第34話 【陽奈】もう1回だけ
あの日のあと、ハルトからちょくちょくLINEがくる。
私が泣いたせいで、誘いづらいのか、中身はたわいもない内容ばかりである。
ハルトのこと、気にならないといったら嘘になる。
並んで歩いたら、みんなに羨ましがられるくらいの顔面偏差値だ。
でも今はもう彼氏もできたし、わざわざ冒険する必要もない。
かといって、別に告白されたわけでもないし、デートに誘われているわけでもないので
、無視するわけにもいかず、私はだらだらとハルトと連絡をとり続けていた。
プレイボーイであろうハルトが、誘いを断った私と、わざわざ中身のないやりとりを続けている意味がよくわからない。
私からの誘いを待っているんだろうか。
そんなことを考えていたら、ハルトからLINEがきた。
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ひなさん、お疲れ様です。
なんか、この前は急に家にきてもらって、すみません。
俺、なんかひなさんを悲しませるような事してたなら、ちゃんと謝りたいです。
もう1回、俺と会ってくれませんか?
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ハルトの真面目な敬語、初めて見た。
急に飛んできたダーツの矢が、ハートのど真ん中に刺さった。
神山部長達はランチで外出しており、誰に見られるわけでもなかったが、スマホを持つ手が汗ばんで、心臓の鼓動が早まった。
私はドアの外に出て、廊下の奥で返事を打った。
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ハルトごめん、ちゃんと話せてなくて心配かけちゃったね。
ハルトのせいとか、なんか嫌なことあったとかじゃ全然なくて、生理で体調がよくなくって。。
この前はすごい楽しかったし、カレーもめっちゃおいしかった!ありがとね。ハルトといたらなんか安心しちゃって、くつろぎすぎちゃって。逆に私の方こそ中途半端にしちゃってホントごめん。笑
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すぐに既読がついて、ハルトから返事が来た。
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マジっすか!!
よかった。俺、嫌われたかと思って心配だったんすよ。
ひなさんと話したいっす。
今日とか夜、ごはんいきませんか?
ほんとにごはん食べるだけでもいいんで。
明日も仕事だし、急に家連れてったりしないんで、安心してください。笑
会いたいっす♪
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可愛い。。。。。
どうしよう。
ごはん食べるだけ。
ハルトもそう言ってるし。
私もちゃんと謝りたい。
謝りたいから、
1回だけ、
会うだけ。
わたしはハルトにOKの返事をした。
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