126 池

 その廃寺の干上がった池には時折水が溜まるという。どうせ雨が降ったからとかくだらない理由だろうと真夏の晴れた日の夕方覗いてみると、確かに池には水が溢れんばかり溜まっていた。中では鯉も泳いでいる。ヒグラシの鳴く声に我に返ると水はなくなり、ただ線香の匂いだけが漂っていた。

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