第2話 異世界召喚

※基本的に主人公視点で書きます。

別視点になる場合は[○○視点]と書きます。

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突然だがあなたは”前世の記憶”というものを信じるだろうか。

現代の日本においてはフィクションとしては存在しているが、実際に前世の記憶があるなどと言われても信じる者は少ないのではないだろうか。

これはそんな前世の記憶を持って現代社会に転生し、再び異世界へ行った不思議な少女達の話である。


ピピピッ ピピピッピピピッ


『うぅ…まだ眠い…』

「りりー!早く起きないと遅刻するわよー!」

『はーい!!』


いつも通りスマホの電子音で起きて、1階のリビングへ行く。


『お母さん、おはよう』

「おはよう、莉々

朝ごはんとお弁当は机の上においてある からね。」

「あっそれとお母さん今日遅くなりそうだ から夕飯適当に食べてね」

『はーい、行ってらっしゃい』

「うん、行ってきます」


私の家は母子家庭だ。

父親は私がまだ幼い時に他界した。

別にお金に苦労している訳ではないし、今の生活でも私は十分幸せだ。


『あっ、もう7時半か

鈴と待ち合わせしてるんだった』

『行ってきます』


誰も居ない家になんとなく挨拶をしたくなった。

いつもはしていない。

ただなんとなくだ。


『りんー!』

「莉々!おはよー」

『うん、おはよう』

「ねぇねぇ、昨日のこのアニメみた?」

『見たよー』

「原作の漫画とちょっと違ったけど普通に面白かったよね!」

『わかるー』


そんな他愛もない会話をしながら、2人で通学路を歩く。

いつも通り、そういつも通りのはず、、、だった


キキーッ!


『え?』

「は?」


ドンッ


そんな鈍い音が響いた。


(あれ?なんで私の目の前に空が?

それに、おかしいな、今は春まだ暖かいはずなのに)


少しずつ、冷えていく体

頭の中はどこか冷静でなんとなく理解した


(あっこれ、死ぬな)

(嘘でしょ?また死ぬの?しかも、前世と同じ年齢で…)


私には前世の記憶がある。

と言っても私が前世何かすごいことをしたのかと言われればそうでは無い。

家柄は普通、学力も見た目も何か秀でた才能がある訳でもない。

本当に普通だった。

学園に通って、それなりに学友もできていた。

そんなある日、第1王子殿下の婚約者様がある事件を起こした私はそれに巻き込まれ死んだ

17歳だった。

この記憶を思い出したのは5歳のとき。

頭を強く打った衝撃で思い出した。

けれど私はそのことを誰かに言うつもりはなかった。

鈴に会うまでは、、、

鈴に会ったのは小学四年生のとき同じクラスになり席替えで隣の席になったことから話すようになった。

鈴は家が神社で不思議なものがたまに見えてしまうらしい。

そこで私に声をかけて来た。

前世の話をするつもりはなかったがなんとなく、話しても良い気がして前世の記憶を話した。

気味悪がられるかもしれない、話した後に少し後悔した。けれど鈴は変わらず私に友達として接してくれた。

その長い交友関係が今でも続いていた。


(鈴…に申し訳…ないな…)


本格的に意識が薄れていく。

そんな時、手に微かな温もりを感じた。

頑張って顔をそちらに向けると、、、


『り、ん』


私の手を握る血まみれの鈴の姿を最後に、

私も意識を手放した。


そして次に目を覚ますとそこは、、、

私のよく知る学園の教室だった。


『え?』

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