「慣れたって」


新幹線改札前、遠距離の彼氏に手を振った。デートが終わりお別れの時間。最初の頃は泣きながら引き留めようとしたっけ。「また来月」「じゃあね」お互い慣れたものだと笑い合う。ゴォーと新幹線が走る音を聞きながら帰りの駅へと足を向けた。目の前が霞んで見える。駄目だなぁ。やっぱり、少し寂しい。




スマホの音がなる。彼女からだ。『来月は私がそっちに行くから』僕は少し考えて返事をする。『僕がそっちに行くよ』渡そうと思ってた指輪入りの小箱。鞄の中にしまわれたままだ。『どうして?』結婚すると彼女は誰も知らない土地へと連れてこられる事になる。ゴォーとすれ違う新幹線を横目に僕は悩む。

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