第7話 自称森の大賢者様に聞いてみる1

「君たちは魔物?」


 朝ご飯の『朝マック』を食べつつ、ラグに聞いてみる。

 ちなみに、今日はホットケーキ、サイドサラダ、

 アップルパイ、カフェラテ。


 朝マ◯クも久しぶりだ。

 バーガー3種類しかなかったんだもの。

 それも2週間以上。

 人間はすぐに贅沢になるってことだよな。


「(せやで。ワテらはもともと魔素溜まりから生まれるんや)」


 ラグも器用に手でバーガーを持ちながら

 もぐもぐ食べている。

 子猫たちは『カリカリ』だ。

 お皿はハンバーガとかの包袋を利用している。

 お水はコーラのペットボトルを切って出している。


 ラグによると、魔獣と魔物の違いはこうだ。

 ◯魔獣

  普通の獣が魔素対応したもの。

  最大2倍程度に強くなる。

  死んでも消えない。

  魔石を持つものもいる。

 ◯魔物

  魔素溜まりから生まれる。

  死ぬと霧散し、魔石を残す。

  奇怪な魔物が多い。

  魔法を使う個体も多い。


「魔法使うやつもいるんだね」


「(せや。というか、人間でも使うやつはぎょーさんおんで)」


「マジか?いよいよ、異世界だな。剣と魔法の世界ってか。ラグも使えるわけ?」


「(もちろんや。森の大賢者様やで?)」


 といいつつ、いくつか魔法をみせてもらった。

 

「うおっ、凄すぎる!」


 雷とか竜巻とか。

 強烈すぎる。


「他にも使える?」


「(4属性魔法は上級使えるで。あといろんな補助魔法な)」


「4属性って?」


「(火・水・土・風といった基本の4魔法のことや)」


「ほんとに凄いな。大賢者様ってのも嘘ってわけじゃないのか」


「(アホか。自称やないで。森ではワテは畏怖の対象や)」


「わかったよ、信じるって。でもさ、君の話し声って頭ん中に響くんだけど」


「(ああ、念話っちゅうやつや。テレパシーな。概念を直接脳に伝達するんや)」


「念話?テレパシー?なんで関西弁?」


「(関西弁?方言ってことか?多分やけどな、バグってんねん。ワテの言葉は魔物共通語やで)」


「魔物共通語ってあるんだ」


「(当たり前や、っていいたいところやけどな、ゴブリンとかやと何言ってるかわからん。キーとかギャとかばっかりや。ホブゴブリンだと一応会話が成り立つが、カタコトやな)」


「ゴブリンとかさ、毎日のように襲ってきてうざいんだよね」


「(ゴブリンは確かに多いが、それでも毎日ってのは多すぎやな。あのな、この車、多分やけどな、魔物を引きつけてんで)」


「えっ、嘘だろ」


「(ワテらもな。あんさんが近づいてきたのはすぐにわかったし、なんていうかコッチにこいって呼ばれてるような気がしたんや)」


「そうなんだ。ねえ、どうなの?」


 車に聞いてみる。


『魔物は魔石になります』


 なんだと。

 確かに。

 この車、魔石で動いているからな。

 自然に魔素をチャージできるけど、

 魔石は緊急時のチャージとかレベルアップには欠かせない。


 だとしても、車が魔物ホイホイをしているとは。

 結構、スパルタだ。


「せやからな、ワテらが車に乗り込んだんは、ずうずうしいからやないで。車が呼んどったんや」


「そうなの?」


『……』


 うーむ。

 車の返答なし。

 ラグへの疑惑は深まったんだけど、

 車が猫カフェになるのはウェルカムだ。


 僕の小さい頃には猫飼ってたんだけど、

 大学からはアパートぐらしだもんな。


 あ、ちょっとしんみりしたこと言うけど、

 両親はいない。

 高校のときに事故でなくなっちゃったんだよね。


 まあ、それはともかく、

 ずっと猫飼いたかったんだ。

 たまに猫カフェ行ってたし。

 保護猫とかペットショップって線もあるんだけど、

 一人暮らしでペットを飼うのは難しい。


 でも、流石に異世界に一人暮らしはきつすぎる。

 特に夜。

 森の奥地で漆黒の闇の中。

 動くものといえば風じゃなければ魔物。

 寂しいなんてもんじゃない。

 怖すぎるんだ。


 もっとも、毎晩大騒動になるんだけど。

 子猫の運動会で。


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