令嬢トリアは跪かない 死に戻り皇帝と夜の国
青田かずみ
序章
死ぬのはこれで十一度目だ。
首を折って死ぬこと一回。毒を盛られて死ぬこと二回。高所から落とされて死ぬこと三回。切られたり刺されたりして死ぬこと四回。
死亡に
「なるほど、今回は焼き殺すつもりか」
吐き出した声はかすれており、発音も
「これの次は氷
毎回あれやこれやと殺害方法を変えてくるやる気の高さには、正直感心してしまう。
死に至った毒殺や
ため息を
(炎の勢いから察するに、燃えているのは
涙はすぐさま熱風によって
(なかなかどうして、思い切りのいいことをするじゃないか)
ようやく咳が落ち着いた口元を
もちろん価値のある家具や美術品、宝飾品はあらかじめ持ち出されているだろう。が、
(強い人間に取り入り、金を
ごうごうと炎が
すでに室内の三分の一が火の手に包まれている。
意思を持っているかのごとき炎は、少しずつ、着実に近付いてくる。
(焼死、か。さて、これはどの時点で『死んだこと』になるんだ)
気道が熱風で焼かれたことによる呼吸困難、もしくは酸素不足による
『大丈夫、大丈夫。あなたは死なない』
『死なない、死なない。絶対に死なせない』
炎の音に混じって明るい声が
奥歯を強く
(彼女が外に出ていて良かった)
屋敷にいた者たちも、自分を
(一番の問題は、この後どうやって
死ぬことに対する
来たる死を受け入れるため、ゆっくりと両目を閉じる。いつか、遠くない未来、本当の意味での安らかな死が訪れて欲しい。
(……いいや、違う。俺に安らかな死など、永遠に訪れるはずがない)
この
無意識の内に、
「――ラウ!」
驚いて見開いた目に飛び込んできたのは、燃え盛る炎の中でも
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