第10話
優来「…飛那世、どう…?」
飛那世「間違いなく、近づいています…!」
櫻「まずいな…どうすればいい…このままじゃ
無勢だよ…!」
神野「…とにかく、ブリザード達が
帰ってくるまで待つしか…!」
華途葉「…それまで耐えられるかしら、
厳しいわね…!」
飛那世「厳しくても、やるしかないんですよ…!」
華途葉「えぇ…生憎、そのようね…!」
優来「っ…来るよ!」
神野「…!!」
バキュウン!
神野「っ…危ないわね…!」
田島「外したか…まぁ、いい…」
櫻「こいつが12鬼か…まだ居るんだよね?」
飛那世「はい…この近くに、あと3人は…」
田島「…分かるんだ、どう言う理屈かは
知らないけど…ま、それも関係ないか…」
田島「アンタらはここで死ぬ…大将を
堕とせないのは惜しいが…構わん。」
田島「ここで貴様らが死ねば…戦況は変わる。」
田島「…死ね。」
バキュン!!
神野「ぐ…どうする…!!」
飛那世「あと3人居る以上消耗は
できません…なんなら、今から出てくる
可能性も…!」
神野「っ…なら…!!」
バキュウンバキュウン!!
田島「チッ、何を…!」
神野「こうやって向かって行って距離を
縮めれば…いける…!!」
田島「ぐ…!」
バキュン!
神野「チッ、もう一人来たか…!!」
京山「おいおい、無様だな…?」
田島「…邪魔をするな…!」
京山「困るよ…上から司令が来てるの知らない?
今回は4人がかりで行くんだぞ…?」
田島「何…?聞いてないぞ…!」
京山「あー、聞いてないんだ、神吹様が
俺らに集団戦をしろって…」
田島「何…?どうしてそんなこと…」
京山「この戦いは確実に勝たねばいけない、
だからなんだろうな…」
田島「チッ…どうも気に食わねぇ。」
京山「それに…居るのは俺だけじゃない。」
田島「何?まだ居るのか…?」
京山「あぁ、馬場と杉山がもうじき
出てくるだろう…こっちの方が分がある、
早急に潰すぞ!」
田島「…はいよ。」
櫻「来るよ…気をつけて!」
飛那世「…行くぞ!」
神野「…!」
田島「は…っ!」
バキュン
優来「…ふっ!」
バキュウン!
田島「ぐ…!」
京山「…オラァッ!」
バキュンバキュン!!
神野「く…はぁっ!!」
バキュウン!
京山「ぐ…無駄だ…!」
バキュウン!!
櫻「っ…危ない…!」
バキュウン!
神野「チッ…来たか…!」
馬場「無勢なようだな、情けない…」
杉山「本丸が居なくてこれか?
お前らは今まで何をしてたんだ。」
田島「っ…うるさい…!」
馬場「ま、いいよ…ひとまず、
これぐらい居れば殺せるでしょ…」
飛那世「これは…どうします?」
神野「一度に4人を相手にするのは無理…
多少の犠牲は覚悟してそれぞれで1人ずつ
相手するしか…」
優来「っ…それで上手く行くの?」
飛那世「こうなった原状、
やるしかないでしょう…!」
優来「…そうみたいだね…ブリザードが
帰ってくるまで耐えるしかないか…!」
飛那世「そうです、もう行きましょうか…!」
櫻「…うん!」
華途葉「…さて、どうなるか…!」
バキュウン!
田島「チッ…来たか!」
飛那世「アンタの相手は私ですよ…!」
バキュウン!!
田島「ぐ…早い!」
飛那世「でりゃぁっ!」
バキュンバキュンバキュン!!
田島「っ…まずいな…!」
飛那世「よし、上手く散ってくれた
みたいですね…!」
田島「な…っ、クソ…一人で突撃してきたのは
それが目的か…!!」
飛那世「その通りだよ…ウスノロがァッ!!」
バキュンバキュン!!
田島「っ…しくじった…どうすりゃいい…!」
飛那世「お前はここで終わりだよ…」
飛那世「はぁっ…!!」
バキュウン!!
田島「が…っ!!」
飛那世「よし…当たった…!」
田島「クソ…まだだ…こんなもので
終わるかよ…!!」
飛那世「しぶといな…これならどうだ…!!」
バキュン!
田島「ぐ…ふっ…!」
飛那世「…そこだ!!」
田島「な…!?」
バキュウン!
田島「ぐ…何故だ…この俺が…!?」
飛那世「…12鬼と言っても、対したこと
無いんですね…。」
飛那世「…さて、他はどうなってるか…」
ーー
華途葉「っ…はぁっ!」
櫻「りゃぁっ!!」
バキュンバキュンバキュン!!
京山「…ハァッ!」
バキュウン!
華途葉「ぐ…っ!」
櫻「華途葉、大丈夫…!?」
華途葉「避けた、けど…これじゃ
いつやられてもおかしくない…!」
櫻「そうだね…どうしようか!!」
華途葉「どうしようかって…
考えてないの!?」
櫻「うん、ぶっつけ本番だし
まだ考えてる段階だよ!」
華途葉「どうすんのよ…そんなんで
12鬼に勝てるわけ…!」
櫻「二人がかりなんだし、勝てないわけじゃ
ないでしょ?なんとかなるよ!」
華途葉「ぐ…そんなんで行けるの…!?」
バキュウン!
京山「悪いが、ここで負ける道理はない…!」
バキュンバキュンバキュン!!
華途葉「ぐ、二人同時に狙ってきてるって
わけね…どうしましょうか…!」
櫻「とにかく、端に追いやってしまえば
集中的に狙えるよ!」
華途葉「…もう、そうするしかないのね!」
櫻「私たちがこいつをやるには
そうするしかないんだよ…!」
華途葉「…そうなのね…やっぱり、
そうするしかないのね…!」
京山「何の真似をするつもりかは
知らないけど…そんな術中に
かかると思っているのか…!」
バキュンバキュンバキュン!!
櫻「っ…この腕じゃ、避けるのも
一苦労だよ…!」
華途葉「大丈夫…?無理そうなら
私一人でやるけど…!」
櫻「そんな、私は大丈夫だよ…
だって、これでも私だって1流なんだから…!」
バキュン!!
京山「チッ…片腕だけの分際で…!」
京山「俺は…この程度じゃ死なねぇよ!!」
櫻「うりゃぁぁっ!!」
バキュウン!!
京山「ちっ…ちょこまかと、うぜえんだよ…!!」
バキュンバキュンバキュン!!
櫻「よし…そのまま打ち続けろ…!」
京山「何をしようとしている…!
何が目的だ…!!」
櫻「さぁね、自分で考えたら!?」
バキュンバキュン!!
京山「ぐ…っ、まだだ…!」
バキュウン!
櫻「っ…これなら、行ける…!」
京山「何だ…はっ…!!」
華途葉「そこだぁぁぁっ!!」
京山「っ…!!」
ザシュッ!!
京山「がぁぁぁぁっ!!」
華途葉「ぐ…うりゃぁぁぁっ!!」
ザシュゥゥッ!!
京山「ぐ…が…があっ…!?」
ザギュッ!!
華途葉「はぁっ…はぁっ…!!」
櫻「…お見事!」
華途葉「あー、きつい…」
華途葉「背後に忍び込んで首切るなんて、
楽じゃないのよ…」
櫻「でも、12鬼相手に決められてるじゃん…!」
華途葉「…こんなのまぐれよ、櫻がなんとか
してくれたから決められたんじゃない…」
櫻「でもまぁ、どっちにしろ
倒せたんだしいいか…。」
華途葉「まぁ…そうね。」
櫻「にしても、ブリザードはいつ
戻ってくるんだろ…」
華途葉「もうじき戻ってくるでしょ、
12鬼とでも戦ってない限りは…」
櫻「そうだね…ただ、ブリザードの方が
どうなってるのかは早めに知りたいよね…」
華途葉「…そうね、ねぇ…櫻。」
櫻「うん…?華途葉、どうかした?」
華途葉「…近くに居る…」
櫻「え、何が…?」
華途葉「神吹の幹部よ、そこの奥で
部隊を引き連れて待機してる…」
櫻「え…そんな、それじゃ…総攻撃を
喰らうんじゃ…!!」
華途葉「…いえ、戦いの前から居たけど、
特別襲撃しに来る様子もない、何か
目的があるのよ…。」
櫻「目的って…まさか、何かを待ってるのかな…」
華途葉「…私達が12鬼を倒すことでは
ないみたいだし…どうなんだか。」
櫻「気になるけど…とにかく、みんなと
合流しよう…」
華途葉「…えぇ、そうするしかないみたいだし…」
櫻「…無事だといいけど。」
ーー
馬場「ハァッ!」
バキュウン!
神野「チッ…!」
馬場「投了したらどうだ?お前ごときが
一人で俺に勝てるわけ無いだろ!!」
神野「…それは、どうかしらね…」
神野「私は、アンタが知ってる
私じゃないのよ…!」
バキュウン!
馬場「ぐ…っ、クソ…」
神野「腕をやられたみたいね、
悪いけど私も負ける理由はないから!」
馬場「チッ…ガキがよ…!!」
馬場「逆らうんじゃねぇよ…
畜生の分際でよ…!!」
バキュンバキュンバキュン!!
神野「ふっ…効かないわよ…!!」
バキュン!
馬場「くっ…これ以上は…まずい…!」
神野「どうしたの?これで終わり…?」
神野「じゃ、こっちから行かせてもらうわよ…!」
バキュンバキュンバキュン!
馬場「が…クソ、このままじゃ…!!」
馬場「…こうなったら…!!」
馬場「…はぁっ!」
カラン…
神野「っ…グレネードか、まずい…!」
ボガァン!
神野「チッ、危ない…まさか、
グレネードを隠し持ってるなんて…」
馬場「どうする…このままじゃ…
負けてしまう…!」
神野「それじゃ…これで終わりよ…!」
バキュウン!
馬場「ぐ…危ない…」
神野「チッ、避けられたか…だけど…」
バキュンバキュンバキュン!
馬場「が…っ!」
神野「残念、それじゃ的も同然よ。」
馬場「こんな所で…クソ、上は何を
考えているんだ…奴を囚えた段階で
殺せば…こんなことには…」
馬場「ありえない…神吹様がこんなことを
するなど、ありえない…」
馬場「…やはり、克己…奴が…」
神野「克己…?克己がどうかしたの?」
馬場「奴は…神吹様に…」
バキュン!!
神野「…え?」
馬場「…」
神野「嘘…克己がどうしたのよ…ねぇ…!」
神野「っ…!」
克己「いらないことを喋り過ぎなんだよ…
お前は…」
神野「克己…!!」
克己「…悪いけど、ここでアンタと殺り合う
気はない、今はそれ以上に大切なことが
あるからな…」
神野「…待ちなさい、アンタ…
何を考えているの…!」
克己「俺は…すべきことをするだけだ、
お前にも分かるだろ…?」
神野「は…?」
克己「…もうじき、俺達の目的は
達成される…その時が来たら
お前らにも見せてやるよ。」
克己「この世の終わりをな…」
神野「…待ちなさい、アンタが
やろうとしてることって…まさか…!!」
克己「…さぁな。」
神野「っ…待て…!!」
神野「…あいつは…あいつが、どうして…?」
神野「…分からない…けど、
私がすべきことは…」
神野「…」
ーー
優来「ぐ…うりゃぁっ!」
バキュンバキュン!
杉山「ふ…うっ!!」
バキュウン!
優来「ぐ…このっ!」
バキュウンバキュウンバキュウン!
杉山「はぁっ!」
カキィン!
優来「く…っ、やっぱり、
私一人じゃ無理かな…」
優来「でも、仕方ないよね、
やるしかないんだ…!!」
優来「おりゃぁっ!」
バキュンバキュンバキュンバキュン!
杉山「フン…こんなもの!」
バキュウン!
優来「っ…これでも駄目ならどうしたら…!」
杉山「これで終わりか…?
死にやがれ!!」
バキュウン!
優来「っ…!」
優来「クソ…結局私はブリザードが
居なきゃ何もできないのかよ…」
優来「クソ…駄目だ、勝てない…なら…!」
杉山「ふっ!!」
優来「そこだっ!」
バキュンバキュン!!
杉山「チッ、何を…!」
優来「ふっ!」
杉山「早撃ちか…だが…!」
バキュウン!
優来「ふっ…!」
杉山「俺には効かねぇよ…!!」
優来「でりゃぁっ!」
バキュンバキュンバキュン
杉山「っ…はぁっ!」
優来「ふっ…!」
杉山「っ…何故だ、弾を避けているのに。」、
当たらない…?」
優来「うおりゃっ!」
バキュンバキュンバキュン!!
杉山「…違う、これは…早撃ちじゃねぇ…
俺の弾の照準を逸らさせるつもりか…!!」
杉山「クソ…ふざけんじゃねぇ…!!」
バキュンバキュンバキュン!!
優来「っ…照準がずれてる…行けるぞ…!」
ダッ…!
杉山「っ…何を…!」
バキュン!!
杉山「っ…しまっ…」
杉山「が…っ!」
優来「利き腕をやった…これなら…!」
杉山「クソ…が…俺が…死ぬかよ…!!」
杉山「はぁぁぁぁぁつ!!」
優来「何…!」
バキュンバキュンバキュンバキュン!!
優来「っ…!!」
杉山「オラァァァッ!!」
バキュウン!
優来「ぐ…っ!!」
優来「これじゃ止めを刺せない…
どうすれば…!」
ブリザード「優来…!」
優来「ブリザード…!」
永遠「後は私達に任せて、こいつ一人なら
なんとかなる…!」
凍歌「あいつの動きを予測してみたけど、
動き全体に大きな隙がある、体を
狙えばすぐにでも…」
ブリザード「分かった、行くぞ…!」
永遠「分かった…!」
ブリザード「…はぁっ!」
杉山「何…っ!」
バキュウン!
杉山「ぐ…っ!」
優来「よし、当たった…!」
永遠「これじゃ、12鬼と言えどすぐに
終わりだね…!」
バキュンバキュン!!
杉山「が…!!」
凍歌「…動きが止まった、終わりだよ…!」
バキュウン!!
杉山「ちく…しょう…」
バタッ…
ブリザード「よし…やったぞ…!」
凍歌「…遠くの方から銃声は聴こえない…
どうやら他の戦いも終わったみたいだね。」
永遠「皆の実力を考えると負けはしないはず…
凍歌、どう…?」
凍歌「…うん、確かに12鬼の奴らの
生体反応は消えてる…けど…」
優来「…どうかしたの?」
凍歌「…足りない。」
優来「え…?」
凍歌「私が感じた強い反応はさっきの奴と
こっちに攻めてきた12鬼の4人…そして
その他にもう一人居たはず…。」
永遠「…ちょっと待って、どう言うこと?」
ブリザード「…つまり、近くの何処かに
もう一人が居るってことか…?」
凍歌「うん…だけど…無いんだ。」
永遠「生体反応が無いってこと…?」
凍歌「うん…それに、さっきの奴の生体反応も
何故か消えてるんだ…死んでないはずなのに。」
ブリザード「…は?どうなってる…」
凍歌「…人工知能の認識機能って…意外と
欠陥が多くて、ブリザードの生体反応を
上手く認識できないんだ…」
ブリザード「何…そうなのか?」
凍歌「うん…その理由は多分…ブリザードが
特異体質であるgmtだから…もし、
そうだとすると…」
優来「え…まさか…!」
達也「…そこまでだ!!」
凍歌「っ、何…!?」
ブリザード「神吹の部隊か…何故だ…!」
凍歌「ごめん…あいつらの生体反応を
認識することに集中してて
気づいてなかったみたい…!」
永遠「ざっと100は居る、どうするの…?」
ブリザード「…なんとかするさ…
今回もな…!」
達也「…そこに居るのは分かってる、
出てこい…矢澤…!」
ブリザード「…え?」
矢澤「…やぁ、夜崎…」
優来「…どうなってるの?」
凍歌「あいつ…生体反応がない、やっぱり…!!」
達也「ここでお前を始末する、
裏切り者であるお前らをな…!」
永遠「な…裏切り者?どう言うことなの…?」
矢澤「…あぁ、こいつはいただいていったよ…」
ブリザード「…それは、まさか…資料…!?」
凍歌「本拠点の方へ行ける可能性は低い…
ってことは、別の方の拠点から
持ってきたってことか…!」
ブリザード「ぐ…!」
矢澤「こいつは必要な情報なんでな、
もらっていくよ…」
達也「待て、その資料をこちらに寄越せ…!」
矢澤「嫌だね、お前らみたいな
穢れた連中になど渡すものか…!」
達也「何だと…!」
矢澤「これは貴様らには不要な物だ…」
達也「やはり…貴様、我々を
裏切る気だな…!」
矢澤「フン…その通りさ!!」
バキュンバキュン!!
達也「っ…行けー!!」
敵兵「うおりゃぁぁっ!!」
バキュンバキュンバキュン!!
華途葉「っ…これは…!!」
ブリザード「華途葉…!それに、
櫻さんも!」
櫻「飛那世と神野さんは?」
ブリザード「居ない…何処に居るか分かるか?」
華途葉「分からない…ただ、
近くにいるはず…!」
ブリザード「何…?なら、すぐにでも
合流できるんじゃ…!」
神野「交戦してる今なら、行けるんじゃ…!」
優来「よし…行こう!」
ダッ…!
矢澤「チッ…行ったか、まぁいい…」
雪村「そこまでよ…これを見なさい。」
高島「…」
雪村「高島を囚えた、あなたの仲間でしょ?」
矢澤「さぁ…どうだかな。」
雪村「…分かったら、早く投降しなさい…!」
矢澤「…答えは、NOだ…」
バキュン!
雪村「な…っ!!」
雪村「っ…ならば!」
バキュン!!
高島「…」
雪村「お前は道を間違えた…何を
考えてるのかは知らない、だが…
お前は私達には勝てない…!」
矢澤「…それは、どうかな…」
高島「フフフ…ハハハハ…!!」
雪村「な…こいつ、脳を撃ったのに
生きている…!?」
高島「…死ね。」
雪村「っ…!!」
バキュン!!
雪村「ぐ…っ!!」
雪村「どう言うことだ…まさかこいつ…
いや、ありえない…!!」
矢澤「gmtは何も神吹やブリザードだけじゃない…
俺達もそうなのさ。」
達也「ぐ…こんなこと、ありえない…!」
雪村「だが…矢澤はgmtではないはず、
矢澤を撃て…!!」
敵兵「…はっ!」
バキュン!
矢澤「…フン。」
雪村「避けないのか…?残念だ…」
達也「いや…まさか…!」
矢澤「…」
矢澤「…なんだ、こんなもんか…?」
雪村「な…心臓を撃ち抜かれたはずなのに…
まさか、こいつも…!」
高城「…やはり、こいつらは二人ともgmt、
となれば…」
雪村「…どうなってる、こんなこと
報告には…!」
高城「奴らはこの体質を隠していた、と言うより
この体質を出し入れできる…」
雪村「は…?何言ってるんです?」
高城「奴らの体質は…gmtでも特殊で
gmtの特性を発動したり停止させたりできる…」
雪村「え…そんなこと可能なの?」
高城「えぇ…だって、あれを作ったのは
私だもの…」
雪村「…は?アンタ、さっきから
何を言って…」
高城「…古い世界はいずれ終わる。
今からその礎が築かれる…。」
雪村「アンタ…まさか…!」
高城「…いや、あれはあの子達が
勝手に始めたことよ…」
雪村「…何故、こんなことをした…!」
高城「…だって、面白いじゃない…」
高城「私は…この時を待っていたの、
世界が滅茶苦茶になるこの瞬間をね…」
雪村「は…?意味が分からない…
貴様、まさか…」
高城「言っとくど私達はアンタらの
敵になる訳じゃない、だってここに
いた方が面白いもの…」
雪村「…神吹様にこのことが知れたら
どうなることか…分かってるのか…?」
高城「ごめんなさいね、だけど…
人の好奇心とはそんな物では
抑えられないのよ。」
雪村「…呆れる。」
矢澤「フン…お前らじゃ俺らは止められない、
十分分かっただろう…去れ、貴様らに
様などないのでな。」
達也「悪いがこっちは大アリだよ、
お前らには死んでもらわなきゃ
ならないからな…!」
高島「へぇ…まだやるの?」
達也「…たとえ勝てない戦いだろうが
俺はやる、神吹様の邪魔は誰にもさせない…!」
高島「へぇ…面白。」
高島「…決めたよ。」
高島「…アンタから殺してやる。」
達也「は…?」
バキュウン!
達也「が…!?」
雪村「っ、夜崎…!?」
克己「…フハハハハ…!」
達也「克己…貴様、何故…!?」
克己「…お前ら旧時代の人間の時代は
終わったんだ、これからは…俺達が
道と成る。」
雪村「貴様…何故…!!」
克己「最初っから全部計算ずくさ、
こうなることも、俺の存在も…」
克己「…俺達は、作られた存在だから…」
雪村「…やはり、そう言うことか…!」
矢澤「…俺達は、そこに居る女の手で
作られた存在…人ならざる者。」
雪村「…!!」
高城「…そう、全ては私の思い通り…」
高城「全ての命はこの私の手の中に有り、
全ての生と死は私がコントロールする…」
高城「…そして、私はこの世界の神となるの…」
雪村「高城城那…貴様はやはり危険分子だ、
貴様はこの世から取り除く…!!」
高城「…へぇ、アンタも結局
そうなるのね…」
高城「…ま、いいわ…」
高城「どちらにしろ同じこと、
私がすることは同じ…」
高城「12鬼はまた私が作り直す、
そして、アンタ達もろとも
全てを滅ぼす…」
雪村「…イカレ野郎が、
地獄へ送ってやる…!!」
達也「待て…そいつは…ヤバい…!」
雪村「何…?それより、安静に…」
達也「このままじゃ…みんな死ぬ、俺は、
知ってる…あいつのヤバさを…」
達也「奴は…gmtの細胞を自らの体に
移植して…事実上の不死だ…」
雪村「は…!?何でそんなことを
知ってるんだ…!」
達也「分からない…突然、頭の中に…」
雪村「は…?」
雪村「…待て、破邪悲の研究をしてたのって…」
キーン…
雪村「が…っ…!?」
克己「あいつ、何を…」
高島「分からない、だけど…俺らはもう
離れた方が良さそうだ…」
矢澤「そうだな…それは…まずい。」
克己「…さて、どうなるか…」
雪村「ぐ…が…あぁっ…!?」
高城「…感はいいようだけど、残念ね…」
雪村「何を…した…!!」
高城「破邪悲の力の一つよ、相手の脳波に
念を放ち…情報を送る。」
高城「…けど、過度な情報は脳を一方的に
破壊する、その意味は分かるわよね…?」
雪村「まさか…やめろ…!!」
高城「…死ね。」
プツン
雪村「うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
高城「フフフ…フハハハハ…!!」
神野「…これは…何が起こっているの?」
神野「理解が追いつかない、だけど…
これは、相当まずい…それだけは分かる。」
神野「…早く、ブリザードの元へ行って
このことを伝えなくては…」
高城「…何処へ行くの?」
神野「っ…!?」
高城「…あなたも、死になさい…?」
ピッ…
神野「…っ!?」
高城「外したか…まぁいいわ。」
神野「っ…まずい、まずい…まずい…!!」
神野「本当に、殺される…!!」
高城「…死ね。」
神野「っ…!」
ピッ…
ドサッ!!
神野「っ…何が…!」
灯華「神野、こっちに…!!」
神野「灯華、あなたなんで…!?」
灯華「高島が囚われてる間に
なんとか抜け出せたの、かなり
危なかったわ…!」
灯華「それにしても…まさか
こんなことになるなんてね…!」
ダッ!
神野「どうなってるの…?あれはブリザードの
母親よね、もう理解できないわよ…!!」
灯華「私にもさっぱり、でも…あれを野ざらしに
してたら神吹どころじゃない…!!」
神野「神吹だけでも面倒なのに、
あんなのあり…?」
灯華「とんだはた迷惑ね、あんなの…!!」
神野「…あいつは、いる…!?」
灯華「…もう、いない…けど、どこまで
追ってきているか!!」
神野「えぇ…これじゃ、いたちごっこに
なりそうね…!」
…こちらへ!
灯華「っ…その声は…!」
ーー
ブリザード「…とりあえず、
ここまで来たはいいが…」
永遠「飛那世と神野さんがいないのが
不安だね…」
優来「それに、灯華も囚われた…
どうなっているか。」
凍歌「…位置関係を見ても、神野さんと
飛那世は合流してる…それに灯華も一緒。」
ブリザード「何…?灯華も?」
櫻「抜け出せたのか…よかった…。」
華途葉「でも、妙ね…どうして三人が?」
凍歌「あと…もう一つ気になるのが
その三人の近くにある強い力とさっきの
交戦場所で強いエネルギー反応があったこと。」
櫻「…ってことは、あそこで
何かがあったの…?」
凍歌「それに…3人ともそこから遠ざかるように
移動してたみたいなんだ…」
ブリザード「え…?」
優来「全く状況が掴めない…ひとまず、
その三人と合流するしかないわね。」
永遠「うん…現状そうするしかないし、
みんなが何か知ってる可能性は高いしね…」
ブリザード「…そうと決まれば、行こう…
三人の所まで。」
凍歌「…分かった!」
…そして、その位置まで向かい、
ついにその位置に辿り着いた…
飛那世「…あ、先輩…!!」
凍歌「みんな…!よかった、
無事だったんだ…!」
灯華「…」
優来「灯華も、無事でよかった。」
ブリザード「飛那世…!どうなった?」
神野「…いい?今から言うことは全て
本当にあったことよ…」
永遠「え…何…?」
神野「…雪村が死んだ。」
ブリザード「…は!?」
優来「な…え、雪村が…!?」
神野「順を追って説明するわ。」
灯華「まず…12鬼の高島、矢澤…並びに
神吹の幹部である克己はgmtだった。」
ブリザード「え…gmt!?」
華途葉「gmtって…なんで…?」
凍歌「…やっぱり…そうだったんだ。」
櫻「凍歌…?どうかしたの?」
凍歌「高島とブリザードの遺伝子の比率は
ほぼ同じだった…それに加えgmtだった、
となれば…」
飛那世「…ブリザードのお兄さんは高島
だった、ってことですか…?」
凍歌「…いや、違う…むしろ、克己、矢澤…
この二人もブリザードのお兄さんってこと
なんじゃないかな?」
ブリザード「は…?ちょっと待て、俺に
兄弟が3人も居たなんてことは聞いたことが…!」
灯華「…あの人が、あなたのお母さんが何を
研究していたかは知ってる…?」
ブリザード「クローン技術…まさか…!!」
灯華「おそらく、可能性としてはその内二人が
クローンか、それとも全員クローンなのか…」
ブリザード「…でも、まさか…俺の
母さんが出てきたのか…?」
神野「…アンタの母親が雪村を殺したのよ。」
ブリザード「…はぁ!?」
優来「ちょ、ちょっと待って…
意味がわからないんだけど…」
灯華「まず、克己、矢澤、高島の三人が
神吹から離反して、その直後にブリザードの
お母さんも離反した…」
灯華「だけど、どうやら目的は違うようで、
敵対してるみたい…」
永遠「どうしよう…とても頭がこんがらがるよ…」
飛那世「要は、先輩の母親がクローンを
使ってとんでもないことをしようとしてる上
克己らの動向にも気を配らなきゃいけない
ってことですよね?」
神野「…それで大体合っているわ。」
ブリザード「…面倒だな、今まで以上に…。」
灯華「にしても、あの高城とか言う女、
破邪悲の能力を使ってたわよね…
どうなってるの?」
ブリザード「は…?破邪悲の能力を…?」
神野「仕組みは分からなかったけど、
高城が指を鳴らすと破邪悲の能力が
発言するみたいなの、しかもその能力が面倒で…」
飛那世「脳に情報を流すんでしたっけ…」
ブリザード「何…?」
灯華「…破邪悲にそんな能力があったなんて
聞いたこともない、案外あっちの方が
研究を進めてるのかもしれないわね…」
神野「…あの女は他と距離を置いて
研究していた様に見えた…」
ブリザード「…ってことは、破邪悲の
情報はあっちの方にはそこまで
回ってはいないってことか?」
神野「恐らくはね…少なくとも、今は
あの女が何をするか分からない現状、
断定はできないわ…。」
櫻「…こんなことになったんじゃ、
もう対策のしようもないね…」
飛那世「想定外中の想定外ですよこんなの…
どうするんですか?これ…」
ブリザード「…奴ら相手に正攻法じゃ
勝てない…不意を突くんだ。」
ブリザード「そして…その上で一発で
決着をつける必要がある…。」
華途葉「奴らが法外な力を使ってくるんじゃ
こっちもそれに立ち向かえるだけの
力が無いと苦しい戦いは避けられないわね…」
灯華「…それに関しては私に任せて。」
ブリザード「灯華…」
灯華「私に任せて貰えれば破邪悲の力を
最大限引き出せるように調整する、
もう余計なことはしないから、
私のことを信用してほしい…」
ブリザード「…」
灯華「今更許してほしいなんて思いはしない、
ただ…私でも皆の力になりたいの。」
ブリザード「灯華…分かった。」
ブリザード「これからの戦いは灯華に
賭かってる、頼んだぞ…」
灯華「…ありがとう。」
飛那世「ひとまず、当分は神吹より
克己や高城らの対策の方が優先、
と言うことでいいですか…?」
優来「そうだね…雪村が死んだ以上、
神吹は後回しにするしかないね…」
ブリザード「あぁ…だが、拠点はどうする…?」
櫻「…もう、危険だし学校には
行けないかもしれないね…」
ブリザード「…それは駄目だ。」
飛那世「…先輩、もうそうするしかないんです…
他に場所を探さないと行けないですし
学校に行っている間を襲撃されたら
元も子もないです…。」
ブリザード「…今学校に行けなかったら
後の人生で苦労することになる、
それだけは避けないと…!」
飛那世「先輩…一ついいですか?」
ブリザード「飛那世…どうした?」
飛那世「私達は型にははまらない存在です、
世界を変えるくらい造作もないですよ…」
飛那世「学歴なんか無くとも私達は
世界を変えに行くんですしそんなことを
気にしてても変わりません…。」
飛那世「…楽なことではないですけど、
頑張ればいつか道は照らされるはずです…」
飛那世「どうしようもない闇の中からも
蜘蛛の糸みたいに光は伸びる…
そんなこともありますよ。」
ブリザード「…だが、これじゃ…」
飛那世「大丈夫ですから、心配いりませんよ…」
永遠「ブリザード、この世界じゃ
仕方ないこともたくさんあるよ…」
ブリザード「…そうだが…」
飛那世「背に腹は変えられないってもんですよ、
学校についてはこの戦いが終わったら
どうにかしましょう…。」
ブリザード「…そう、するしかないのか…?」
優来「大丈夫だよ、きっと
上手く行くから…」
ブリザード「…分かった。」
ブリザード「でも…みんなはそれでいいのか?
後悔とかはないのか…?」
永遠「…特にないかな、仕方ないことだし。」
飛那世「学校とか、正直私の
性に合ってないですし…」
櫻「…そりゃ、楽しいけど…
楽しいだけじゃいけないから、
私達は私達のすべきことをしないと…。」
ブリザード「そうか…なら、構わないな…」
神野「…ってなると、新しい
拠点を探しに行かないとね…」
ブリザード「どこかにあるだろうか…
丁度いい場所は…。」
飛那世「折角だし少し遠くまで行って
探してみましょうか…。」
優来「そうだね、近くだと
すぐに見つかりそうだし…」
凍歌「遠くって言ってもどの辺だろ…
10キロは離れた方がいいよね。」
華途葉「…となるとかなりの遠出に
なりそうね…大丈夫かしら。」
ブリザード「荷物は大体俺が持つからいいよ…」
櫻「いいの?私が持とうか…?」
ブリザード「大丈夫だ、櫻さんに
持たせるわけにもいかないし…。」
櫻「…そっか。」
神野「それで?場所はどうするの…?
闇雲に探すわけにも行かないし。」
飛那世「…ここの西は確か過疎化が
進んでて人もいないですし、
その中から探せるかと…」
ブリザード「…決まりだな、そこに
向かおう…。」
華途葉「…じゃあ、荷物を運びに
行きましょう…」
凍歌「…うん、とりあえず、私は
車の用意をしておくね。」
優来「分かった、じゃあ私達が
準備しておくよ…」
凍歌「うん、じゃあまた後でね!」
ブリザード「それじゃ…俺達も
そろそろ行こうか。」
飛那世「えぇ…。」
ーー
ガラッ…
ブリザード「…ここに来るのもこれが
最後か…。」
優来「今にしてみればここで
たくさんのことがあったよね…」
ブリザード「…影浦は、あっちでも
上手くやってるだろうか…」
櫻「大丈夫だよ、あの人ならきっと
元気にやってるよ…」
ブリザード「…だよな。」
…ここを去るとなると寂しいのと同時に、
ここであった記憶が蘇ってくる…
思い出は一瞬だけど俺達の中で
永遠になって、その記憶は俺達が
覚えている限り続いていく…
いつまでも忘れられないような、
そんなことも…俺達が死ねば消える。
だけど…俺は永遠に生き続けるんだと思う。
だから…この思い出は永遠だ。
いつまでも…消えないものだ。
だが…それも悲しい物だ。
だって…俺は、みんながいなくなれば
一人になってしまう。
…俺にとっては、ここにいる皆が
全てなんだ…弱い俺のことをずっと
見守っていてくれたから…
だから…それを一度失ってしまえば…
きっと、俺の人生は終わるんだと思う。
やがて忘れてしまえば…俺には何もなくなる。
…だから、無くしたくない…
失うのが怖いんだ…
どうか…みんなが永く生きられるように
したい…けど…それは叶わないもの…
俺はもう、手遅れなのかな…
ブリザード「…」
永遠「…ブリザード?」
ブリザード「…あぁ、すまない…。」
華途葉「さ、とっとと片付けるわよ…」
優来「うん…。」
ブリザード「…懐かしいな、ここに
2年も居たから当然か…」
櫻「私も3年居たからなー、
やっぱり惜しい部分はあるよ…」
ブリザード「…もしかしたら、神吹も何も
居なくてここでただ楽しく遊んでるだけって
世界線もあったのかもな…。」
神野「…そんなものがあったのなら、
さぞかし嬉しいけど…私達はこの世界に
生まれた以上、この世界で生きるしかないの…」
ブリザード「そうだよな…やっぱり。」
ブリザード「俺の苦しみも…
無くなればいいのにな。」
月の光が照らすこの夜の中で、
かつての俺達は何を思ったんだろうか…
昔は俺も弱くて…人一人殺すだけでも
かなり苦労したな…
だけど…努力して、ここまで来た…。
…大勢の犠牲も払ったけど
あと少しの所まで来てるかもしれないんだ…。
ここまで俺達が生きてきた軌跡は、
全て今俺たちの中で確かに生きている…
…きっと、無駄じゃない…そう思える。
ーー
…確か、神野さんが入ってくる前…
永遠「うわーっ!また負けた…!」
櫻「フフフ、私このゲームは
案外強いんだよ!」
永遠「むーっ、もう一回!」
飛那世「…やってますね。」
ブリザード「…俺、この部がゲームの
部活だってこと忘れてたよ。」
飛那世「…私も、今思い出しました。」
ブリザード「俺、この部の使いかた
間違ってるのかな…?」
飛那世「いえ、そんなことはないと
思いますよ?だってこの部の正式な
目的は先輩が思ってる物ですから。」
ブリザード「…そうだよな。」
永遠「あ、お兄ちゃんに飛那世も!」
櫻「一回やってく?」
飛那世「やってきたらどうです?」
ブリザード「…飛那世は?」
飛那世「それは先輩にお任せしますよ。」
ブリザード「…行ってきたらどうだ?」
飛那世「先輩こそ、行かなくていいんですか…?」
ブリザード「俺はいいよ…弱いし。」
飛那世「それを言うなら私だって…」
櫻「はいはい、ずべこべ言わずに
とっととやるよー!」
ガシッ
飛那世「ちょ、わぁぁぁっ!?」
ブリザード「ちょっと、櫻さん…!?」
櫻「どうせみんなでやった方が楽しいし、
二人もその方がいいでしょ?」
飛那世「えぇ…まあ、はい…」
櫻「さ、ほらほら二人とも早く行くよー!」
ブリザード「ちょっ…もう、強引だな…」
永遠「あ、二人ともやるの?」
ブリザード「あ、あぁ…一応。」
優来「お、私も混ぜて。」
櫻「いいよ、ほら、やろ!」
ブリザード「あ、あぁ…」
そして…その後俺は窮地に
立たされることになった。
永遠「どうしたのー?このままじゃ
僕が勝っちゃうよー!?」
ブリザード「…どうしよ。」
優来「あ、ちょっと待って…」
ブリザード「優来、どうした…?」
優来「ここをこうすれば…」
ブリザード「…よいしょっと。」
永遠「え?あぁっ、ちょっと!?」
ブリザード「…あ、勝った…。」
永遠「ぎゃぁぁぁぁっ!?」
ブリザード「…よし。」
永遠「ねー優来、それはちょっと
卑怯じゃなーい?」
優来「私は誰の味方でもないよ…。」
永遠「むぅ…もう一回!!」
華途葉「だめ、次は私がやるから。」
永遠「ちょっ、華途葉…!?」
華途葉「ブリザード…今回は負けないから。」
ブリザード「…お手柔らかに頼む。」
その後、悶苦しむ華途葉をよそに
俺は普通に勝った…。
華途葉「もう、なんで勝てないのよ!」
ブリザード「…。」
櫻「華途葉、ドンマイ!」
華途葉「もう…他人事みたいに…」
櫻「ま、その内勝てるようになるよ。」
華途葉「そう言う櫻はブリザードに
一度でも勝ったの…?」
櫻「…。」
華途葉「…ねぇ。」
櫻「さ、ほらほら次は飛那世だよ!」
華途葉「…おい。」
櫻「…はて、何でしょうか…」
華途葉「…私の話聞いてた?」
櫻「…え?なんの話でしたっけ…」
華途葉「…櫻、遺言くらいは聞いてあげる、
何がいい?」
櫻「だーっ!ちょ、待ってってー!」
華途葉「はぁ…」
ブリザード「…あの、櫻…やらなくていいのか?」
櫻「やる!」
優来「飛那世と櫻さんか…櫻さんに
勝ち目はないね。」
永遠「うん、もう展開がなんとなく
読めちゃうよね…。」
優来「…さて、どうなることやら。」
ぎゃぁぁぁっ!?
永遠「はぁ…」
優来「…うん、予想通りだね…」
飛那世「…櫻さん、弱すぎません…?」
櫻「ぐ…飛那世が強すぎるだけじゃん!」
飛那世「え?私はこのゲーム初めて
ですけど…」
櫻「…はえ?」
飛那世「…?」
櫻「ぐ…ぐふ…」
バタッ
優来「ちょ、櫻さん!?」
飛那世「ハァ…また無茶するから…」
ブリザード「とりあえず、ソファまで
運んでおくよ。」
優来「うん…ありがとうね。」
影浦「…あれ?また櫻倒れたのか…?」
ブリザード「あぁ…でも、少し寝れば
元に戻るから大丈夫…」
影浦「そうか、ならよかった…。」
影浦「…ブリザードも、
あまり無理はするなよ…?」
ブリザード「はい…分かってます。」
影浦「無理しすぎると…後々
後悔することになるから。」
ブリザード「…はい。」
影浦「じゃ、気をつけてな。」
ブリザード「…分かりました。」
…普段は頼りになる櫻さんでも
ゲームとなるとこうなる…
…こうやって楽しめる時間もいくつか
あったけど…結局こうなった…
俺は…弱かった、変わりたかった…
この状況を変えるために力が欲しい…
破邪悲を上手く扱えるほどの力があれば
俺も母さんに負けることはない…
…正直、現実味は全く無いけど…
やるしかないんだ。
もう後には引けないところまで来てる、
だから…最後まで、戦いきってみせる…
ーー
凍歌「お、みんな持ってきた?」
ブリザード「あぁ…これで全部だ。」
凍歌「よし、じゃあもう行こうか…」
永遠「…待って、もう少しだけここに居ない…?」
櫻「確かに、ここであったことを振り返ったり
してみてもいいかな…」
凍歌「うん、じゃあそうしよっか…。」
永遠「にしても、私と飛那世は部員で居た
期間より期間じゃないのに来てた時の方が
多かったよね…」
飛那世「そうだね…そう考えると少し惜しいな。」
凍歌「私も全然居なかったなー。」
神野「私も…みんなより少し少ない。」
ブリザード「…俺は長かったけど…
そもそも、どうしてこの部を
立ち上げようとしたんだっけ…」
優来「どうせ学校に入るんだしそれっぽいことを
した方が楽しいんじゃないかって
言ってた気がする…。」
ブリザード「…あぁ、そうだった…」
ブリザード「案外、忘れるものなんだな…。」
優来「…でも、ブリザードがそう言ってくれた
時、けっこう嬉しかったんだよ…?」
ブリザード「…そうなのか?」
優来「ブリザードが昔みたいに笑顔を
見せてくれたらいいなって…」
ブリザード「…。」
優来「ブリザードもいつか…きっと、
笑える日が来るかな…?」
ブリザード「…でも、俺…怖いんだ。」
優来「…何が?」
ブリザード「…俺は死なない、だから…
いつか、みんなを喪ってしまう…
そうなってしまうのがとてつもなく怖いんだよ。」
優来「…ブリザードがそこまで気にする
必要はないんじゃないかな…?」
ブリザード「…え?」
優来「…そうなることはブリザードも
分かってるんでしょ?だったら…喪った
後のことじゃなくて、今楽しむことを
考えるのか一番なんじゃないかな…って。」
ブリザード「…確かに、そうかも…」
優来「…できれば、私がブリザードと
ずっと一緒に居れたらそれが一番なんだけどね…」
ブリザード「…そうだな。」
…確かに、そうかもな…
勝てる見込みも少ない戦いだ、先のことを
考えるなんて無理があるな…
…今は、もう何も考えない方がいい…そうだ。
…どうせ、本来人ってのはどう足掻こうが
死ぬ、だからこそ…必死こいて生きた証を
世界に残さなきゃいけない。
そうすれば…きっと、人の存在は
永遠と化すから…。
俺は、世界を変えて…みんなの名を
後世に残したい…。
残酷な運命に最期まで抗って…
戦い抜いたみんなの物語を。
天が…地が、黎明を迎えたときに、
みんなの名を語り継げるように…
それが…きっと、今俺がここにいる理由なんだ…
なんとなく、そんな気がするんだ…
ブリザード「優来…ありがとな。」
優来「ん…?どうしたの、突然…」
ブリザード「…俺、目が覚めたよ。」
ブリザード「俺がここに居る意味も…理解した。」
優来「え…?そ、そう…?」
優来「でも…とにかく、よかったよ…。」
ブリザード「あぁ…ありがとう。」
優来「えへへ…なんか照れくさいな…」
ブリザード「何だよ今更、俺と優来の
仲だろ…?」
優来「アハハ、確かにそうだね…」
ブリザード「…フフッ。」
優来「…あれ?ブリザード今笑った…?」
ブリザード「…?」
凍歌「ね、みんな、そろそろ行こう?」
優来「…そうだね、ブリザード…もう、
行こっか…」
ブリザード「…あぁ。」
ブリザード「…」
ブリザード「灯華、一人でいいのか…?」
灯華「…私は、別に…」
ブリザード「灯華も一緒に来なよ、
仲間だろ…?俺達は。」
灯華「私は…みんなと一緒に居るほどの
価値があるの…?」
ブリザード「…あるに決まってるだろ…?」
灯華「…私は、一度は神吹の軍門に下った身…
許されたいとは思わない。」
灯華「ただ…申し訳ないと思ってる。」
灯華「みんなが大変な時に助けられなくて、
あげく凍歌のことも考えずに
あんなことまで…」
ブリザード「…もう、いいんだよ…
全部、過ぎたことだ…」
ブリザード「それを言うなら俺も、
散々酷いことをしてきた…一緒に居る資格が
無いとか、言わないでくれよ…」
灯華「…やっぱり、変わらないんだね…
いつも通りだよ、ブリザードは…」
灯華「…ごめんなさい…私…こんなに
ダメなのに…どうして…」
ブリザード「…辛かったろ?もういいんだ…
散々なことは、もう終わりにしたい…」
ブリザード「…やっぱり、俺には灯華が
居なきゃダメなんだよ…」
ブリザード「…今までのことも全部許すし、
俺達の元に居てほしいんだ…」
灯華「…こんな私でも、いいの…?」
ブリザード「…大歓迎だよ。」
灯華「…ほんとに、ありがとう…ブリザード…」
灯華「本当に…よかった…」
灯華「っぐ…ブリザード…!」
ギュゥゥッ…!
ブリザード「っ…灯華、どうした…?」
灯華「ほんとは…私、怖かった…
ブリザードに嫌われたくなかったから…」
ブリザード「…不安だったか、すまないな…」
灯華「私…ここにいてもいいんだよね…」
ブリザード「あぁ…」
灯華「よかった…っ…よかった…!」
ブリザード「…。」
凍歌「あれ…どうしよっか。」
神野「もう少し待ってあげましょう…灯華も
ようやく仲間になれたんだし。」
凍歌「あれ?思ったより仲間として
認めるの早いんだね…」
神野「…境遇は似てるし、気持ちも
なんとなく分かるから…」
凍歌「…そっか。」
凍歌「…私はさ、分からないんだ…」
神野「え…?」
凍歌「模造品だからかな…何も分からないんだ。
人工知能の範囲外のことは…」
神野「人工知能の範囲外って…
どう言うこと…?」
凍歌「最近分かったんだけどさ…私って
人間みたいに思考するんじゃなくて思考する
機能のある人工知能で思考してるんだって…」
凍歌「だから…みんなとは根本的に
考え方が違うみたいで…最近、感情が
何かも分からなくなってきたんだ…」
凍歌「…もう、怖さとかも感じなくなってさ…
どうすればいいんだろ…もう、何も
分かんないよ…」
神野「…一つ聞くけど、アンタはなんで
ここに居るの…?」
凍歌「…分かんない…分かんないよ、やっぱり…」
凍歌「そうなるようにラーニングされてるから
なのかな…どうなってるんだろ。」
神野「…どう言うことなの、アンタには
人としての脳があるはずじゃ…」
凍歌「…なんか、それも模造品でしかない
みたいで…同じ思考回路しかなくて…
使い物にもならないの。」
凍歌「ねぇ…私は、人間じゃないのかな?」
神野「…それを決めるのはアンタの
仕事でしょう…?」
凍歌「そう、なのかな…?」
凍歌「でも、分かんないよ、私には…何も。」
凍歌「おかしいよね、私…」
神野「…で、それでいいわけ?
凍歌は…」
凍歌「いいわけ無いよ、だけど…
どうすればいいのか…」
神野「自分で考えなさい、そうじゃないと
自分のためにならないでしょ…」
凍歌「そう、だね…」
凍歌「でも…私、このままじゃ自分が
自分かさえ分からなくなってしまうかも
しれないの…」
神野「…それが、怖いの…?」
凍歌「…いや、怖くはない…でも、
どうして怖くないのかが分からないんだ…
今まで、こんなことなかったのに…」
神野「…やっぱり、クローン実験なんて
するもんじゃないのね…。」
凍歌「…。」
ブリザード「…悪い、少し遅れた…もう行こう。」
飛那世「はい、もう準備はできてます…
乗りましょう。」
ブリザード「あぁ、俺が運転するよ…」
飛那世「…えぇ、分かりました…」
櫻「じゃあ、みんな行くよ!」
永遠「はい…。」
ガタッ
ブリザード「全員乗ったな…よし、
行くぞ…。」
ブルルルル…
そして…俺達は新たな拠点を探して、
長く滞在していた部室を
離れることになった…。
ーー
飛那世「さて…この辺りですね、例の場所は。」
凍歌「うん…ひとまず、停車しよっか。」
ブリザード「あぁ…ここらでいいか?」
優来「うん…大丈夫だと思う。」
ウィーン…
ガタッ
ブリザード「よいしょ…にしても、
ここは空気が汚れてるな…」
凍歌「人が居ないからね…仕方ないよ。」
神野「これは…掃除しないといけないかも
しれないわね。」
櫻「そうだね…じゃないと、ここに
住むのは難しいし…」
灯華「…とりあえず、ある程度準備ができたら
掃除しておくわ…」
櫻「じゃ、全員でぼちぼち掃除するって
ことでいいかな?」
ブリザード「ああ…そうしよう。」
凍歌「ひとまず、拠点にする場所を
探して、その後に荷物を運ぼうか。」
ブリザード「あぁ、とりあえず
今から探しに行こう…」
飛那世「私が荷物を見ておきますね。」
永遠「うん、じゃあ行ってくるよ。」
飛那世「それでは、また…」
そして…この街をしばらく探し回った。
華途葉「クソ…今の所ボロ屋か狭い家
しかないわね…」
櫻「役所とか、ないかな?」
ブリザード「確かに…役所なら広さを
考えても拠点にできるかもしれないな。」
優来「どこにあるんだろ…凍歌、分かる…?」
凍歌「うーん、この辺りには無さそうかな…」
櫻「そっか…どうしようね。」
神野「…ねぇ、あそこにきれいな建物が
ある…」
灯華「…本当だ、しかもまあまあな
広さがありそう…」
ブリザード「一回、あそこに行こうか…」
華途葉「そうしましょうか。」
そして、その家に入ると中は他より
きれいだった…。
ブリザード「荷物がないし、中で人が住んでいる
様子もない、ここは何なんだ…?」
灯華「出ていったのが最近なのかしら…」
櫻「部屋の数も多いし、ここで良さそうだね…」
凍歌「…待って、嫌な予感がする…」
優来「凍歌…?」
凍歌「ここから先にある部屋から
何か…感じるの。」
ブリザード「この部屋がどうした…?」
凍歌「待って、開けたら…!」
ガチャ
ブリザード「っ…!?」
櫻「な、なにこれ…!?」
永遠「死んでる…自殺か。」
そこには、首を吊って死んでいる
死体が転がっていた…
神野「この状態…死んだのは最近では
ないわね…!」
華途葉「待って…この台の上、遺書がある…。」
永遠「…待って、それより先に飛那世を
ここに連れてこよう…見解を聞きたい。」
ブリザード「荷物も同時に持っていくか…」
華途葉「え…?こんな所に拠点を
構えるつもりなの…!?」
ブリザード「現状だとそうするしかないんだ、
すまないが…我慢してもらうしかない。」
華途葉「仕方ない…のかしら。」
灯華「にしても…どうして、こんなこと…」
灯華「…ん?待って…」
ブリザード「灯華、どうした…?」
灯華「…この顔には覚えがある…。」
灯華「いや…違う…まさか…!!」
灯華「ありえない…こんなことは…!!」
ブリザード「灯華、どうし…」
ブリザード「…は?」
その顔を覗き込むと…そこにあったのは…
…紛う事無き、神吹だった…
ーー
飛那世「…どう言うことなんですか、
神吹が死んだって…」
ブリザード「分からない…なんで、
神吹が死んでるんだ…!」
凍歌「嫌な予感はしてたけど…
まさか、こんなことになっているなんて…。」
灯華「ひとまず…準備がある程度終わったら
この体について調べてみる、
凍歌、付き合ってもらってもいい…?」
凍歌「うん…任せて。」
神野「…ありえない、こんな終わりなんて…」
ブリザード「いや…これで終わりじゃない。」
ブリザード「もしこれが神吹だとして…
じゃあ、俺達の目の前に現れた神吹は
一体何なんだ…?」
飛那世「もしかしたら…最初から
替え玉だった、ってことですかね…?」
優来「そんな…じゃあ、私達が戦ってた
神吹は…」
華途葉「顔を変えた偽物ってこと?
はぁ…ありえない…。」
神野「今までの神吹のおかしい行動にも
ある程度納得がついたけど…じゃあ、
あれは何のためだったの…?」
ブリザード「待て、それに…奴の死体が
ここにあったってことはここは神吹に
把握されてるってことか…!?」
優来「だとしたら、すぐに移動しなきゃ…」
凍歌「いや、その心配はなさそうだよ。」
ブリザード「何故だ…?」
凍歌「今調べてみたけどここに人が来た
形跡は10年以上ないしここに神吹の連中が
来たような形跡もないから…」
ブリザード「…だとしたら、あの死体は
10年以上あの状態だったってことか…?」
飛那世「協力な防腐剤がかけられていたのか…
にしても、これは…」
ブリザード「…ひとまず、遺書を見てみようか…」
灯華「えぇ…読んで。」
ブリザード「…これを読んでいる人へ、
君がここに来ることも全て僕の想定内…」
僕は壮大な計画を立てた、世界を一つに収める
計画を…。
僕の力を持って、SUNSINEを乗っ取り
裏から世界を支配する…
それは成功した。
だけど、次第にそれはつまらなくなって、
飽きてしまった…
だけどそんな時古い文献から破邪悲を
見つけて、いいことを思いついた…
こいつを用いて世界を無に帰そうってね…
ブリザード「…待て、これは…
遺書じゃない…!!」
神野「神吹に成り代わった奴が書いてるって
ことなのね…となれば…これはやっぱり
やばいんじゃ…!」
凍歌「続きを見てみよう、何か書いてるかも…」
破邪悲はどうやらgmtが適合すると
世界を大氷河に包んで人が全て死滅する
レベルの寒波をもたらすんだと…
幸い僕はgmtで、その文献に破邪悲の
ある場所も書いてあった、これさえあれば
僕の悲願は達成される…
…僕の計画はこれで完成した…もう、
僕の勝ちは決まったような物だ…
ブリザード「…まずいな、もしかしたら、
奴らの目的は…」
飛那世「まさか、先輩を破邪悲と
適合させるってことですか…?」
灯華「その線が高いわね、それ以外に
考えられないもの…」
ブリザード「…どうする、破邪悲を使えないん
じゃ…奴に勝てる筋はない、負ける…」
ーー
灯華「DNAの鑑定が終わったわ。」
永遠「…どうだった?」
凍歌「結論から言うとこれは神吹本人で
間違いなかったよ。」
神野「っ…やっぱり、そうだったのね…!!」
灯華「ただ…いくつか気がかりな点があって。」
ブリザード「それは…?」
凍歌「まず、こいつgmtじゃないよ。」
ブリザード「え…?gmtじゃない?」
灯華「どう調査してみても体の構造が
gmtとは違うもので、得意な体質って
ことでもないわね…。」
凍歌「そして、次が一番気がかりなんだけど…」
凍歌「こいつ、顔を変えられてるよ。」
神野「…なっ!?」
飛那世「ちょっと待ってください、
おかしいじゃないですか…!だって…ここには
神吹の娘だった神野さんだっているのに…
あれは顔を変えても騙しきれたって
ことなんですか…!?」
凍歌「多分、そうなるね…。」
神野「ありえない…見破れたはずなのに、
どうして…!!」
灯華「仕方ないわ、奴の能力を考えれば…
見破ることは難しいもの。」
凍歌「で、そうなると問題はどうして
神吹に成り代わる必要があったのか…だけど。」
華途葉「普通に考えれば権力や神吹が持つ
武力でしょうが…。」
ブリザード「…それだけな様には見えない、
何か裏があるぞ…」
神野「それ以外の目的か…
思いつかないわね…。」
優来「最初っからブリザードがgmtと
知っていた訳では無いだろうし…
どうなんだろう。」
ブリザード「…とにかく、神吹は危険だ…
より警戒しよう。」
飛那世「それで、どうします…?
ここに拠点を構えるべきでしょうか。」
ブリザード「いや…ここはダメだ、1いつ
神吹が来るか…」
灯華「…そうね、惜しいけど…別の場所を
探すしかないか。」
華途葉「…でも、拠点を構えられるような
場所がどこにあるか…」
凍歌「うーん…この辺りにはないかも、
ただ、元の拠点の西12キロを過ぎた
辺りに良さそうな場所がありそう…」
ブリザード「そこに行こう、ただ
行くまでのガソリンが足りるか…」
飛那世「近くの車からガソリンを貰いましょう、
無ければ近くで買えばいいだけです。」
ブリザード「そうだな…そうしよう。」
永遠「じゃ、気を取り直して
西の方に行こう。」
ブリザード「あぁ…荷物をまとめたら行こう…。」
ーー
克己「…戻ってきたか、二人とも…」
高島「…あぁ、だが…問題が生じた。」
克己「…問題?」
矢澤「撤退する前偵察のために少しだけ
残ったんだが高城に雪村が殺された、
そして高城が俺らの母親らしい…」
高島「しかも奴、神吹を裏切りやがった…」
克己「何だって?やっぱり…
そうだったのか。」
高島「どうする?奴はこれからの
計画の障害になりうる存在だ…」
克己「…しばらくはあまり表立って
動かない方がいいかもな、雪村を
殺せるレベルなら俺達が勝つのは厳しい…」
矢澤「決まりだな、だが…動向は常に
確認するようにしよう。」
克己「俺が出て状況を報告する、
それでいいか…?」
高島「あぁ、もし動けそうな状況に
なったら俺達が出るよ…。」
克己「分かった、もしも仕掛けられそうに
なったら仕掛けに行く…。」
高島「あぁ…任せるぞ。」
矢澤「…もう少しで勝機は来る、
頼むぞ…。」
克己「…あぁ。」
ーー
松山「…神吹様、ご報告があります…」
神吹「要点は既に聞いている、簡潔に
状況を述べよ…」
松山「…予想通り、克己らは我々を裏切りました、
ですが…研究者の高城城那も我々を裏切り、
破邪悲の能力を用いて雪村の脳を破壊しました。」
松山「…ですが、奴らに致命傷を負わされた
雪村、夜崎両名は生存しており雪村に関しては
脳を再生させることでどうにかなるかと…」
神吹「…あの女がまさかここまで
邪魔をしてくるとはな…!」
神吹「煩わしい…こんなことで…
邪魔をするな…クソ…」
松山「どういたしましょうか…これでは、
奴らに勝てる戦力が削がれてしまいます…」
神吹「近いうちに私が出る、それまでに
12鬼やお前達がどうにかして克己らを
始末しろ…」
松山「…承知いたしました。」
神吹「覚悟しろ…ただでは終わらせんぞ、
高城め…」
神吹「根絶やしにしてやる…クズ共が…!」
神吹「私の計画の邪魔をしたことを…
後悔するんだな…!!」
松山「我々は高城を迎撃する予定ですが、
どういたしましょうか…。」
神吹「高城は後だ、まずはあのガキどもから
始末しろ…」
松山「了解いたしました、奴らに12鬼を
送り込んでおきます…。」
神吹「徹底的に潰せ、容赦するな…
全ての力を持って敵を殺せ。」
松山「…は。」
ーー
ブルルルル…
ブリザード「さて…凍歌が言ってたのは
この辺りか?」
飛那世「…はい、この辺りで間違いないかと…」
櫻「この辺りで止めようか。」
ウィーン…
ガチャ…
灯華「今度こそ行けるかしら…」
ブリザード「見たところさっきの場所よりは
きれいみたいだが…どうか。」
飛那世「今回も私が荷物を見ておきます、
皆さんは辺りの捜索をお願いします…」
ブリザード「分かった、早めに終わらせるよ。」
永遠「今回は見つかるといいな…。」
華途葉「見つからないと、困るだけだから
とっとと見つけないと…じゃないと
路頭に迷うことになるからね。」
神野「…でも、ここならすぐにでも
見つかりそうね。」
優来「うん…ここの町は案外大きいみたい。」
凍歌「昔は栄えてたけど何からの要因で
潰れたってことかな。」
ブリザード「そんな所か…だが、俺らが
拠点にするには充分か…」
華途葉「えぇ…奪えるものは奪えるだけ
奪っときましょう、どうせ誰も居ないし…」
櫻「うん…この辺りにありそうかな。」
灯華「あ…あそことかいいんじゃない?」
永遠「ん…本当だ、中々広さがありそうだよ…。」
神野「とりあえず、あそこに行きましょう。
それでよさそうだったら
そこにすればいいし…」
ブリザード「分かった、中を調べよう…。」
櫻「さっきみたいなことがないといいけど…」
ーー
灯華「中は…うん、大丈夫そうね。」
ブリザード「さっきの例があったんだ、
まだ油断するな…」
永遠「じゃ、みんなで部屋の中を探そう。」
神野「えぇ…なるべく早くね。」
ブリザード「じゃ…俺はこの部屋を探すよ。」
優来「うん、よろしくね。」
ブリザード「さて…どうなってるかな。」
ガチャ…
ブリザード「中は…個室みたいな感じか、
特に何もなさそうだな…」
ブリザード「…うん、大丈夫そうだ…。」
ブリザード「少し調べてみるか…」
ブリザード「…怪しいところも無さそうだ、
問題ないな…。」
ブリザード「…こっちの方は問題ない、
そっちの方はどうだ…?」
凍歌「こっちは大丈夫そうかな、あとは
みんなを待つだけだけど…」
ブリザード「…ここは大丈夫そうだ、
もう飛那世を呼びに行っても大丈夫かもな…」
凍歌「…まさか、まだそう判断するには
早いでしょ…」
ブリザード「…そうだよな、
少し浮かれすぎたか…」
華途葉「こっちは、異常無し…。」
ブリザード「お、そうか…よかった。」
優来「こっちの方も問題なし。」
ブリザード「…もう、大丈夫かな…」
そして、問題は最後まで見つかることなく
無事に飛那世を迎えに行った…。
飛那世「…本当に、大丈夫そうですね…」
ブリザード「あぁ、ここなら安全に
拠点にできそうだ…」
飛那世「今度こそ、ですね…。」
永遠「じゃ、荷物を置きに行こうか…。」
ブリザード「あぁ、1時間以内には
終わるかな…」
櫻「ふぁ〜、流石に眠たくなってきた…」
華途葉「我慢しなさい、あと少しだから…」
櫻「はーい…。」
ーー
優来「ねぇ、ブリザード…。」
ブリザード「…何だ?」
優来「…まさか、雪村が死ぬなんてね…」
ブリザード「あぁ、敵は恐ろしく強大だ…
一筋縄じゃ行かないだろう。」
優来「…今の私達なら行けるかな…」
ブリザード「…簡単には行かない、だから
俺達も試行錯誤しないとな…」
優来「私も頑張るよ、頑張って…一人でも
幹部や12鬼を倒せるようになる…」
ブリザード「…あぁ、お互い頑張ろう…」
優来「…私、ブリザードとここまで来れて
よかったよ…」
ブリザード「何だ…?まだ戦いは
終わってないぞ…」
優来「うん…そうだけど、私…ずっと
上手く行かなくて、何もかも投げ出して
しまいたくなったこともあったけど…」
優来「どんな苦しい状況でも頑張って
活路を見出すブリザードに感化されて、
なんとなく強くなれた気がしたんだ…」
優来「改めて、ありがとう、ブリザード…。」
ブリザード「礼なんかいい、優来は優来自身の
力で強くなったんだから…」
ブリザード「…それに、そんなことを
言われるほどの実力なんて俺にはないさ…」
優来「そんなことないよ、ブリザードは強い…
それは一番ずっと近くにいた私が
分かってるんだから…」
優来「ずっと思ってたんだけど、
ブリザードって自己肯定感低いよね…」
ブリザード「そうなのか?そんな自覚
なかったんだが…。」
優来「多分みんな薄々思ってるよ、
ブリザードはもっと自信持っていいと
思うけど…」
ブリザード「…自信、なぁ…」
ブリザード「突然そんなこと言われても
分からないものは分からないな…」
ブリザード「…どうすればいいと思う?」
優来「…ブリザードってあんまり笑顔を
見せることがないし笑顔の練習を始めたら?
笑えば自然と自信がつくって言うし…。」
ブリザード「そうなのか…?とりあえず、
やってみるか…」
ブリザード「…ん。」
優来「…それ笑ってるの?」
ブリザード「…分からん、笑ってるように
見えるか…?」
優来「…ううん。」
ブリザード「…そうか?じゃあ、
どうすれば…」
優来「とにかく、表情をほぐすのが
一番だよ…。」
ブリザード「表情を、ほぐす…?」
ブリザード「…どうすればいいのか分からん。」
優来「えー、なら…どうすればいいんだろ…」
ブリザード「…待て、冷静に考えたら
俺達全然片付けしてないんじゃないか…?」
優来「…あ、やっべ…」
ブリザード「今からでも遅くない、急いで
片付けるぞ…」
優来「う、うん…!」
ブリザード「…。」
笑顔の練習、か…
…気づかない内に忘れるものなんだな、
笑顔の仕方も…
…人に言われて初めて気づいたよ、そんなこと…
笑顔なんて当然のことだろうが、俺はそれすら
忘れてしまっていたんだ…
俺は…こんなことをしたかったのか?
違うだろ…
今の現状は正直最悪だ…俺は、
知らない内に感情すら無くしていたのかも
しれない…。
…これじゃダメだ…俺は…
なんとかしなきゃ…じゃないと…
絶対に後悔する…
そうと決まれば…早速行動に移さないと…
ーー
神野「ふぅ…これで、終わりかしら…」
飛那世「あー、2回も同じことをするのは
大変ですね…」
櫻「ふぁー、もう眠すぎて限界…
いい加減寝るよ…」
ブリザード「…櫻さん、寝るのか…?」
櫻「うん…一緒に寝る…?」
華途葉「まさか、ブリザードがそんなこと
する訳ないでしょ…」
ブリザード「…あぁ、そうするよ…」
華途葉「…え゙?」
櫻「…はい?」
ブリザード「ほら…ベッドまで行くぞ…」
優来「ちょ、ちょ!ストーップ!?」
灯華「あ、アンタ正気なの!?
そ、そんなこと…!!」
永遠「お兄ちゃんが僕以外の女と寝る…?」
永遠「あ…あはははは…」
永遠「許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない…」
櫻「あ…そ、その…優しく、
お願いします…」
ブリザード「あ、あの…そう言う訳じゃ…」
永遠「へぇ…お兄ちゃんそう言う気
だったんだ…?」
ブリザード「ちょ、本当に違うって…」
永遠「…逃さないから、絶対に…」
ギロッ
ブリザード「あ…っ…」
…今、ありえないほど言葉が詰まって
しまった…
こんなとき、どうすればいいんだろうか…
…そうだ、もうこうするしかないか…
ブリザード「分かった、次は永遠と
一緒に寝るから…」
永遠「…え゙?」
飛那世「…あ、先輩地雷踏みましたね。」
神野「ハァ…もうダメみたいね。」
永遠「…お兄ちゃんは僕がそんなことで
許すと思ってるの…?」
ブリザード「…だ、ダメでしょうか…」
…もう、怖すぎて敬語しか使えないよ…
…けど、これもある意味自業自得か…
永遠「いっ、今はいいけど…
次は、ないんだからね…!!」
飛那世「あれ…行った!?」
神野「嘘…!?」
ブリザード「…??」
永遠「も、もう…お兄ちゃんのバカ…!」
永遠「むー…。」
灯華「なんか、物凄くややこしいことに
なってない…?」
優来「うん、ブリザードってば
突然どうしたんだろ…今までこんなこと
なかったのに。」
優来「…あ。」
灯華「どうしたの?何か心当たりでもある?」
優来「…さっきさ、ブリザードは自己肯定感が
足りないから笑顔の練習でもしようって
言ったんだよね…」
灯華「…まさかブリザードあそこから
あんな風に派生したの?嘘でしょ…?」
優来「きっと…ブリザードなりに考えて
やってることなんだよ、多分…」
灯華「笑顔になるためにあぁするの…?
ある意味ではブリザードらしいと
言えるけど…これは…」
優来「…やっぱりブリザードって
女ったらしだよね。」
灯華「それに関しては強く同感するわ…」
優来「しかも、本人がそれに気づいてないから
一番タチが悪いよ…」
灯華「ブリザードって天然なんでしょうね…」
優来「うんうん、そうだよ…」
ブリザード「…なんか、悪口言われてる
気がする…」
飛那世「大丈夫、気のせいですよ…」
ブリザード「そうなのか…?」
飛那世「はい、私が言うからには
間違いないです…!」
ブリザード「本当なのかな、
疑わしいが…」
飛那世「私を疑うんですか?
本当にいいんですか…?」
ブリザード「…だって、そう言う風にしか
見えないし…」
飛那世「なんでなんですか、もー。」
ブリザード「…なぁ、華途葉…
恥と無礼を忍んでお願いしたいのだが…」
華途葉「…な、何…?」
優来「何だろう…今まで以上に嫌な予感がする、
なんでだろう…」
灯華「奇遇ね、私も…」
ブリザード「…パンツを
見せてくれないだろうか?」
華途葉「な、な…っ!?」
灯華「…えぇ?」
ブリザード「…」
俺はもうダメかもしれない、
そう確信がついたよ…
神野「すぅ…っ。」
神野「アンタはもう黙りなさぁぁぁい!!」
ダッ!
ブリザード「え、ちょっ…違…!?」
ドサッ!
ブリザード「あ、あの…これには訳があって…」
華途葉「…訳って、逆に気になるんだけど…」
神野「…聞かせてもらいましょうか、
そんなことなら大層な訳があるんでしょ…?」
ブリザード「…昔の文献に思春期の男子は
綺麗な女の子のパンツを見ると幸せになるって
書いてたから…気になって。」
ダメだ…もう、弁解のしようがない、
自分でも分かる…
思い切って行動しすぎてしまった、
調節が難しい…
…俺、もうどこに向かえばいいのか
分からないよ…
華途葉「きっ、き、綺麗な、女の子って…
わっ…私のこと…!?」
ブリザード「え?あ、あぁ…はい。」
華途葉「な…っ!?」
華途葉「…!!」
神野「どうすんのこれ、華途葉が顔を埋めて
悶え始めたんだけど…」
飛那世「ほっとけば直りますよ。」
神野「そう…」
神野「で、その文献ってのはどこにあるの?」
ブリザード「ほら、持ってきた本の
右の方にある…」
永遠「ん…っ、あ、これのこと…?」
櫻「何この本…私知らない。」
永遠「どれどれ…?「妹の寝ている間に
パンツを覗き見た結果」…?」
永遠「…おい貴様…?」
ブリザード「…私は何も存じ上げていない故、
存じ上げておりません…。」
スタッ…
もう終わりだ、誰でも分かる…
飛那世「どれどれ…?あ、ほんとに
書いてますね。」
神野「…この本、18禁って書いてあるわよ?」
飛那世「わぁお、そんな本まだこの世に
残ってたんですね、しかもここに…」
ブリザード「…!」
よし、今なら逃げれる…!
もう、何でこんなことしてるのか
自分でも理解が追いつかなくなってきたが、
もうどうでもいい…!
この場を凌ぐことができれば、俺は…!
ガシッ
ブリザード「あ。」
永遠「逃げられるとでも思ってるの?」
ブリザード「い、嫌だ…!?」
永遠「あははは…別に僕は怒ってるわけじゃ
ないんだよ?」
ドガァン!!
飛那世「わあっ!?壁に穴が空いたっ!?」
灯華「…後で直しておくわ。」
神野「…昔の人間、凄いわね…乳首を
こんなリアルに書ける技術、現代には
ないわよ…!」
飛那世「何見入ってるんですか。」
神野「だって…物珍しいもの、
こんなの二度と見れないかもしれないわよ?」
飛那世「いや、何がですか…」
ブリザード「許してください、
何でもしますから…」
永遠「何でもするんだね?」
ブリザード「は、はい…」
永遠「じゃ、来て…」
ブリザード「え…?ちょ、待っ…」
ズサァァッ…
ブリザード「え、待って、何するの、え、
ほんとに待って、え、え…!?」
ガチャ…
あ…待って、ほんとに待って、いや、
服脱がさないで、ちょ、待って、
乱暴しないで、ちょ…
ぎゃぁぁぁぁっ!?
神野「…ハァ。」
飛那世「神野さんが頭を抱えている、
珍しいですね…」
神野「こんなん誰でも頭抱えるわよ、
キャラ崩壊にも限度ってもんが
あるでしょうが…」
飛那世「うーん、私はいいと思いますけど…」
神野「え?何でよ…」
飛那世「だって、先輩今まで私が見てきた
先輩の中で中で一番感情出してましたもの…」
神野「…あっ、確かに…!」
飛那世「先輩でもあんなに感情が
出せるんだなって…しみじみとしますよ。」
飛那世「今までずっと…感情を押し殺して
居たような感じでしたから…とにかく、
よかったですよ…」
神野「…いや、だからと言っても流石に
限度があるでしょ…。」
飛那世「ま、それもそうでしょうが…」
神野「それに、もう3人が被害を
受けているし…」
飛那世「内一人反撃しに行ってた気が
するんですが…」
神野「…それはそれよ。」
飛那世「…そうですね。」
凍歌「…」
だめだ、やっぱり…私に、感情と
言うものは理解できないみたい…
こんな突然どうして?私が作られた存在だから?
もう…分かんないよ。
どうすればいいの…私は…
まだ人でいられるの?
何も感じない…もう、そう言う感覚も
無くなってる気がする…
…嫌だな…もう、何もかも…
ーー
ブリザード「あぁ…よく寝た。」
飛那世「先輩、おはようございます!」
ブリザード「わぁっ!?」
ブリザード「びっくりした…飛那世、
何でここにいるんだ…」
飛那世「忘れたんですか?いちいち家を
探してる暇もないのでここに全員で
住むことにしたんですよ。」
ブリザード「…そう言えば、そうだっけ…」
飛那世「私の覚えている限りでは、そうでした…」
ブリザード「…ま、いいや…
とりあえず、行こう…」
飛那世「はい!」
ガチャ
櫻「あ、ブリザードおはよう…」
ブリザード「櫻さん、おはようございます…」
櫻「あの…その、昨日はごめんね…?」
ブリザード「え…櫻さんは悪くないですよ。」
飛那世「そうだそうだー!この女たらしめー!」
ブリザード「飛那世は引っ込んでろ。」
ムニッ
飛那世「ぎゃぁぁぁっ!?」
ブリザード「…んで?」
永遠「じー。」
ブリザード「そこの柱の横から見てる永遠は
何をしてるんだ?」
永遠「…ブリザードが浮気しないか
確認するため…」
ブリザード「いや、浮気って、そもそも
俺ら付き合ってすらないんだし…」
永遠「…ブリザード?」
ブリザード「え…?」
永遠「言ってくれたよね、私と一緒に
寝てくれるって…」
ブリザード「え、いや…その…」
永遠「…私、待ってるから…」
ブリザード「…。」
飛那世「わぁお、こりゃ重症ですね…」
櫻「永遠って案外そう言う所あるからな…
気をつけた方がいいよ?」
ブリザード「はい…少なくとも二度と
昨日のようなことはしない予定です。」
櫻「予定って…不確かだなぁ…」
ブリザード「…すいません。」
櫻「ま、とりあえず朝ごはんにしよ、
灯華と神野さんが作ってくれるって…。」
ブリザード「…楽しみですね。」
神野「あ、おはようブリザード、
今ちょうど朝ごはんができたから
食べていきなさい。」
ブリザード「…分かった。」
ブリザード「…いただきます。」
ブリザード「…はむ。」
ブリザード「…うまい。」
ブリザード「…はむ。」
ブリザード「うまい…。」
櫻「…?」
ブリザード「はむ…っ。」
ブリザード「うまい…。」
飛那世「あ、あの…先輩?」
ブリザード「はむっ…」
ブリザード「…うまい。」
ブリザード「…何だ、飛那世…?」
飛那世「…あの、食べながら人の質問に
返答しないでほしいんですが。」
ブリザード「はむ…」
ブリザード「うまい…。」
飛那世「あの…わざとやってます?」
ブリザード「はむっ…」
ブリザード「うまい…」
ブリザード「わざとじゃないよ、
一口食べた時の報告をしてるだけだ。」
飛那世「…いや、いやいやいやいや…
おかしいでしょ?普通に考えて…」
ブリザード「もしかして、俺…ズレてる?」
飛那世「えぇ、大幅に…」
櫻「これは流石に私のツッコミも
追いつかないよ…」
灯華「ま、いいわ…お気に召したようなら。」
神野「そうは言ってもね…これじゃね。」
ブリザード「はむ…」
ブリザード「…うまい。」
灯華「…確かに、考えものね。」
ブリザード「少しいいか、俺から素晴らしい
提案をしたい…」
櫻「…何?」
ブリザード「食後のデザートとして
マシュマロを常設しないか…?」
灯華「したくてもできないわよ、高いし…」
飛那世「先輩、変な薬でも飲みました?」
ブリザード「飲んでない、俺は正常だ…」
飛那世「…先輩って素でそう言うこと
言える人だったんですね。」
ブリザード「…そうなのか?
俺には分からないな…」
飛那世「アンタが分からないんじゃ
終わりですよ。」
ブリザード「…何も言えない。」
ブリザード「…ごちそうさま。」
神野「あれ?もう食べ終わったの…?
早いわね。」
ブリザード「あぁ…何でかは知らないが
いつもより早いな。」
ブリザード「ただ…早すぎても、
流行りに乗れない可能性がある…」
櫻「…」
神野「…え?」
ブリザード「…ほんとにごめん、
何でもない…」
飛那世「…先輩、そりゃないですよ…」
ブリザード「…感情を出す方法なんて、
今更分かるわけないじゃないか…」
飛那世「あ、先輩って感情
出そうとしてたんですか…?」
ブリザード「あぁ、優来に笑顔を見せた方が
いいと言われてな、その前にまず感情を
出す練習をしようと思って…」
神野「ブリザード感情を出す、か…それは、
確かに難しいわね…」
灯華「…だからって昨日みたいになる?」
ブリザード「それは…本当に申し訳ない、
反省している…」
ブリザード「…これくらいしないと感情が
出ないかと思ったが、裏目に出た…」
飛那世「感情自体は出てたと思いますが、
あれじゃ確かに強引すぎますね…」
ブリザード「…感情、出てたのか…?」
飛那世「はい、出てはいましたよ、出ては…」
ブリザード「…なんか、申し訳ない…」
灯華「てか、ブリザードさっきから謝って
ばっかじゃない、そんなだから優来に
心配されるのよ…」
ブリザード「え…?でも、今のは
俺が悪いんじゃ…」
灯華「確かに…それはそうだけど、
本当にそう言う所なのよ…?」
ブリザード「…あ、あぁ…」
灯華「…とにかく、ちゃんとした方法で
感情を出せるようになるために私達と
練習しましょう。」
ブリザード「…は、はぁ…」
…先が見えないが、ひとまず…希望は
できたような気がする。
この先、俺が光を見る日は近いかもしれない…
だけど…そのためには障害が多すぎる。
全て淘汰できるだろうか…それは、
全て破邪悲を使える俺にかかってる、けど…
…その破邪悲は使えば使うほど世界が
破滅するリスクが上がる…うまく使えるか。
…けど、やるしかないんだ…全ては、
みんなと歩む明るい未来のために…
必要なことだ。
…なぁ、柳太郎…これでよかったんだよな?
ようやく…真の意味で理解できる仲間を…
見つけられた気がするよ。
今も見守っていてくれているか…?
お前は、まだ待っていてくれているのか…?
…まだ、長いとは思うが、待っていてくれ…
俺は…必ず、使命を果たすから…。
ーー
高城「…さて、と…もうじき神吹が
動き出すみたいね、これは面白くなりそう…」
高城「それじゃ、まずはアンタに
行ってもらおうかしら…」
高城「せっかく蘇らせたんだから
せいぜい役に立ちなさいよ?松原…」
松原「…フン、俺はやりたいようにやるだけだ。」
高城「分かってるとは思うけど私に
逆らうようなことがあればそれまでだから…」
松原「…分かってるよ、それくらい…」
高城「おそらく奴らは次も12鬼を出してくる
ことでしょう、ならばこちらもそれ相応の
対応をさせてもらうだけ…」
???「生温いな…もっと、確実に
叩き潰してやんねぇと…」
高城「…いえ、まだ状況は依然こちらが有利よ、
まだ余裕があるの、絶対に勝てないと言う
意識を植え付けることが一番大事…」
???「甘いな…それで本当に
上手く行くのか?」
高城「悠介…アンタは勝負ってものを
理解してないのよ。」
悠介「何だと…?」
高城「戦いって言うのは相手をいかに
絶望させるかが大事なの、相手に勝てないと
思わせれば自然と隙はできるものなの…」
悠介「本当に…それで上手く行くのか?」
高城「人の心理って言うものは案外
簡単に掌握できるものなのよ…?」
悠介「ハァ…どうだか。」
悠介「ま…俺は金さえあれば世界が滅ぼうが
何でもいいんだけど。」
高城「アンタも中々歪んでるのね…」
悠介「…アンタ程ではないと思うがな。」
高城「どうでしょうね…フッ…」
高城「とにかく、何もかも消し去って
しまえば私は楽しいの…それが、
人の摂理…そうでしょう?」
悠介「…確かに、間違ってないな…当然の
道理と言える。」
高城「分かるでしょう…?これが、
人の本質なの…人は争うことでしか生を
受けられない、人生とは戦争なの…」
高城「故に…私は全てを壊して
めちゃくちゃにすることで楽しむ…」
高城「それこそが、私の生まれた意味…
そのものだから。」
高城「世界よ…絶望しなさい、私と言う
化物にね…!」
悠介「…ま、いっか…」
悠介「世界がどうなろうと、
金さえあれば何でもいいや…」
next…
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