連作サークル「置き場」

石村まい

心象



喉元にあおい炎をかたむけて溶かしゆく紫陽花のフィナンシェ



空想をあなたの語彙にみるときの四角い骨のようなまぶしさ



脊椎にカメラの重さを足してから羽のうらがわめいた小径へ



昏さから忘れてしまう花の河 ポケットから五本指をとりだす



点と線でかたどりきれないものばかり、名前の隙間にふりそそぐ雨



はりがねの心象 朝のひくい火がフイルムの奥にたちあがるまで



まちがいはやさしい順に遠くなる 雲は樹海に、鳥は煉瓦に



全身をひらがなにしてねむらせてあなたの羽はあなたに燃やす

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