第4話 王様との謁見

チュンチュン


さえずる小鳥の鳴き声を聞きながら


(あぁ、これが朝ちゅんか…)


と、少しの現実逃避をする。


「ん〜

おはよ、リリ」

『おはよう、リン』


この会話だけ見ればまるでカップルだろう。

そう、誰も異世界召喚された女子2人だとは思うまい。


コンコン


「ノック?」

『誰だろう?』

「失礼します」


ノックをして入って来たのはメイドさんだった


『えっと…?』

「王様からの言伝を伝えに参りました。」

「王様から?」

「はい、本日正午に謁見の間に来るように、と」

「謁見の間?」

「お時間になりましたら、迎えの者が来ます。

そしてこちら、お食事です

それでは、私はこれで。」

『あっはい。』

「王様か…」

『なんでリンそんなに落ち着いてるの?』

「だって私たち異世界から来たでしょ?

だからワンチャンこの世界の法律適用されないんじゃないかなーって!」

『さすがにそれは無いでしょ』

「まぁそれもそっか

それじゃあ昨日の続き話てー」

『わかった、昨日はヴィクトリアについて話したんだよね』

「そうそう」

『次は《ソフィー》について話そうかな』

「ソフィー?」

『そう、ソフィー別名【英知の地】この地には色んな書物が溢れているね、まぁ偶に禁書の違法取引も行われているらしいけどね』

「こっちでもそういうのあるんだね」

『まぁね』

『次は《アイーダ》かな

アイーダは【幸福の地】と言われていて、この地には魔道具がたくさん揃ってるかな』

「魔道具?」

『あっ、魔道具の説明がまだだったね

魔道具っていうのは、地球で言う電気を使って使う電気製品に似てるかな?

ただ少し違うのはこの世界は科学が発展してないから”魔石”を使うってことかな』

「その魔石が電気代わり?」

『どちらかと言えば電池かな

この世界には魔物がいて、それを倒したら取れる素材なの

魔物の強さによって魔石の価値も違うから、冒険者はそれを売って稼いでるかな

もちろん、依頼を受けて仕事をすることもあるけど』

「魔物はどうやって倒すの?」

『魔物はスキルで倒すんだよ』

「RPGみたいな?」

『うん、この世界ではレベルがあってそのレベルが上がる事に使えるスキルが増えたり、体力が増えたりするんだ』

「どうやってレベルをみるの?」

『簡単だよ、ステータスって心の中で唱えたら頭の中に浮かび上がってくるから』

「……本当だ!浮かび上がってきた!」

『でしょ?

それじゃあ話戻して最後の地についてね

最後の地は《ブレイク》この地は別名【終焉の地】主に死刑囚が最後に向かう地だよ

この地は魔物がうようよいるからね

1度入ったら最後生きて出たものはいないんだ』

「なるほどね」


コンコン


「失礼します」


丁度話し終わったところで、1人の騎士が入ってきた。


「お迎えに上がりました」

『あっはい』

「ついて行けばいいですか?」

「そうですね、それでは謁見の間へ案内します。」


そこから歩いて謁見の間へ向かった。

私は陛下と謁見したことはない。

というより陛下の顔を見たのは婚約発表だったり、次期統治者候補の紹介で見るぐらいだ。


(そう思うと陛下と謁見ってすごいことなのよね)


そんなことを考えていると、いつの間にか謁見の間に着いていた。


「それでは、私はこれで」

「ありがとうございました。」

『ありがとうございました。』


そういうと、騎士様は歩いて行った。

この先に陛下がいるのかと考えると、かなり緊張する。


「それじゃあリリ、行こう」

『う、うん』


重い音を立てドアを開ける


「失礼します、異世界から来たリン・ヨザクラと申します。」

『リリ・キサラギです。』

「うむ、顔を上げよ」


久しぶりに見た陛下は昔見たままの姿だった。


「この度は授業とは言え、このような間違いを犯してしまい誠に申し訳なかった」

「いえ、ですが普段からこのようなことを?」

「いや、普段は動物を呼ぶようにしておる」

『それでは何故私たちが、、、?』

「うむ、それはヴィクトリアの次期統治者ルイス・クランが故意に起こしたものらしい」

「…そんな勝手が許されるのですか?」

「無論、許されたことでは無い

異世界の人間を無責任に呼ぶなど禁忌に値する」

『それでは、私たちはどうすれば…?』

「そこでだ、ルイス・クランにはこちらで然るべき罰を与える、そして貴殿らには貴殿らの望むもの、待遇を与えると約束しよう。

帰れないというこちらの都合でそのようなことになったのだ。

せめて、貴殿らの望む生活を約束しよう。」

「…分かりました、少々考える時間をください」

「うむあいわかった」

『それでは、失礼します』

「この度は貴重なお時間をおとり頂き


そう言って、私とリンは謁見の間を後にした。

部屋に戻ると、リンにある提案をされた。


「ねぇリリ、提案なんだけど」

『どうしたの?リン』

「私と冒険者にならない?」

『えぇ!?冒険者!?』

「ダメ…かな?」

『えっと、私てっきり学園に通いたいって言うと思ってたからびっくりして』

「絶対いや!あんな奴等がいるところになんて通いたくない!」

『あはは…』

『それじゃあ陛下には何をお願いするの?』

「それなんだけど、ここでの通貨ってなんなの?」

『あぁ、この世界での通貨は《マヤ》と呼ばれるコインで、金、銀、銅のコインがあるよ』

「日本円にすると?」

『大体、銅のコインが10円、銀のコインが千円、金のコインが1万円ってところだね

価値は銅のコイン100枚で銀のコイン1枚

銀のコイン100枚で金のコイン1枚だよ』

「なるほど、、、

あと、冒険者になるために必要なものは?」

『冒険者になるためには、まずは装備かな

あとキャンプグッズみたいな?』

「なるほど…」

『そういえば、リンのスキルは何だったの?』

「えっと、多分聖なる剣って書いてあるから《聖剣》?だと思う」

『聖剣!?

それって、勇者とかそういう類の人しか持てないスキルだよ!?』

「でもレベル5だよ」

『レベルはこれからどうとでもなるし』

「まぁそっか

リリは?」

『…私は《平穏》』

「へいおん?どういうスキルなの?」

『…になる』

「え?」

『私だけ相手にダメージを与えられないけど、自分にダメージも通らない』

「強いじゃん」

『うん、これスキル保持者しか効果ないんだ』

「…どんまい」

『うん、、、』

「とりあえず今日はもう寝よっか

明日王様に冒険者になることを伝えるね」

『わかった

おやすみ』

「おやすみ」

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