第6話 住山紅葉と住山楓
☆住山楓(すみやまかえで)サイド☆
私は。
隣に居る弟を。
というか隣に居る彼を私は...弟と思えなくなってきている。
その理由は分かる。
何となくだけど分かっている。
だけど口に出すのは心底怖いのだ。
関係性がぶっ壊れる様な気がしてそれが嫌だ。
私はそう考えながら「ただいま」と帰って来る。
悩みながら帰って来る。
そして私は誰も居ないリビングを見る。
今日も...また出て来てないのか。
私はゆっくり2階に上がる。
それからドアの前に腰掛ける。
「...紅葉」
「...」
「...お姉ちゃんね。もしかしたらだけど恋をしているかも」
住山紅葉(すみやまもみじ)。
15歳。
中学生の頃から不登校になっている私の妹。
銀髪が原因でいじめを受けた。
で学校に通えなくなった。
銀髪は突然変異のアルビノだ。
私は綺麗だって思うのに。
酷い話である。
「...紅葉。顔を見せてくれない?」
「...」
「...そっか。...じゃあまた...明日ね」
そう言いながら私はゆっくり立ち上がる。
するとドアが開いた。
私は驚きながら紅葉を見る。
紅葉はパーカー姿でヘッドフォンを下ろす。
「好きな人って誰」
「...興味あるの?」
「...お姉ちゃんの事だから」
「...私の幼馴染の彼だよ。貴方も知っている」
「...ああ。お兄ね」
そんな感じで反応する紅葉に涙を浮かべる。
そして強く抱きしめた。
紅葉は「ちょっと。お姉ちゃん」と反応するが。
愛しい私の妹にそんな反応されても嫌じゃ無いのだ。
「...お姉ちゃん。苦しい」
「えへへ。良かった。...紅葉の顔が見れて」
「あまりお風呂入って無いから臭いよ」
「じゃあ今日入ったら良いんじゃないかな」
「...そうだね」
紅葉はそう言いながら私に笑みを浮かべる。
ぼさぼさの長髪で前髪が隠れている。
私は「髪の毛も今度切ってあげる」と笑顔になる。
すると紅葉はモジモジしながら「うん」と返事をした。
そうしていると電話が掛かってきた。
自宅に、だ。
これは...お父さんか。
またお父さんか。
そう思いながら私は紅葉に断りを入れてからそのまま電話に出る。
「...はい」
『紅葉は外に出たか』
「...出ました。だけど」
『私は大学の教授として授業が忙しい。学校に連れ出してもらえるか。家に居たままではただの引き篭もりだ。連れ出せ』
「お父さん...それだけは止めて。お願い。紅葉も嫌がっている」
『あの子は恥なんだ。私達一家の。何故なら学校にも行ってないだろう。働いても居ない外に出ない。そんな悪条件ばかりだ』
「お父さん!!!!!」
私は切れた。
紅葉をそんな風に言われる筋合いはない。
これでも紅葉は必死に頑張っている。
だったら何かそんな言い方は無いだろう。
親じゃ無いのか貴方は。
「お父さん。貴方がそんな無理をするから紅葉も精神がすり減っているんだよ!だからもう止めて!」
『お前は優秀なのにな。...何故こんな事に』
「...お父さん...イライラするからもう切る」
『もう我慢の限界だ。アイツの部屋を片付ける。今日』
『漫画とかライトノベル?だったか。下らない書物を読んで一日中自堕落に過ごすなら無理にでも学校に行ってもらう。または学校に通える様に施設や病院に行ってもらう』と言い出した...。
私は青ざめながら「止めて!絶対に駄目!そんな事をしたらあの子は本当に心を閉ざすよ!」と強く言うがお父さんは「今日の18時以降に帰る。紅葉に伝えておいてくれ」と強く言う。
「お父さん。本当に止めて!絶対に駄目!」
『煩い!!!!!お前に言われる筋合いはない!私の苦しみが分かるのかお前に!』
「これでも...紅葉の身を案じているんだよ!だから...お願いだから」
『はぁ...とにかく私は夜に片付ける』
私は切れた。
この分からず屋の親が!!!!!
私はガシャンと思いっきり投げ飛ばして叩きつけ電話を切る。
そして紅葉の部屋に向かう。
それから紅葉に全てを伝えた。
すると紅葉は涙を流した。
「何でそんな事をするの」
「...分からない。私が...お父さんを説得する」
「何で分かってくれないの。私の事。先生もお父さんもクラスメイトもみんな分かってくれない!!!!!イヤだイヤだイヤだ!!!!!私が全部壊される!!!!!」
絶叫しながら大粒の涙を流して号泣し始める紅葉。
見た事の無いその光景に私も涙を流した。
その中でスマホに雫が落ちる中。
電話をし始めた。
その相手は...弟。
いや。正確には徹だ。
助けて。
お願い。
徹...助けて...!!!!!
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