2 兌《だ 》 (●○○初)
卦 三爻初 正象 卦徳(性情) 家族 五行 易数
沢、喜悦、少女、愚か者、口、口論、おしゃべり、食べる、欠けている、西
坎(●◯●初)の流水の初爻が陽爻となり、水の流れをせき止め集めて溜池となり澤となった状態──それが兌(●◯◯)で初爻と二爻は水を、上爻の一陰は澤の土の欠けた部分とみて、正象を澤とする。(澤とはいわゆる沼のこと)。止水、止める、とどまる、貯える意。
湖、池、沼、井戸などは「兌」だが、川は水が流れるので「坎」になる。
澤の水を引いて生活に利する悦びがあり、澤の中や周辺にも草木や鳥獣虫魚などが繁殖して悦び和むことになるので、卦徳は「悦」、卦の意味は和とします。「兌」にりっしん偏をつければ悦になり、口に関するすべての喜びを象徴します。口から、よく喋る、食べる、口先がうまい。客商売や飲食業にはぴったりです。兌換券という言葉があるように、お金にも縁があります。
また、上爻の陰が口を開いて美食やお酒を楽しみ大いにしゃべって笑っている形でもあり、さらに乾卦の上爻が欠けて陰爻となっている象から、毀損、中途挫折、飽きっぽい、見込んでいた収穫量の三分の一不足の七分目といった象意も生まれてきます。
人体にたとえれば頭の部分が弱いため、誘惑に弱くきちんとやり通せず、破損が生じやすいのです。
そして乾の固い剛金を削って、鋭利な刃物にした意味と合わせて、剣難、故障、怪我、欠損の意味もあり、そこに遊興や飲食に楽しみ浮かれた結果が予想され、こうした二つの全く相反する意味を同時に含んでいます。
性質は悦ぶ、和らぐ、恵む、潤う、誘惑する、艶っぽい、笑う、説く、議論する(喋る)、命令する、告げる、応える、鳴く、罵る、歌舞、娯楽、魅力、媚態、乱れる、愛欲、嘆く、弱い、壊れる、欠ける、欠陥、傷物、不足、腰砕け、ケンカ、刑罰。
兌の象意をもとに分類します。
▼「人」少女。魅力的で愛嬌があり愛らしく会話も弾む。
その場を盛り上げることが上手。
各種サービス業の若い性的に魅力のある女性(遊女、芸者、ホステス)、柔らかく悦び誘惑的に話すから(飲食業を中心とした各種商業、水商売、料理人、食品業、酒店、飲食業)、
親切な人、巫女。
娯楽やレジャー産業、遊園地、劇場(趣味遊興三昧の人)、
口に関するもの(歯科医、薬剤師)など。
楽しい、おしゃべり(放送局、司会、アナウンサー、漫才師、芸能家)
口先がうまい人(金融業、商人、講師・講習・説明する人、各種勧誘、セールスの業種、歌手、弁護士、新興宗教家)、
女性向けの商品関係の仕事。
▼「行動」若くてフットワークが軽い女性。楽しいことなら、積極的に出かける。よく食べ、よく笑い、元気いっぱい。飽きっぽい、趣味が多い。
一見切れ味の鋭い頭脳を持ちながら、思慮浅く気まぐれで軽率に安請け合いして事を始め、金銭に不足し中途挫折しやすい。長期計画を立てて、コツコツ努力するのは苦手です。口先ばかりで約束は信用できません。平時から節度ある生活習慣をつけることが望まれます。
▼「人体」口(舌や歯など)、女性器、五行では肺。
▼「病気」口内炎、歯痛、言語障害、呼吸器。婦人病、血行不順、性病、肺。
メランコリー、神経衰弱、両便の不通、食欲不振、怪我、打撲傷など。
▽「病勢」〈止水〉でとどまる意から長引く傾向と判断。
▼「動物」一番上の陰をツノと見て優しい性質の羊。
猫・子犬など動物の子ども、川魚、水鳥。
小鳥・虫・小動物など愛玩的なものや、九官鳥・インコ・鸚鵡など人間の言葉をまねる動物の他に猿、虎など。
▼「植物」薬草、秋に収穫する各種果実、秋の七草など。
▼「食物」子どもの好むお菓子、女性が好む食べ物、いちご、柿、
ビール、酒、紅茶、コーヒー、ココア。
▼「物」細工を施したアクセサリー・金物・刃物。口に関係する調理器具・鍋・釜・バケツや食器・ナイフ・フォーク・スプーン。日銭、釣り鐘、ゲーム類。
天体では星。乾と離が太陽、坤と坎が月なら、兌は小さい陰で星に。
▼「場所」沼、沢、池、湖、海、水たまり、風呂場・サウナ風呂、プール。凹地。
台所、料理店、食堂。
歓楽街など楽しむ場所(飲み屋・スナック・娯楽街・ゲームセンター・音楽ホール)。
講演会場、集合場。
▼「干支」酉
酉にさんずいを付ければ酒になり、酒食を楽(悦)しむ「兌」につながる。
▽「方位」西(酉)
吉方取りでは恋愛運や収入アップに期待。
▽「季節」秋九月(酉月)
収穫作業が終わり、秋祭りで多くの喜びや笑いがこぼれる。
▽「時間」十七時から十九時までの二時間(酉の刻)
仕事を終えて街に繰り出す若い女性、
または美しく着飾って仕事に向かう水商売の女性がイメージされる。
▼「九星」七赤金星
▼「五行」金
▽「色」白色、または金色。赤。
▽「数」2、五行の数は4と9。
▽「味」辛味。
▽「天気」〈とどまる〉意から小雨。時には雨が降りそうな曇りと判断。
▽「株式」〈止まる〉意から下がり気味と判断。
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