第13話 【奏多】はじめまして?
一昨日は飲み過ぎて酷い目に遭った。
酒は好きだが、決して強い方じゃない。調子にのって飲みすぎた。
おまけに、バーベキューで小倉の野郎とばかり喋っているひなへの当てつけに、30代独身主任の山本さんをおだてまくっていたら、社内では俺が山本さんにアタックしてたと話が広まっており、最悪だ。
昨日も散々吐いて、今はもうほとんど何も胃に残っていない。朝も小さいサンドイッチを1個食べただけで、さすがに腹がへった。
そういえば昨日、めぐからランチの誘いが来ていたな。さっさと仕事片付けて、昼は、久々に定食屋でもいくか。
少し遅れて定食屋に入ると、券売機に人だかりができていた。ちょっと並びそうだ。
人だかりの奥の方に、金髪に近い明るい色のめぐの頭がちらっと見えた。いつもの秋山も一緒だろう。
「ひな、あのあと小倉さんとやりとりしてるの??」
「えっ!う‥うん、まあ。。てかさ、なんかデートすることになったし!!」
「マジで!?いつ!?」
「まだ決めてないけど、絵を描きたいから、海にドライブ行こうって。どうしよう、何着て行こう。海だから、私水着とか着た方がいいのかなあ??」
「着たほうがいいに決まってるじゃん!見せちゃいなよ〜!」
「えー!でも、見せるほど私自信ないし。。」
「どっちにしたって、そのあと全部見られることになるんだから、いいじゃん!」
「ちょっと!!!何いってんの!!やめてよ!!もう!!!!」
「勝負下着は、何着ていくの?」
「え、黒、、、、ってちょっと!!!恥ずかしい!!もう、やだぁ〜!!!!!」
「あはは!!ひなって面白っ!!!」
「あ!奏多さんだ。奏多さ〜ん!!」
ようやくラーメンをトレイにのせた俺は、遠くで俺を呼ぶめぐの元へ向かった。
「よぉ、めぐ、久しぶり、、、、、」
!!!!!!!!!
柱に隠れていて見えなかったが、めぐと一緒にいたのは陽奈だった。
突然の出来事に心臓が飛び出しそうになった。
陽奈のほうも、急に現れた俺に驚いたのか、目を丸くして少し後ずさりした。
俺と同じで、シャイな性格なんだろう。
よし、シャイボーイの俺は封印だ。ここは俺がしっかりリードして、かっこいい先輩ぶりをアピールしようではないか。
「こんにちは!ひなちゃん、はじめまして。俺、3階の奏多です。よろしくね!」
「あっ、、、、こ、こんにちは、、、沢崎です。、、、よろしくお願いします。」
「陽奈!奏多さん、面白いし、いい人だからそんな緊張しなくて大丈夫だよ!陽奈、意外と人見知りなんだね。」
「あっ、はい、、、うん。」
「陽奈ちゃん、急に俺入ってきちゃってびっくりしたよね、ごめんごめん、大丈夫、俺も人見知りだけど、今はこんなんだし〜」
俺はわざとおちゃらけて、変顔をしてみせた。
こわばっていた陽奈の顔が少しだけ緩んで、警戒心を解いてくれた気がする。
よし!!
少し自信をつけた俺に、めぐが切り出した。
「そういえば奏多さん、バーベキューで山本さんのこと口説いてたらしいじゃないですか〜」
!!!!!!!!
めぐはニヤニヤと楽しそうにこちらをみている。
やばい、めぐのこの表情。
俺は体から血の気が引いていくのを感じた。
もう逃げ道はない。
「いや〜、もうそれ、朝からみんなに言われてさ。嫌になっちゃうよ。正直、俺酔っ払ってて、全然覚えてないんだよね。」
「はぁー!??覚えてないとか、山本さんにめっちゃ失礼じゃないですか!!女性の敵!!山本さんに言っちゃいますよー!!」
「いやぁ〜、、、あはは‥ごめん、、頼むからそれは言わないで‥」
俺は完全にしょげ込んでしまった。
せっかくの陽奈との初ランチだというのに、初対面の印象最悪である。
あぁー、、、、詰んだ。。。俺は一体何をやっているんだ。。。
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