急変時点、死んだ私は最強を目指すハメに。
明日いう
1
その日も、
でも―――そこでふと気付いた事がある。そう、どうしても助けられない人が数名いることに。
⋯⋯そんな絵衣は疲れていた。疲れていたから今絵衣は⋯。
「持ってけクソがぁ゙!」
などと言って普通に電車に轢かれているのかもしれない。因みに只今、絵衣は死亡中である。
そう、絵衣は気付いたのだ。あ、これ無理だなと。
絵衣は自分の諦め癖をよく知っていたし、もう疲れていたというのも気付いていた。
⋯だから絵衣は自分を捧げて他の人を助けるという横行に出たかもしれない。
そしてその目論見は見事成功を果たした。あぁ、最初からこうすれば良かったのかもな。そう何処か壊れた心で思う絵衣。
そうこうしていると絵衣の身体が不意に浮いた。あ、もしかしてこれがそういうことなのか? と、絵衣は勘づく。それと同時に自由だということに喜ぶ。
そして好奇心が増した絵衣は取り敢えずホームの端っこに移動し―――え? 嘘だろう? 意外と移動が難しい。ぐぬぬッ!
と思いながらその後何とか移動した絵衣。
今の絵衣は端から見たら電車に突っ込んだ唯のアタオカな地縛霊である。そして膝を抱え下を俯いているというのも加えておこう。
そうしてメソメソと今更、やりたい事も色々あったのに。と、落ち込んでいる絵衣は下を俯きグチグチ呟いている。そうやって落ち込む数分―――ッ! と絵衣は何かを感じ取ったようだ。
い、今視線がこうワッてこなかったか? いやワッていうよりゾッと寒気すらする重圧感の在るスッゴク怖い視線か。だというのに静かさも感じるのだから恐ろしい。
ウゥ、くるなら来いや!
そう思いながら膝を抱え下を俯きながら端っこに座り込んでいる絵衣。その姿勢だと説得力の欠片もないし凄く格好悪い。
近付いて来る感じがする。足音はな―――え? 足音がない?! と絵衣が思う中。
「ねぇ、君が最近ここで死んだという霊だろう?」
という女性のような柔らかな声が上からした。
その言葉に絵衣は顔を上げようとすると
―――ッ、鋭い視線を向けられて絵衣は震えが止まらずとても恐くなった。
「あぁ、顔は上げなくて良い。」
と、言われる前に小心者の絵衣は当然、既にやめている。
「ん゛ん。よーく聞いてくれ。」
と、急に咳払いをして多分女性の人が言う。
「それを使えるという君を見込んでのことだ。」
と、直ぐ様言葉を続けた。その言葉に絵衣は思わず顔を上げた。否、顔を上げてしまった。―――ッ! え⋯⋯。と、絵衣が震える中。
「あ、言葉も出ないといった様子だな。でもマァそのまま聞いてくれ。」
そう、微笑みながら言う女性に絵衣は思わず目と思考を奪われ、ない筈の心臓まで脈打つという恐ろしい結果をもたらしていた。
そのことに思わず絵衣は困惑している。何故、自分の心臓は脈打っているのか? 何故、自分の目は動かないのか?
その思考は唯の変態のようだ。ただ同時に絵衣は恐くもあった。
「先ず君には働いて貰う。勿論、拒否権はない。」
と、にっこり笑って言う美人という美人(下手しなくとも世界が熱狂するレベル)の人、否。存在に絵衣は言葉が出ずもはや小動物のように震えている。その震えは恐さか、それとも唯の変態心か。
そして思わず頷く絵衣。
「―――良かった。頷かなかったらどうしようかと。」
そう、絵衣には聞こえない声で言う美人。その表情はまるで獲物、いやおもちゃを見る眼だ。そんなことにも気付かないお馬鹿な絵衣は―――未だに何故不整脈が起きているのかを考えていた。
多分、絵衣は圧倒的に性癖に刺さるという存在を前にしてタジロイでいるだけだろう。まぁ、こんな存在を目にして無事で済むわけがない。
「それでは本題に移らねばならないな。⋯簡潔に言おう。
そう、君には最強クラスになって欲しい。マァ、つまりは私と同じ土俵に来て欲しいのだ。⋯⋯その良い人材がいなくてな。」
と、真剣な表情で最後は明後日の方向を見て言う美人に絵衣は―――。え、何か刺さる。横顔もウッ! と、言って心臓を抑えてる。
正直言って端から見たら唯の変態だ。そして未だに性癖にグサッと刺さっているという事実に気付いていないようだ。
「⋯⋯私と来てくれ。」
そう言われた瞬間に絵衣は気絶した。いわゆる、尊死を実際にやるという事態が起き美人を困らせる絵衣。
その美人は少し考え込んだ後、絵衣を抱えて人が溢れかえる電車のホームの中一瞬にして姿を消した。当然、周りはあんな美人がいるというのに絵衣のような事態には陥っていない。
そんな中、気絶して移動を果たした絵衣は―――今、困惑していた。
「私がお前を担当する。
と、にっこりというか絶対内心笑ってない笑顔で手を差し出し言うのはキリッとした顔立ちの美人。えーと、桐亜さん? だ。それに流石のお馬鹿な絵衣でも気付き、今震えているし困惑しているというわけだ。
そう、お馬鹿な絵衣は美人というだけで誘いに気付いたら頷き、何故か最強クラスを目指すハメになっていたのだ。
これはそんなお馬鹿な絵衣が―――最強クラス、いや
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