95 蝶(2)
ねずみ色の扉の向こうは、極彩色の世界だった。紫煙の先に甘い水があり、狂ったように蝶が飛び交っている。私は蝶のドレスを着て舞う。部屋の奥には蜘蛛がいて、蝶を全て絡めとる。蜘蛛の巣に捕らわれた私は、もう外へは行けない。ねずみ色の世界で這いつくばって生きてはいけないから。
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