第1話、パイナップルウォッチを賭けて

俺は、22歳のニートだ。

ニートと言っても全く仕事をしていないわけではない。

ジャズピアニストとして不定期にライブをやって入る。

だが、この仕事も不定期なだけあって収入という収入はない。

なので、貧乏と言っても過言ではない。

そんな俺は、今すごく欲しいものがある。

それは、今では知らない人はいない、あの有名なパイナップル社の腕時計「パイナップルウォッチ」だ。

パイナップル社といえば、「パイフォン、携帯電話」「パイパッド、タブレット」「ムック、パソコン」「パイナップルウォッチ、腕時計」などの製品を多く開発、発売している会社だ。

俺は、パイナップル社の製品が大好きなのだ。

もちろん携帯電話はパイフォンを使用している。

それもあって、腕時計もパイナップル社のパイナップルウォッチが欲しいのだ。

ちなみに、パイナップルウォッチは大きさによって値段が異なる。

小さいサイズは45000円。

大きいサイズは、56000円だ。

ある日の夜俺は、家族4人でいろんな店が入っているショッピングモールに来ていた。

目的は夜ご飯を食べるためだ。

俺たちは、バイキングのお店に入った。

土曜日ということもあって店にはかなりの人が食べに来ている。

店の外には、俺たちを合わせて3組も席が開くのを待っている。

母は、順番待ちボードに名前を書いて店の外に置いてある椅子に座った。

10分近く待っただろうか。

店員が俺たちを呼び、席に案内してくれた。

席に着くと、俺たちは各々に料理をとりにいく。

俺は、少食で普段あまり量を食べない。

が、ここはバイキング、ということで普段より多めに皿に料理を盛り席へ戻った。

席に戻ると料理を取り終えた父が戻っていた。

父、「純平、おまえそんなに食べれるのか?いつも少食なのに。」

俺、「大丈夫だよ。今日すごくお腹空いているし。」

父、「それにしても取りすぎだろ。限度という言葉を知らんのかおまえは。」

俺、「しつこいなあ。食べれるって。」

父、「父さんはおまえがその量を食べれる気がしねーなあ。よーし、賭けようぜ?」

俺、「え?なにを?」

父、「おまえがそれ全部食べ切って、うーんそうだなあ。デザートまで食べられたらパイナップルウォッチを買ってやる。」

俺、「え?マジで?」

父、「その代わり、食べられなかったら当然パイナップルウォッチは無しだ。それに食べられなかったら父さんに何か一つ買ってくれ。」

俺、「わかった。面白い。」

と話しながら俺は黙々と食べ進めた。

そんな話をしている間に料理を取りに行っていた妹と母が席に戻っていた。

母、「なに訳のわからない賭けしてんのよ。お父さん、本気で買うつもりなの?」

父、「大丈夫だ。こいつは絶対に食べられないから。」

母、「そんなこと言って。もし食べ切ったらどうするのよ。」

父、「その時は買ってやるさ。約束だからな。」

母、「はあ、知らないわよ?私は買わないからね。お父さんのお小遣いから出すのよ。」

父、「わかってるって。」

そんな二人の会話を聴きながら俺は、手を止めることなく食べ続けた。

妹はそんなことはお構いなしに自分のペースで黙々と食べていた。

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