第15話 みんなでご飯会
お久しぶりです。
異世界と現世を行き来しています。
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GWが近づいてきて、クラスの雰囲気が浮ついてきた頃、渡辺くんがある提案をしてきた。
「せっかくの休み期間だから、みんなでご飯でもいかない?」
そんな一声から、賛同の声が多く上がる。私もその案は悪くないなと思っていたから、一声上げた。
「たしかに、クラスがもっと仲良くなるためにもいいかもね」
「わたしも賛成ー!」
「みんなでご飯会とか楽しみすぎる」
「白凪さんと渡辺が仕切ってくれるなら安心できるわ」
「ありがとう、それなら計画はするけど…」
いつのまにか幹事をやる流れになっている気がするが、まぁいいだろう。クラスで仲良くなれるチャンスではあるから。
それに私のクラスカーストが決まったといっても過言ではないのでは?学級委員になったのは想定外ではあったけど、結果的に頼られる人=カースト高い!が実現できている気がする。ふっふっふ…私の計画は紆余曲折を経て順調に進んでいるようだ。
「そうだね、じゃあ僕らで計画しようか。決まり次第みんなにグループLOINで共有するね」
「そうしようか、何かここ行きたいとかあったらみんな気軽にLOIN送ってね。グループとか送りづらかったら私に個人LOINでもいいよ」
ここですかさず頼れる人顔しておくのが、ギャルの鑑ってもんよ。やるな、私。
みんなワイワイし始めたから、とりあえずご飯会に行くのは決定かな。行きたくない人、部活ある人とかいるかもだけど、そこは無理に誘わないよということも伝えておく。こういう時行かない人の愚痴とか起こりがち(偏見)だけど、お土産とかみんなで選んであげれば、その人とかにヘイト行くことはないよね?たぶん。
「ねぇ、渡辺くん。2人で相談してもいいけど、もう1人くらいいたら意見がまとまりやすいと思うんだ」
ガヤガヤとした空気をよそに、渡辺くんに話しかける。決して2人が気まずいとかそういうのではないよ?周りの視線を考慮してだから。
「たしかにそうかもね…そうだな酒井くんとかどう?彼は頼れるし、まとめるのが上手だ。それに白凪さんとも話してたよね?」
「オタ…酒井くんね。確かに話すけど、渡辺くんも酒井くんと面識あったんだね」
「?そうだね、クラスの人たちとはある程度話してるよ」
「さすが。じゃあ酒井くん誘おっか」
まさかの名前が出てきて、一瞬オタク呼びしそうになったがなんとか耐えた。
「わかった。僕のほうから誘っておくね」
とりあえず一度解散して、みんなから意見が集まり次第また集まると約束した。
⭐︎
放課後。クラスの人たちに誰が行けるかの聞き込みをしていた。
「だいたいこれそうだね」
えりは部活があるらしいが、GWということもあり午前中で終わるそうなので、普通に合流できるそうだ。集まる前からちょっとあそぼっ!って可愛く誘われた。
「あの、葵さん少し良いですか?」
スマホのメモをまとめている時に、ちょんと裾を引かれたので振り返ると、申し訳なさそうに眉を下げた茜さんが立っていた。どうしたんだろ。
「うん、どうしたの?ご飯会来れなさそう?」
「はい、それなんですが、部活が午後からで競技場まで行くんです。なのでもしかしたら合流できないかもしれなくて」
「そっか、確かに時間的も疲れてるか」
茜さん来れないのか。残念だ。
「…!…で、でもよかったら顔だけでも出せたら行きたいです」
「うん!ありがとう。でも無理しないでね」
「はい!それでは私は部活があるので!」
「うん、いってらっしゃい」
陸上部は大変だなぁ。来てほしいけど無理してほしくないな。それに茜さんとはまだ距離がある気がするから、この会で仲良くなれたらって思ってたけど。
「茜っち来てくれるといいね」
ぴょこっと顔を出したえりにそういわれる。ん?茜っち?
「いつの間に名前で呼んでたの?」
「んー?それはね部活終わり顔合わせること多いんだよねー。それで仲良くなったよ」
「そーなんだ」
「なになにー嫉妬しちゃったー?可愛い―」
「違うから」
「もーほんとにかわいんだからー」
「んんっ、ほら今日も部活でしょ、遅れちゃうよ」
「あーそうだった、あおちーも頑張ってねー」
別に嫉妬してるとかではないと思うけど、えりが茜さんと仲良くしてるのを聞いて、モヤモヤしてるというか、なんというか。
えりが去って言った教室の扉を見つめながらそんなことを考えてた。
⭐︎
ゴールデンウィーク当日。
集合時間より早く到着した私とえりは、先にお店の中で待機することになった。
「おっけー、グループにあおちーと先店入ったって送ったよ」
「ありがとう」
「それにしてもオシャレなお店だねぇ」
「でしょ?ここみんなで考えたんだ」
そう、計画はトラブルもなく順調に進んだ。
渡辺くんが持ち前のコミュ力でクラス全員の、要望を聞きそれを酒井くんがまとめてくれた。
正直酒井くんがあそこまで頑張ってくれるとは思ってなかったけど、彼なりにやろうと思ってくれてるみたいで嬉しかった。
お前は何をしたんだって?それはお店選びだよ。
いや、だって2人が優秀すぎてやることなかったんだもん。みんなの予定でも聞きに行こうとすれば、渡辺くんがもう終えてたし、じゃあまとめるかって思ったら酒井くんが予定表がっつり作ってくれてたし。ちょっと不貞腐れて、窓の外でも眺めてたらいつの間にか3択にまで絞られてたしみたいな。
幸い絞られた3つのお店が知っているお店ということもあり、「ここは女子ウケいいよ」という助言だけをした。
それだけしかしてないのに、渡辺くんには「白凪さんは頼り甲斐があって助かるよ」って言われた。一瞬嫌味かと思ったけど、渡辺くんの表情から本心だってわかった。なんていい人なんだ彼は。
「そうだ、さっき撮ったプリの写真送っとくね!」
「うん、ありがとう。初めて撮ったから結構楽しかったよ」
「あおちー写真写り良すぎてビビったけどね。あれはめちゃくちゃ可愛かった…」
「えりの方がめっちゃ盛れてて可愛かったけどね」
「ほらまたそうゆうこと言うー、嬉しいけど」
ご飯会の前からえりと遊ぶ約束はあったので、近くのアミューズメント施設でプリクラ撮ってきたんだよね。
前世プリクラとか縁のないものだったから少し抵抗感があったんだけど、撮ってみたら案外楽しくて、また行きたいなと思った。こんなこと思う日が来るとは。女の子になった実感が今更沸いたような気がした。
スマホを机の上に置き会話に花を咲かせる。そのスマホのケースには、二人の写真が飾られていた。
「お待たせ二人とも、待ったかな?」
「全然待ってないよ」
えりと話で盛り上がってると、話し声が聞こえ始めて集まったのが分かった。先頭に渡辺君がいて、デートの集まり文句みたいな会話を交わす。
…とりあえず、揃ったかな。部活の人たちは「途中から合流するから先始めててー」と言っていたので、初めてもよさそうかな。渡辺君と目線を交わしお互い頷く。
「今日はみんな集まってくれてありがとう。部活の人たちは後から合流するから、僕らで先に始めようと思う」
「とりあえず注文だけしちゃおっか。タブレットから入力できるみたいだから決まった人から言ってね」
「そうだね、みんな飲み物が揃ったら一度乾杯でもしようか。それじゃあ今日はみんなで楽しもうね」
いえーいパチパチと聞こえてきそうな音量でお届けしてまいりますが、さすがの委員長ですな。みんなもう掴まれてますよ。私も口調おかしくなったし。
…とりあえず飲み物取りに行きますか。
⭐︎
「そういえば白凪さん、この間の取材っていつ放送されるの?」
再び乾杯の音頭をして落ち着いてきた頃、私はいろんな席に向かっていた。周りを見渡すと結構目が合って、手招きされるんだよね。いやー人気者で困っちゃうなー(調子乗るな)渡辺くんも大概だけど。
さて、テレビかー確かGW中に放送される予定だったはずだけど…ん?なんで周りこんなに静かなの?みんな気になるの?
「確か明日のGWスペシャル?で放送だったと思うよ」
「なになに?キラキラ高校生特集的な?」
少し苦笑いする。
「学生リポート特集ってのみたい。できれば恥ずかしいから、見ないで欲しいけど」
「「いや、絶対見る(かわいい)」」
「録画しておこうかな…」
「今のうちにファンになるべきか〜」
「あおちーったら可愛んだから。てことでわたしがファン第一号でーす!」
「もう、勘弁して…」
部屋が笑い声で満ちる。恥ずかしい気持ちから顔が熱くなるが、微笑を浮かべる。
「はいはい、みんな白凪さんが困ってるから揶揄うのもその辺にしとこう」
ふと渡辺くんの声がすっと部屋に響いた。強く言ったわけではないけど、すっと空気が落ち着いたのが感じ取れた。ぐぅ、有能。
「ありがとう渡辺くん」
「うん、白凪さんよかったら飲み物取りに行かない?ちょうど僕も行きたくてさ」
すぐ隣で、渡辺君が小さく話しかけてくる。
「うん、一緒に行こっか」
部屋を出ると、空気がふっと軽くなるような感じがした。みんなと話すの楽しいけど、ちょっと疲れちゃうんだよね。
「すごい騒がれてたね、白凪さん」
「もう、やめてよ恥ずかしいから」
ちょっと苦笑いする。渡辺くんの言い方は少し揶揄っているようで、どこか優しい。
「でも、凄いことだよ。クラスから支持を集めるのって大変だから」
ドリンクを注いでいる、その目にほんの少しだけ影がさした気がした。
「そうかな、渡辺くんの方がさらっとやってる気がするけど」
「僕はやりたいようにやってるだけだよ、空気読んだりするのあんまり得意じゃないからさ」
「そうなの?」
「うん…」
「……」
なんか重くない?
ちょっと気まずくなーい?これはギャル光で照らさんといけんやつか?(内なるギャル)
「でも私は渡辺くんが委員長になってくれてよかったと思ってるよ」
「そうかな…僕は役に立ってるのかな」
「もちろん、1番近くで見てる私が言うんだから間違いないよ」
彼の、渡辺くんの本音に少し触れたような気がした。
「さっきだって、私が困ってた所助けてくれたでしょ?嬉しかったよ」
「あれは、白凪さんが困ってそうだったから僕がお節介をかけただけだよ」
「そうかもしれないけど、私のために動いてくれたんでしょ?そういう優しいところがあるから渡辺くんはみんなから支持されてるんだよ」
「そうだと…いいな。
ごめんね、こんなところ見せちゃって」
「んーん、むしろ完璧すぎたから弱み知れてよかったよ」
「少し恥ずかしいな…でも、よかった」
「うん、何かあったら頼ってよ私たち友達でしょ?」
「ははっ、白凪さんには敵わないみたいだね」
つきものが落ちたような顔つきだった。どうやら私のギャルパワーに浄化されたようだ(違います)。渡辺くんは努力家なのは知っていたけれど、こんな一面もあったんだ。彼にほんの少しだけ、近づけた気がする。
⭐︎
「あ、茜さんだ」
こっそり酒井くんにちょっかいをかけたり、してた頃。ふと、ドアの方に目を向けると、息を切らせた様子の茜さんがそっと部屋に入ってきた。
髪をひとつに結んで、トレーナーの上にカーディガンを羽織った姿は、部活帰りであることが伺える。本当に来てくれたんだ。
「茜さん、お疲れ様!来てくれたんだ」
声をかけると茜さんは驚いたように目を丸くしてから、控えめに笑った。
「はい、ちょっとだけでも顔出したくて」
「うん、きてくれて嬉しいよ。よかったらここ座って」
一つだけ空けておいた私の隣の席に案内する。茜さんが来ると思って空けておいた席だ。
「ありがとうございます…失礼します」
茜さんは静かに椅子を引いて、私の隣に腰を下ろした。ぎこちないが、ありがとうと言われて少し嬉しく思う。
周りが盛り上がりを見せる中、私と茜さんは二人で目を合わせる。
「あの…葵さん」
「ん、どうしたの?」
「突然なんですが、よかったら体育祭の時一緒にリレー出てくれませんか?」
突然の申し出に一瞬ビックリする。たしかに学校からも、体育祭が近頃あると言うことを聞いてはいたけど、ゴールデンウィーク明けから計画する物だと思ってたから。
「私、あれから短距離ずっと練習してるんです。大会があるからなのもそうなんですけど、葵さんに追いつきたくて。それでまた一緒に走りたいって思ってて」
少し早口になりながらも、ちゃんと言いたいことは伝わってくる。
「部活で聞いたんです。体育祭は結構大きめらしいので、活躍の場にはぴったりだし…自分を出せるチャンスというか」
「だからそう言う場で葵さんと一緒に頑張れたらって思って…」
「そっか、嬉しいよ。私も体育祭でリレー出たいって思ってたから誘ってくれてよかった」
自然と笑みが溢れた。必死な茜さんが少し可愛くて、同時に気持ちに応えてあげたいと思ったから。
「ねね、せっかくだから敬語外さない?私は茜って呼びたいな」
「ええ?いいんですか?私も葵さん…葵って呼んで」
「もちろん!」
そのやりとりだけで、私は茜さんと距離がふわりと縮まった気がした。
⭐︎
賑やかな時間が続いたご飯会も、少しひと段落した頃。
「えり、そろそろあれ」
「だね!…ねぇねぇちょっとだけ静かにしてくれる?」
えりが手をパンと叩いて声を上げると、テーブルにいたみんなが何事かと目を向ける。
「実はこの場を借りて、サプライズがありまーす!」
私が小さな紙袋を、そっと持ち上げると玲さんに目を合わせて近づいていく。睨むような視線だけれど、内心ビクビクしてるの隠しきれてないよ、玲さん。
「な、なんだよ?俺なんもやってねーぞ?」
「ううん、やったことじゃなくてね…おめでとうの方だよ。今日、誕生日でしょ?」
「…!」
玲さんが一瞬固まり、すぐに目を逸らす。
「…よく知ってたな」
このために今日玲さんには絶対出席するように、念を押していた。
「ねこちゃんの誕生日くらいわたし把握してるしー、情報通だからさー」
「怖っ!」
みんながくすくす笑う中、えりが少し強引に袋を玲の手元に押し付けた。
「ほら、開けてー。あおちーと2人でいっぱい探したんだからね」
玲さんを見ると少し口元が緩んで見える。嬉しそうにしてて、こっちも嬉しくなる。
袋を開けて中身を取り出すと、キーケースとポーチが出てくる。
「黒か、俺の好きな色だ。悪くねぇな」
「でしょー?無難だけどカッコいいやつ似合うかなって思って選びました!」
玲さんが照れ隠しのように、ポーチのタグをいじりながら呟いた。
「…ありがとな」
えりと目を合わせて、私は笑う。
「どういたしまして、玲さん」
おめでとうの空気になっていたその時、ふと1人の女の子が飛び出していった。
「れーちゃん!誕生日おめでと〜!」
驚いて、見つめてみるとすぐそばにはゆらちゃんが立っていた。
「って、え?…れーちゃん!?」
えりが真っ先に反応する。みんな驚いて一斉にそちらをみた。
玲さんはむすっとした顔で、でも微妙に耳が赤い。
「あー、最近こいつが勝手に呼んでるだけだぞ」
「そろそろ仲良くなったかなと思いまして!」
ゆらちゃんが、にっこりと笑う。玲さんは小さくため息をついた。
ゆらちゃんいつのまにかそんなに強くなったの?お母さんビックリだよ(急な母親ヅラ)
「こいつ、見た目とは裏腹に芯があるからな…ある一点において」
「それはそうですよ。大事な任務だし」
「それには同意する」
玲さんとゆらちゃんが私たちを見て、ニヤニヤしている。どう言う風の吹き回し?
「まぁ、仲良いならいいっか」
半分思考を放棄して、友達になれたんだーヨカッタネーくらいに考えておこう。そうしよう。
⭐︎
帰り際。
皆が解散の流れの中、渡辺くんに耳元でボソッとつぶやかれた。
「ありがとう、白凪さんのおかけで今日は楽しかったよ」
もし、私が元から女の子だったら、この言葉にドキッとしていただろうなーなんて考える。お礼言われて悪い気はしないけど、ただそれだけ。
「うん、渡辺くんもお疲れ様。また学校で会おうね」
「ああ、それじゃあまたね」
みんなそれぞれ帰路に着き始めたので、私たちも足並みを揃えて歩き出す。
「じゃあ帰ろっか、えり」
「うん!みんなじゃーねー」
みんなに手を振って、二人の道のりになる。
今日は楽しかったねーなんて語り合いながら、自然と手を重ねる。
「なんだか、手を繋ぐのも当たり前になってきちゃったね」
そう言った私の声に、えりはえへへと笑った。夜風に髪が揺れて、ヘアピンがきらりと少し光る。
「あおちーが手を出してきた時、ちょっとビックリしたよー。あ、自分から繋いでくれるんだって」
「え、そうだったの?」
えりにはつい甘えたくなってしまうのかも知れない。うん。いつのまにか私から繋いでたもんね。これが習慣ってやつですか…
「うん。なんというかわたしもここまで仲良くなれたのかーって実感して…ちょっと泣きそうだったよ」
えりはそう言って私の手を強くギュッと握り直す。その手は冷たかったけれども、頼もしくて、ほんの少し切なくて。
「でも今では、もう当たり前だもんねー。ずっと繋いで家まで行っちゃおうかなー」
「えりなら歓迎するよ」
「もう、そうなこと言うと本当に行っちゃうからねー」
「ふふっ、冗談だよ。お母さん達は喜びそうだけど」
歩道にポツポツと続く街灯が、二人の影を並べて伸ばす。
その影も、どこか楽しげに見えた。
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異世界もの書くのも楽しくていいですが、現世ものもやっぱりいいですね!
感想コメント等いただけるとモチベーション爆上がりです!よろしくお願いします!
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