「おはようを言うために」


朝早く家を出る。ヘルメットを被り、ペダルを踏み出す。まだ夏の熱を持つ風を体に感じる。途中の坂道にさしかかる前に気合をいれて一気に駆け上がる。あとは下りで楽ちんだ。学校につき、身なりを整え教室に向かう。汗だくだしヘルメット型がついた髪の毛は嫌だけど教室にはいつも一番乗りの彼がいる。



学校に朝早く行くのは部活のため。受験で早期に退部した。早く出るクセだけぬけなかった。教室で一人の時間をもて余す。ほどなく二番目が到着する。彼女は女バス。以前は同じ時間、体育館、隣のコートで朝練していた。二人きりの教室。少し気まずく感じる。「おはよう!」彼女ははにかみながら言った。

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