第18話 【幸太】歓迎会(2)
陽奈の歓迎会。
おせっかいなめぐが、奏多と秋山と陽奈で行くから一緒にどうかとチャットをくれていたが、定時で上がれなそうだったので、俺は遅れて参加した。
会場につくと、すでにほとんどの席がうまっていた。
陽奈は案の定、めぐ達のテーブルに座っていた。あと2席あいているが、神山部長達が座るんだろう。
仕方なく俺は空いている席に座った。
「コータさん!!お久しぶりっす!!」
「おー、晴翔(はると)じゃん、なんか久々だな。」
晴翔は前のプロジェクトで1年間一緒に組んでいた部下だ。残業続きの時期は、連日2人で飲んで帰るような仲だったが、プロジェクトが変わってからは、フロアも違うのであまり接点がなくなっていた。
お調子者だが、仕事は早いし、いつもニコニコ‥いやニヤニヤというのが正しいかもしれないが、とにかく、憎めないかわいいやつだ。
「晴翔、最近どーなの?」
「アッチの方っすか?」
晴翔はにやけた。
「いや、お前のチャラ話は聞き飽きたし」
「なんでっすか!聞いてくださいよー!オレ、最近彼女にフラれたんすよ〜。」
晴翔は悲しそうな顔をして俺に寄りかかってきた。
「イケメンのお前でも振られたりするんだな。」
「そーなんすよ。なんか、イケメンは信用できないとか、他に好きな人ができたとかいわれて。コータさん、誰か可愛い子紹介してくださいよー。」
「誰がするか!!!やんねーよ!!」
「やんねーよって何すか??あれ〜、コータさん、もしかして誰か可愛い子いるんすか〜??」
陽奈が頭に浮かんでしまい、うっかり余計な一言を言ってしまった。
晴翔は、ねぇねぇ、といたずらな顔をして俺の腕をずっとツンツンしてくる。
本当に、男を勘違いさせる女みたいな仕草をするヤツだ。
「お前も遊んでばっかいないで、そろそろマジメになれよ」
「そんなこといって、小倉さんも、俺くらいの歳の時は遊びまくってたじゃないすか〜。美波さんのこともあるし、もっと前は、矢沢さんとつるんで、出会い系の、、、」
「おい、ハルトお前、いい加減にしろよ」
俺は若干キレ気味に晴翔の言葉を遮った。
「あれっ???コータさんそれ、武勇伝でしたよね〜?」
「いいから、早くみんなの酒頼めって」
「あっほんとだ!スンマセン!ビールでいいっすか〜??」
陽奈とは席が離れてしまったが、今、俺は、
晴翔が陽奈の近くに座らなくてよかった
このテーブルに陽奈がいなくてよかった
と、そのことしか頭になくなってしまった。
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