第52話 義母

夫の母、つまり義母と10年ぶりに買い物に行った。

国公立のみが大学だと言う夫は、私学にかかった受験費用や今通う獣医学科には1円も出たず、ここまでやってきた。

私を不憫に思った義母は、私に少しでもお金を渡したいと何度も言うので…それならば代わりに御祝を孫に買ってあげて欲しいと伝えた。


元々成人した頃、ある有名な整腸剤の薬害で足に麻痺が出ている義母。

彼女は、なかなかの生い立ちで…自分の父の事業失敗により姉弟の中で一人だけ養子に出ている。

そして薬害、足の麻痺による歩行困難。義父(医者)との強制結婚。

怒った義父から顔にお皿を投げつけられ出血が止まらず、義父に縫われた母。


初めて病院以外の場所に車椅子で行く母。

パパ活の時、ご・め・んって言いなさいと息子に言っていた母。

息子にも自由がある!等と言って庇っていた母。


正直複雑だ。。。

それでも以前より小さくなった母は、母。

車椅子を押しながら、買い物を楽しんだ。


服や鞄、一通り御祝を買って頂き、帰路へ。

早く帰って義父の食事の支度をしなくてはと義母。

室内では、腹ばいになって生活をしている中で、どうやって食事を作るのだろう…?


車椅子に乗せて勝手口に到着すると、義父がいた。

私の挨拶には反応なく、孫の言葉に対しても反応なく見向きもしない。

義母が久々に来てくれたわよ~と言っても、野太い声でうるさい!怒と一言。

夫の1000倍の圧だった…。

この人、普通じゃない…子供と無言のアイコンタクトをとった。

あまりに凄い圧に、このままでは危ないと判断。


帰りの車の中…私の将来が少し怖くなった。。。



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