いこうぜ、北陸! 〜観光旅行で復興支援!〜

下東 良雄

序章

「休め」


 2024年1月初旬、都内某所の某オフィス――


 正月ボケも覚めやらぬこの時期、気合だけで脳を働かせ、ひたすらに眠気と戦いながら、誤入力しまくりでキーボードを叩いている男がいた。


 下東しもひがし良雄よしお(私)である。


 自分で言うのもなんだが、どこをどう見てもそのすべてが冴えない男だ。笑うしかない。あははははは。


 そんな男に近づく影があった。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


[上司] よぉ、下東。

[下東] うぃ、何スか?

[上司] お前、休暇余りまくってるだろ。

[下東] そうッスね。

[上司] 夏休みって取ったか?

[下東] あぁー、結局取らなかったッス。

[上司] 何で取らねぇんだよ。

[下東] 湾岸倉庫に詰めてたからッス。

[上司] あぁ、そっか……実はちょっとヤバいんだよ。

[下東] どうしたんスか?

[上司] 休暇取ってないことが問題になってんだよ。

[下東] あらら。

[上司] あらら、じゃねぇよ。

[下東] 人事案件スか?

[上司] そうだな、このまま行くと社長案件になる。

[下東] おぉ。

[上司] おぉ、じゃねぇっての。オレが怒られんだよ。

[下東] ざまぁ。

[上司] シバくぞ、お前。

[下東] 日頃の仕返しにちょうどいいかと。

[上司] 死なばもろともだ、この野郎。

[下東] おふぅ。

[上司] 冗談はともかく、特別休暇も使ってねぇだろ。

[下東] そうでした。

[上司] でな、今期中に休暇を取れ。

[下東] うぃ、仕事調整しまっす。

[上司] お前のそういう言葉は聞き飽きた。

[下東] はい、仕事を調整します。

[上司] 言い方を変えろっつってんじゃねぇんだよ。

[下東] あははははは。

[上司] 笑ってごまかすな。これは業務命令だ、いいな。

[下東] うぃーっす。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 こうして私は休暇を取ることになった。

 休暇取得の期日は3月末まで。


 さて、どうしたものか……



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