10話 レベルアップおめでとう

「休息は十分に取れたか?」

「う、うん」


 首を縦に振るシズクだったが、実際はあまり眠れていないだろう。2層はずっと太陽が出てるせいで時間の感覚は狂うし、転生したばかりで覚めぬ興奮もある。そこら辺を今日は考慮して探索を進めないとな。


「取り敢えず朝ごはんに」

「あ、あの!」

「ん?」


 もじもじ足をくねらせるシズクに俺は察する。


「あー、じゃあ俺、外に出てるから」


 『セーフゾーン』は言っても半径10メートル程度で、しかも草原地帯のせいで殆ど目隠しになるような場所もない。ここは俺が遠くまで出ていくべきだろう。


 そう思って、最低限の武器になるようなもの、魔兎の牙だけ持って出ようとすると、シズクに手を掴まれた。


「い、いや、私が出ていきますから!」

「え、でも」

「だ、大丈夫です! 私、強いですから!」


 まぁそれはそうだろうが……と俺が言葉に詰まるとその隙を突くようにシズクは『セーフゾーン』を出てそのまま走り出してしまった。


 うーん、気を遣わせてしまったかもしれないな。まぁ、でも俺より強いのは事実だし、時間的にも豪風は発生しない。


「ま、大丈夫か」


 俺がそう呟いたその瞬間だった。


「キャーーーーーーー!!!!!!」


 つんざくようなシズクの悲鳴が聞こえたのは。

 

「大丈夫かっ!?」


 声が聞こえた方へ全力で走る。


 魔物に遭遇したか? シズクには回復スキルがある、急げば間に合うはずだ。


「<疾走スプリント>っ!」


 さらに加速する。


 加速して、加速して、それで見付けたシズクは───


───死んでいた。


 遠くからでも何故かはっきり分かった。でも、駆け寄られずにはいられなかった。固まったようになってる全身の筋肉を無理やり動かして、うつ伏せに倒れているシズクの元に行く。


「あ……頭が」


 シズクの頭が無い。血が出ている。シズクの頭が無い。真っ赤だ。死んでいる。シズクが死んだ、死んだ? 死んだ死んだ死んだ死んだ。誰のせいだ? 俺のせいだ。迂闊だった。殺してしまった。俺が殺した。俺が、俺がシズクを殺した。殺した殺した殺した。


 震える瞳孔でもはっきりとシズクの死が分かる。彼女の冷たい手を握れば、もう俺は立てなかった。こんな時でも輝く太陽がひたすらに苛立たしかった。







ステータス 

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[リューロ・グランツ] 19歳 人族 男

レベル 30

体力 B

魔力 A

膂力 B

俊敏性 B

スキル<逃亡エスケープ>< 疾走スプリント ><軽量化ウェイトリダクション><隠密ハイド><治癒ヒール><反転リバース><対象変更ターゲットチェンジ>


称号

[転生者の篝火]⋯転生者と出会い導く運命を神に与えられた者の称号。その篝火を灯せば転生者は正しく道を歩み貴方に感謝するだろう。その篝火を消せば転生者は霧の中を彷徨い、全ての力は貴方の手の上のものになるだろう。


転生者特典

[超回復]



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