第40話 クラス(学級)

 岩石の弾丸が無慈悲にルビィに襲い掛かった。


 そして、ズゴォオオンと巨大な音を立てる。


「…………?」


 あれ……?


 ルビィは疑問に思う。


 まだ生きてる……?


 岩石はルビィの横、すれすれを通過し、事なきを得ていた。


「ゴ……?」


 ゴブリンも不思議そうに首を傾げる。

 確実に命中させるつもりであった。


 攻撃する側、される側の違いはあれど、ゴブリンとルビィ二者の感じ方は共通していた。


〝…………おかしい。直前で、弾が少し小さくなったような……〟


 ……


(…………できた…………奇跡だ……)


 ルビィとゴブリンが不思議に思っている最中、一人、感動している者がいた。


 そう……それは、ギリギリの中で、ルビィを救った人物ユキだ。


 彼がこの局面で奇跡的に成功させたこと……


 それはゴブリンの魔法の魔法論理マジック・ロジックの改変である。


 ◆


 ほんの直前の出来事――


 岩の弾丸がルビィに迫っていた。


(やばい……本当にやばい、ピアソンさんが死んでしまう。何か……何かできることは……!?)


 ユキはめちゃくちゃ焦っていた。

 ユキの脳内にCPU使用率があるとすれば、間違いなく100%になっていただろう。


(走って突き飛ばす? いや、間に合わない。魔法で……いや、大して変わらない。ダメだ…………俺にできることは魔法論理マジック・ロジックを改変することしかないんだ……)


「……」


(ってあれ? 魔法論理マジック・ロジックの改変……?)


「…………」


(……だぁあああ、悩んでても仕方ない。やるしかない……!!)


 その瞬間、ユキは自身の防衛を全て投げ捨て、全神経をゴブリンの岩へと集中させる。


(……くそ……いきなりやってできるわけ……だけど、あれは弾がデカいだけのクソ簡単な〝単発デバイス軸ショット〟のはず)


「……!」


 そう思った時……彼の頭の中に流れ込んできた。


////////////////////////////////////////////


time = 0 // 射出時間

interval = 0 // 射出間隔

angle = device.angle // 射出角度

position = device.position //射出位置

size = 100 // 大きさ

power = 300 // 威力

attribute = ROCK // 属性

speed = 20 // 速度

acceleration = 1 // 加速度

 ・・・


////////////////////////////////////////////


(ぎゃぁああああ! size = 100, power = 300とかバケモンかぁああああ!?)


「って、あれ……? あ…………あぁああああ!! 読み取れてるぅう!!」


(うぉおおおおおお!! -マイナス-マイナス-マイナス-マイナスぅううう!! sizeを-マイナスぅううう!!)


 ◆


 いや、間違いない……明らかに岩が小さくなった……

 私でもゴブリンでもない……第三者の作用がなければありえない……でも誰が……? フリー?

 でもフリーは負傷者を移動させてここにはいない。

 となると……


 ルビィはユキの方を見る。

 ユキはなぜか肩で息をして動揺気味である。


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