第111話勝負開始
従業員は顔を青くしながら急いで店に入っていった。
そう華鶴うどんの従来のスタッフは見たことのない朝の長蛇の列に慌てて店にはいったのだ。
厨房ではすでに調理が開始されいている。
オープンと同時に食べられるようにテーブル席の数だけうどんを用意しなければならないからだ。
もう揚げたての天ぷらを提供とかこだわってる場合じゃない、あの行列を早くさばかないといけない
厨房は戦場だった。
まさかこんなに並ぶとは思わなかったからだ。
何処か少し人気がちょっとだけ回復する程度の甘い考えでいたが、近隣の迷惑になりそうなくらいの行列ができていた。
開店時間前にはテーブルにすべて並べ終えたがそこで終わりじゃない、次の列のために作り続けなければならない。
こうなってくると問題なのが器が足りないということだ。
回収して皿洗いという行為がラグになる。
今日から1っか月間だけ働いてくれる短期バイトがいる。
時間ギリギリに出勤してきてなんというか心配しかない。
とりあえず配膳や空いた器の回収と皿洗いを担当してもらい様子をみることにした。
開店と同時に客がなだれ込んでくる。
席案内は奥から詰めてくださいということだけだった。
客はすでにテーブルに用意してある定食に驚いていた。
レジは一台しかないので当然食べ終わった客が会計で渋滞を起こすのを防ぐために、会計は番号札を持ち座席待機にした。
開店から疲労を隠せないスタッフたちはこの列がいつ途切れるのかと用意した材料は足りるのだろうかと不安でいっぱいだった。
一方小鳥遊サイドはいつも通りというか想定通りの行列だ。
麺もスープも大量に用意している。
全員最大麺マシしたって大丈夫なほどの用意周到なのは毎日行列を捌いているからだ。
麺マシシステムがある為、先に作って出せるわけではない。
提供時間を埋めるためにも事前に注文を聞いておくということが大切なのだ。
事前に聞くことにより次の麺量をどのくらい茹でればいいのかわかる為スムーズな調理ができた。
大きな器に盛られる大量の麺に店内では歓声があがる。
太郎常連客が気にするのは回転率だ。
客と言えどもお店が儲からなければ美味しい麺を毎日食べられない。
少しでもお店に貢献できるよう食事をするのは当然の行為である。
〇〇分以内に完食できる分しか頼むなという客が勝手に決めたルールはガチである。
効率的なオペレーション、理想的な回転率を維持できているのは客と店の気持ちが一つになっているからといえよう。
華鶴うどんにとってはハードな一日がおわった。
いままで経験したことのない行列にスタッフは疲労困憊だった。
ろくに休憩も取れないし閉店まで満席が続いたからだ。
こんなのが1っか月も続く・・とげっそりしているのをよそに
臨時バイト君たちは元気いっぱいに帰って行った。
即戦力という働きをしたのは臨時バイト君だった。
なんで初日に入ったバイト君が従来バイトよりも機敏に動きてきぱきとこなしていた。
皿洗いの速度も迅速丁寧で食器不足にならなかったのもそのおかげだった。
理想的なスタッフである臨時と言わずずっと働いてほしいほどだ。
一日の売り上げが一週間分以上の数字を叩き出し栗田ミトの笑いがとまらなかった。
これはすごい!と大喜びだ。
本気で佐々木努をどうやれば小鳥遊のように囲い込めるのか。
どうすればと結婚の文字がちらつき始める栗田ミトであった。
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この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません
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