5店目「異世界定番の串焼き!実は凄い!? 中編」
ギルドを出た僕たちは、ギルド近くにあるベンチに腰をおろした。
写メで撮った資料を確認するためだ。
「キュアグラスの生息地は、ウメーディの街より東に向かったところにあるオーコワリバーのほとりとのことだ。
この辺りは魔獣も少なく、道も整備されている。
資料によるとキュアグラスは綺麗な水辺を生息地とし、春から夏にかけて繁殖するようだ。
生命力が強く、少しでも根が残っていれば採取後もすぐに増殖するらしい。
どうやらかなり達成しやすい新人向けの依頼のようだ。
早速僕たちはウメーディを出て、資料の場所へと向かった。
今日はポカポカと暖かい陽気で風も穏やかだ。
街道をすれ違う冒険者らしき人も、心なしか表情が明るい。
こういうのを絶好の採取日和というのだろうか、ちょっとしたハイキングのような気分だ。
オーコワリバーまでおよそ15分で到着。
流れは緩やかだがかなり大きな川で、向こう岸へ向かうための橋が架かっている。
綺麗な水質の川で、魚が泳いでいる姿がはっきりと確認できる。
早速僕たちは分かれてキュアグラスの探索を行った。
15分後……。
まったくそれらしい草は存在しない。
確かにここが生息地だよね?
ミトラはどうだろう?
ミトラの方を見ると、ミトラも僕に気づき首を横に振っている。
どうやらミトラも同じ結果らしい。
資料が間違っているのか、それとも古いのか?
どうやらこのエリアにキュアグラスは残っていないようだ。
上流に行けばあるのだろうか?それとも下流?そもそもオーコワリバーに生息していないのか?
こんな時は、チャットGOT!
僕はキュアグラスの生息地について聞いてみることにした。
「最近キュアグラスの乱獲が続き、オーコワリバーに生息するキュアグラスはほとんど残っていません」
乱獲?誰が?
ともかくそれで、依頼書にキュアグラスの指定があったのか。
それじゃ、今はどこにあるんだ?
「ウメーディより南のトサボリンリバーには少し生息しています。生息地をブーブルマップに記載します」
さすが有能チャットGOT先生!
どれどれ?
ブーブルマップを確認すると、キュアグラスの生息地と行き先、到達までの時間が記載されている。
しかも、その他の薬草に生息地についても記載されてあった。
「次回より依頼内容を撮影し、画像アプリとチャットGOTを連携させてください。そうすれば依頼内容に応じたアシスタンスが可能です」
AIチャットはここまで進化したのか……!
ともかく、ミトラに伝えよう。
僕はミトラに採取場所を変更することを伝えると、ミトラも快く了承してくれた。
「でも、どうしてキュアグラスの別の生息地の場所が分かったの?資料には書いてなかったよね?」
「それはこのマジックアイテムのおかげさ。新しい情報を教えてくれたんだよ」
「えっ、そのアイテムって一体何なの?なんでミツルはそんな凄いものを持ってるの?」
「ぐ、偶然さ。たまたま見つけたんだ。さっ、早く出発しよう。」
納得出来ないミトラを尻目に僕は、ブーブルマップの示してくれた場所に向かって歩き始めた。
オーコワリバーから、およそ30分後。
僕たちはトサボリンリバーに到着した。
トサボリンリバーは川の中央に陸地のある大きな川だ。
手前から陸地へ、陸地から奥へと2つの橋が架かっている。
どうやらキュアリバーは川の陸地の部分にあるらしい。
ブーブルマップが陸地を指し示している。
僕たちは石橋を渡り、川の中央の陸地を目指した。
橋は1人ずつなんとかすれ違えるくらいの広さ。
欄干もなく、足を踏み外せば簡単に川に落ちてしまうだろう。
陸地まで5分くらいの距離だが、緊張感が走る。
しかも建設されてから年月が立っているらしく、ところどころ破損している部分がある。
5分くらいの距離を15分かけてようやく陸地へと到達した。
陸地には草がうっそうと茂っており、キュアグラス以外にも沢山生息しているようだ。
この中からキュラグラスのみを探すのは手間がかかるだろう。
僕は写メで撮った画像を確認してみた。
……!
いつの間にか保存したキュアグラスの絵が写真に置き換わっている。
チャットGOTの仕業か?
これなら簡単にわかるぞ。
「スマホのライトを使用してください」
突然、チャットGOTさんからのメッセージが届く。
僕はスマホのライトを照らすと、生い茂る草の中で黄金色に輝く草がいくつもあるのだ。
「キュアグラスに印をつけました。黄金色に輝く草を採取してください」
何から何までありがとうございます!
僕はミトラにそのことを伝えると、ミトラは驚きながらも頷き、採取をし始めた。
30分後、僕たちは30本ほどのキュアグラスを採集することが出来た。
しかも、雑草だと思っていた草も実は薬草やハーブだったのだ。
僕らは取れるだけ採取し、僕のカバンの中へと収納した。
すると大量にあった草が全て、カバンの中に収まったのだ。
「ミツル、それもマジックアイテム?」
どうやら僕のカバンもマジックアイテムのようだ。
チャットGOTによると、異空間にほぼ無限大に収納できる。
「ミツルって本当に何者なの?でも、もう慣れたわ。あなたが規格外ってことにね」
ミトラはニコッと笑うと、石橋を渡り始めた。
「さっ、街に戻りましょ」
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