廃の雪灰
温かい夢もいつの間にか
雪粉のように
ちりぢりになってしまっていた
悲しそうに囁く
大切だった誰の声で
伝えたかったことを忘れていく
あれだけ読み返していた本さえ
続きの頁はどこにもなく
ただ懐かしさが
時折胸を透かすだけだった
遠い遠い雪のなかを
私はまだ歩いているつもりでいるみたい
あっちでは素敵なサクラが見えているというのに
ここはどこまでも高く
削り去られた紙粉ばかりが
私の足を沈めていく
一人にしないで
そんな誰かの声がしたような気がする
でも遠い遠い遠い昔のことで
私はよく思い出せなかった
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