第2話
その頃。
14歳の
(私は騎士。明日香は逃亡者。何かあったら明日香を守ってあげないと…)
「お姉ちゃん?どうしたの?」
「明日香。今は黙って。危ないから」
「はーい…」
明日香が居なければ、普通に[騎士]として戦える。なんなら明梨は剣道部の中でもトップで、県大会で優勝した。しかし、明日香を守るという任務がある今の明梨は、そう簡単には戦えないのだ。
「ちょ待って…お姉さん!」
さっきの人は追いかけてくる。口調的には大丈夫そうだ…が、油断させるつもりかもしれない。
「お姉さん、俺はっ…あう…痛ぁ…!!」
転んだらしい。今のうちに逃げる。
「お姉さん、お願いだから、待ってくれえぇ……………」
離れて声も聞こえなくなってくる。
「ふぅ…明日香、怪我ない?大丈夫?」
「うん。それよりお姉ちゃんは?大丈夫?」
「大丈夫。…あの人。いったい何なの…」
「?お姉ちゃん?」
「あ、いや、な、ななな何でもない」
「兄さん」
一人の少女、
「どうした」
「兄さんの役職って何」
「俺は応援団だよ。月華は?」
「私も」
「そっか!…っていうか、最近月華って俺に冷たいよね…俺、なんかした?」
「した」
「何したの?俺」
「…私が大切に取って置いた期間限定のチョコゼリーを食べた」
「えっ!?それだけ?」
「…?何がそれだけなの?」
「…え?」
数分間言い合いを続け、結局…
「月華様、大変申し訳ございませんでした」
陽太が言い合いに負け、土下座。すると月華は満足そうに頷き、
「じゃあ、デスゲーム終わったら高級焼肉屋連れてって」
「…え?奢りってこと?」
「うん。そゆこと」
「うわぁ…」
そんな会話をしていると。
「あ、月華。狂人の情報入ったよ」
「ホントに?」
月華の顔は、さっきまでは暗く、ドス黒いオーラを纏っていたが、中の人は明るい子らしい。
「えっと、名前は白石安奈。女性。銀髪。大体17歳くらいで、美人。
「誰がその情報を?」
「
「有能だね、その人」
ピコンピコン。
スマホから着信音が。兄妹は早速確認。
【通知】[運営より]
{ただいま、鬼により
(葬られた…鬼に捕まったって事!?こんなに早く…さっきまで讃えてたのに…)
一方、陽太は別のことを考えていた。
(邪魔だから、葬られたのか?なら、あまり目立った行動はできない…)
そして、最後にこう呟いた。
「俺は、応援団じゃなくて、実は…………………だから、な」
(どうしよう、俺、足遅いのに。鬼ごっこなんて…無理だよ…)
心の中でそう呟いたのは、
(しかも、俺、騎士じゃん…。結構重要な役割じゃん…)
そう油断していると、背後から急にタッチされた。ビビったが、振り向くのが怖い。死を覚悟した忠司だが。
(…何も起こらない)
「よう、秋野。俺だ、
冬馬は真の大親友。足が速い。
「秋野、お前逃亡者だろ?ちなみにだが、俺も逃亡者」
「え…あ、うん。樽井!一緒に逃げてくれないか?」
「ああ」
そして、しばらく雑談していると…
「獲物みっけ」
「狂人、白石安奈、か…」
「ふーん。バレてるんだ。まあいいや。鬼にタッチされたし、アイツ。ミサキ…だっけ?」
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