第15話 おれら男子高校生かよ
とりあえず、帰り道にある家近くの小さな神社に行く事にした。
その神社はテニスコート二面分くらいの広さの敷地に、民家より一回り小さいくらいの社と町内の集会所がある。宮司はいるのかわからないが、少なくともそこに住んではいない。
境内の巨大なクスノキが目を引くが、別に何かの名所と言う事もなく、普段はあまり人の姿は見えない場所だ。夏休みはラジオ体操で子どもが集まって来るが、今は秋だし、夜近くともなると訪れる人はいない。
この時、自分の中では、まだロボの言葉への信用は五分五分だった。
道中も少し話したが、どう見ても嘘をついているようには見えないものの、もしそれが演技なら油断したらやられるかもしれないのだ。
疑念は消えない。でも、このままだと家までついてくるだろう。
結局、どこかで決着をつけないといけない。他の人に見えない以上、おれ一人でだ。
意を決し、集会所に入る事にした。
祖父と町内の寄り合いで来ているから、カギの隠し場所は知っている。雨どいのウラからカギを取りだして開けた。雑なセキュリティだが、こんな田舎の集会所を荒らすヤツはまずいない。そもそも何もないし。
集会所の中は、簡素な台所がある他は押し入れがあるくらいで、大半は畳敷きの座敷になっている。まぁ、たまに寄り合いという名の酒宴があるだけなのでそれでいいのだ。
「ほう、なかなかいい所じゃない、かな。人気は無いし、押入れには布団もある。情事にはもってこいだな」
もうコイツの頭の中全部それかよ。おれかよ。おれら男子高校生かよ。
「……何にしても、まず疑問が全部消えないと、話は次に進めない」
「もっともだな」
言いつつ、布団を敷くロボ。本当にわかっているのか。
もしロボが見えない人がこの光景を見たらどう見えるのだろう。ポルターガイスト現象のごとく、布団が勝手に動いて見えるのだろうか。それとも布団の重みが上手い具合に押入れが開き、布団が倒れこんできたように見えるのかもしれない。
ロボは布団の上に腰掛けたので、おれも適当に座布団を引っ張り出して腰掛ける。なんだこの絵面。
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