第98話 チョコバナナ
子供達が小腹が空いた時に食べるかな〜とパン屋さんでチョコバナナを買ってきた。
バナナをチョコでコーティングして、バラバラと彩り豊かなチョコチップをトッピングした定番、一つ148円。
キッチンでこれを見つけた夫は、気に入らないらしく…何度も何度も私を叱りつけた。
くだらない!何故こんなものを買ってくるんだ!
バカじゃないのか!くだらない!怒
我が家は、家族でお祭りに行ったことがない。
ファーストフードも行ったことがない。
ファミレスもフードコートもない。
勿論、その全ては母である私と母子体験済。
体験どころか、なんなら常連だ(秘)
子供達は、お祭りでチョコバナナやりんご飴が売られているのは勿論知っていて、その名残でパン屋さんのチョコバナナも好きなようだ。
一緒に行くと自らカゴに入れている。
夫は、小さい頃スナック菓子を食べた事がない様子。
ファーストフードは、小学五年生の頃初めて行ったとのこと。
父親が地元の由緒正しきレストランで、席が気に入らず突然に退席。
その時、近くにあったマクドナルドに初めて入り嬉しかったと何度も聞いた。
彼の家は、御典医の時代からの医者家系だ。
ただし、想像するような豪邸や豪遊とは少し違う。
高校生の頃、友人に「お前んちって金を使う場所がおかしい」と言われたらしい。
何とも説明のしようがないのだが、成金ではない「きちんとした家」というのが比較的表現としては適切のような気がする。
きちんとした…というのは非常に難しい表現なのだが、まあスナック菓子も食べず俗に言う邪道な食べ物やジュースも飲まない。
勿論、チョコバナナ等有り得ないといったところ。
義母は料理上手ではあるが、お菓子を作った話は聞いたことがなく…おそらくお菓子の概念が違うのかもしれない。
彼は枝豆にもこだわりがある。
国産は勿論だが、品質ではない。
枝豆は、家長のみが食べられる食材。
子供は、家長から少しだけ小さな山を配られ、それをほんの少し食べられる。
私と結婚してからも、食べ終わった枝豆の皮を机の上に直接積み上げる儀式は続いている。。。
山が大きい程偉いのだそう。
それを見ているだけでも、小さい頃に家長に忠実に生きてきたんだなと思う。
まあ、その位なら…と思うが、彼の腕には焼き入れ跡があり…家長に逆らえば煙草を押し付けられていた様子が伺える。根性焼き?
義母が顔に皿を投げられ流血、義父自らが縫った義実家…今ならちょっとした事件だ。。。
今でも父の前での夫は、まるで小さな子供。
こんな言葉遣い出来るんだ…というくらい別人の夫。
その義父と我々母子は、距離を置いている。
この春に久々に会って、腹の底から出す低い声で呟くように吐き出した唯一の言葉「うるさい」の声は今も鮮明に覚えている。
義父は何かしらの精神疾患だと思われるが、夫は長女が医学部に受からなかったからお前達は相手にされないだけだ!と、チョコバナナのお叱りの次に私に言い放った。
小さなチョコバナナ、美味しいチョコバナナ、甘いチョコバナナ、彼にはこの美味しさは生涯わからないだろう。
それにしても、今は大量のスナック菓子にジュースにビール、90キロ超級。。。
オリンピックに出る訳では…ない様子(汗)
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