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第90話 十八歳の卒業歌 💐
春浅し山の向かふへ雲しきり
道に添ひ鉄路もカーブ風光る
連山はなだに溶けて種選
山の湖あをあを湛へ畑打つ
水仙のつぼみ四つや雲奔る
玉柘植に一枚の雪残りたる
デージや大きな顔の犬に似て
黒犬のジャンプの鋭しや春の虹
活き活きと雀らあそぶ春田かな
木の根明く地下に熱のある如く
「十八の壁」のやうやう卒業歌
不平等に不条理不可避卒業証書
春コート蝶結びせしベルトかな
春装を見せに行きたき人のあり
撫肩を労はるやうに春ショール
閑居して外を見てゐる春なかば
どこからか土の匂ひや花菜漬
もてなしの桜湯ひそと開きゆ
人はみな哀しみの壺オキザリス
バンクシーの赤い風船戦地の春
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