超短篇3(2024)

板里奇足

第1話 家路

駅の路線図を見上げながら運賃を確かめる。


が、はて、わたしの家の最寄り駅はどこだったかしら。わからない。

確か、ここから2、3駅しか離れていないはず。心当たりの駅名を見ると駅周辺の風景が思い浮かぶ。いや、違う。そこに帰る家はない。じゃ、何処?


わたしはどこへ帰ったらいいの。


あ、今いる、この駅がその最寄り駅じゃん。

ここからどこへ行く必要もないよ。


わたしは駅をあとにし、家路についた。


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