礫の国の王になって満足かッ!」
「バカめ、民草などすぐに生えてくるわ、いくらでもな! それにレイジング王国を征服して奴隷を連れてくれば当分は事足りる。そういえば……」
ユリアンはニヤリと笑う。
「かの国にはアランの恋人がいるそうではないか。余の特別な奴隷にして可愛がってやろう! その様子をあの世から指を咥えて眺める権利をくれてやろうぞ。滅びの声を聴け、『タイラントレイブ』!」
ユリアンは握りしめた右の拳を真っ直ぐ突き出し、限界まで拡張された黒い塊をアランたちに向かって放った。
「……させないよ、【リバース】!」
絶望の黒い奔流がアラン達を覆い尽くしていった。
◇◇◇
「さて、さしもの余もこれほどの力を使うと多少は疲弊するな。壊したものはまた造ればよい。あとはゆるりと余による余のための王国を再建するとし……なっ⁉」
暴君が放った黒い奔流が収まったあと、そこには変わらぬ姿でいるアランたち。
それどころか満身創痍だったはずのラウンド侯爵たちは完全に治っているし、それより前に盾となって倒れたはずの連合軍の精鋭たちも生き返っていた。
「いったい何が起きたのだ……?」
敵であるユリアンはもちろん死を覚悟したラウンド侯爵たちも同じ疑問を抱いた。
「さてね」
全てを破壊するため放たれた『タイラントレイブ』はアランにより効果を反転させられ全てを治す効果をもたらした。
いったんは『ブラックテンペスト』で力尽きた者たちも生き返り、さらには遙か後方の城下町の者たちに影響を与えていた。
ある者は腰痛が治り、魔物との戦いで手足を失っていた冒険者は再生し、不治の病にかかっていた者は奇跡的に治癒していた。
もっとも、なぜそうなったのか的確に把握する者は誰もいないのであるが。
「アラン、貴様の仕業かっ! お前の行く先では不可解な出来事が起こっていたと報告が上がっていたが……。ならば致命の一撃をたたき込むのみだ!」
ユリアンは再び右拳に黒いオーラを集めようとする。
だが集まったのは白いオーラ、癒やしのオーラであった。
「それも僕が反転させてあげたよ」
アランが『タイラントレイブ』をやり過ごしたあとにこっそり【リバース】を発動し、油断している真王の【暴虐の王】を【慈悲深き王】に変えていた。
「な、なんだと……」
「じゃあ仕上げ行くね。『パーマネントフロスト』!」
◇◇◇◇◇◇
スキルと性格は必ずワンセット、というわけではないので【慈悲深き王】になっても、性格自体は変わりません(書籍版ヘクターも同じ)。
スキル:【リバース】【神眼】【剣神】【拳神】【槍神】【灼熱魔法】【凍氷魔法】【晴嵐魔法】【岩鉄魔法】【神聖魔法】【暗黒魔法】【時空間魔法】【雷神剣】【怪盗紳士】【ニンジャマスター】【真理の究明者】【怪力乱神】【韋駄天】【痛覚緩和】【状態異常完全耐性】【闇精霊の守護】【超直感】【ヘブンズゲート】【深淵の契約者】【マジックハンド】【トレジャーサーチ】【誘惑】【煽動】【テレメスメリズム】【雄弁】【強運】【成長速度十倍】【成長限界突破】【残影魔法】【ダークストーカー】
ランク:オリハルコン
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